こうしたポリシーの元に開発している次期ブラウザ「Internet Explorer 8」も、プライバシーに配慮しているとCullen氏はいう。
Cookieや履歴を残さないInPrivacyモードといった機能の提供だけでなく、通常モードで保存されたCookieの削除において、お気に入りに登録されたサイトのCookieを残し、そのほかのすべてを削除するという機能を搭載している。
これは、プライバシーに対する配慮の一環でもある。ネット広告の世界では、極力それぞれのユーザーにとって関心のある広告を表示して効果を高めようとしているが、そのためにユーザーの動向を知ろうとCookieを利用することが多い。
Microsoftはネット広告で、「オプトアウトの選択肢を提供している」(同)。しかし、「ユーザーの動向を追跡しない」というCookieをWindows Live IDと組み合わせているため、Live IDのCookieを削除してしまうとオプトアウトが無効化されてしまう。そのため、Live IDに関するCookieだけは残すようにしているのだ。
Cullen氏はユーザーの動向を分析して広告を出す行動分析型広告について、ユーザー自身の情報は必要なく、同じような関心を持っているセグメントをターゲットにしており、特定の個人はターゲットにしていないと話す。
そのため、セグメントを把握するためにユーザー動向を分析する場合も、「ANID(Anonymous ID)」と呼ばれる技術を使い、ユーザーの情報を暗号化して個人を特定できないようにした。もちろん、ユーザーはANIDの利用も拒否することもできる。
Cullen氏は、消費者に対して広告がどのような形で提供されているか「広告業界が伝え切れていない」と指摘。消費者とのコミュニケーションに十分な投資がされていないと強調する。
個人情報をどう制御し、どう管理するかをユーザーに事前に報告して、その上でどうサービスを実現するか。それを選択させることが重要だとCullen氏は話す。
国内では現在、グーグルストリートビューやGoogleマップにおけるプライバシー侵害の問題が噴出している。Cullen氏はこれらのサービスについて、日本でも米国でもオーストラリアでも神経をとがらせている人がいると指摘する。
Cullen氏は「Googleがどのように製品を設計しているのかは分からないが」と、これらのサービスに対する直接の言及を避けつつも、サービスを提供する際には「価値だけでなく、プライバシーの保護も一緒に提供しなければならない」と指摘している。
「プライバシーの問題に後から対処するのは難しい。合法であっても(ユーザーが)不愉快に思うものは作ってはいけない」(同)
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