ニュースサイトを見ていると、毎日のように「検索」に関する記事を目にします。例えば「CNET Japan」の検索機能を使って、2007年1月1日からこの原稿を執筆している11月15日までの約1年間のニュースを「検索エンジン」というキーワードで検索してみたところ、205件もの記事が検索結果として表示されました。
実際には、「検索エンジン」というキーワードを含まない検索関連のニュースも多数あるはずなので、それこそ1年分の記事をすべて読んでいき、その数を数え上げていったらと考えると、恐ろしくなります。
正直な話、これには検索ビジネスに身を置いている筆者でさえ、着いていくのがやっとという状況。そして、このように日々最新のニュースに振り回されていると、ついつい物事の本質というものを忘れてしまいがちになります。
そこで本稿では、自身の考えをまとめつつ、検索エンジンマーケティングにあまり詳しくない方の理解の一助にもなるように、まずは大きなフレームから検索エンジンマーケティングというものを捉え直してみたいと思います。
最初に、そもそも検索エンジンマーケティングはなぜ注目されるのかを考えてみましょう。これについては、多くの人が実際に意識して考えたことがないのではないかと思います。
検索エンジンマーケティングというものは、その名の通り検索エンジンという舞台で行なわれるマーケティング手法のことを指す言葉ですが、当然のことながら、検索エンジンというものが登場したことだけでこのマーケティング手法が注目されたわけではありません。
では、なぜ注目されたのか。それは、単純な話、消費者が検索エンジンを利用するようになったからに他なりません。
いってみれば電通が提唱する消費者の購買行動が「AIDMA」(Attention→Interest→Desire→Memory→Action)の法則から「AISAS」(Attention→Interest→Search→Action→Share)の法則に変わったということです。つまり、消費者の多くがモノを買う際の行動パターンのなかに、検索という行動を組み入れるという行動変化が起きたことが最大の要因です。
しかし、とかく検索エンジンマーケティングというと、いかに検索エンジンを出し抜いてSEOで上位表示を得るか、検索連動型広告で競合企業が入札していないキーワードをいかに見つけ出すか、といった方法論にばかり目が行ってしまう傾向が強いような気がします。
ところが、そこに固執しすぎると、本来企業に利益をもたらしてくれる消費者への配慮が欠けてしまいます。いかに検索エンジンを出し抜いて上位表示を得ても、競合企業が入札していないキーワードに広告を出稿しても、検索ユーザーが持つ検索意図と一致しない情報ならば、ユーザーはその情報を快く思わないでしょう。
例えば、検索の話題ではありませんが、朝日新聞に掲載されていた「『正解はCMのあと』は逆効果 視聴者86%『不愉快』」という記事がネット上でも話題になりました。このようにせっかく企業が消費者に好意を抱いてもらおうと思って仕掛けた広告も、タイミングや場所をわきまえないと負の効果を生んでしまうことがあります。
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