米国をセグウェイで横断した人物が今度は上映ツアーへ

文:Caroline McCarthy 翻訳校正:吉井美有2007年08月22日 08時00分

 Segway Human Transporterに乗って米国を横断したことがあると言える人は多くないだろう。しかし、Josh Caldwell氏はそう言う資格があり、それを証明する映画もある。

 Caldwell氏は、親友のHunter Weeks氏と一緒に長編ドキュエンタリー映画「10 MPH」を撮影した。この映画は、2004年にシアトルからボストンまで、電気スクーターSegwayに乗って大陸横断した様子を描いたものだ。Caldwell氏は実際にSegwayに乗る栄誉を担い、Weeks氏と数人のクルーメンバーがJeep Cherokeeに乗り、100日以上の行程をともにした。

 その後「10 MPH」はいくつかの映画祭の賞を獲得し、今度はまた国を横断する旅に出る。今回は、8月11日の土曜日にシアトルを皮切りにアメリカの21都市で行われる映画上映会だ。このツアーは、8月27日にダラスで終了する。何が起こるかについて、ここで種明かしをすることはやめておこう。公式ウェブサイトから、この映画をレンタルあるいは購入することができる。CNET News.comは最近、Caldwell氏にインタビューを行い、他のものをさしおいてバッテリーだけを「ルイージ」などと名付けた理由を聞くことができた。

―Segwayで米国大陸を横断する映画を作りたいというアイデアを始めに思ったのはいつですか。

 最初は、外に出て何らかの映画を作りたいと思っていただけで、どんなものにするかは決まっていませんでした。その頃、Hunterとわたしはあるソフトウェア会社で働いていたのですが、友人が電話してきて「Segwayで国中を回って、それを映画にするといい。これまで誰もそんなことはやっていないから」と言ったのです。最初は少し馬鹿馬鹿しいと思ったのですが、深く考えていくと、これは映画を作る方法としては面白いと思えました。そして確かに、その過程で面白い物語をいくつか得ることができました。

―その友達が映画を撮るのを勧める前から、Segwayのファンだったのですか。

 触ったこともありませんでした。出発の約1カ月前までは乗ったこともありませんでしたよ。注文の直前にHunterとわたしは近くのBrookstoneに行き、実際に乗ってみて、「なるほど、これは十分乗りやすいから、できるかもしれない」となりました。われわれが購入を決めてSegwayと付き合う決断をしたのはそのときです。

―Segwayの会社の反応はどうでしたか。

 これは独創的なアイデアだし、彼らの製品も間違いなく効果的に露出するので、彼らは喜ぶだろうと思っていました。しかし、彼らはこのアイデアにはそんなに乗り気ではありませんでした。潜在的責任の問題も関係していのだろうと思います。そのため、出発時点では彼らは実際には舞台に上がってきませんでした。バッテリーを2つほどくれましたが、それ以上のサポートはしてくれませんでした。しかし、映画も出た現在では、彼らは舞台に上がってきています。自分の情熱を追いかける人の物語などを共有する、われわれの運営する「Do Your Thing」ブログにSegwayを提供してくれています。このサイトでは、物語を投稿すると、スポンサーからのSegwayをはじめとする素晴らしいものを勝ち取るチャンスがあります。

―現在Segwayを所有していますか。

 全国の横断に使ったものが1つありますし、この探検が終わったときに製造元がくれたものが1つあります。

―Segwayには名前を付けましたか。

 名前を付けることはいつも考えていたのですが、非常に長い時間を過ごし、大変長い距離を乗ったにもかかわらず、わたしはSegwayと個人的な関係を築けなかったようです。バッテリーには名前を付けました。「マリオ」「ルイージ」、その他マペットの名前などです。

―バッテリーには名前を付けたのに、Segwayには付けなかったのですね。

 そうです。われわれは8セットのバッテリーを持っていたので、どれを使っているのかを記録したり、ペアを作ったりということをしなくてはならなかったので。

―道中で、Segwayのことを全く知らない人にはどのくらい出会いましたか。Segwayに驚いていた人は多くはありませんでしたか。

 多くの人は確かにSegwayについて知っていましたが、われわれは確かに「それは一体何だ」と聞かれる場所にも行きました。Segwayについての驚きの声も聞きました。本当に首を伸ばして物珍しそうに見ている人がいましたよ。面白かったことの1つに、わたしがある工事区域を進んでいたときのことがあります。そこでは女性が「徐行・停止」のサインを持っていました。そのサインに引っかかったとき、わたしは列の先頭にいました。彼女は「うわあ、それは何?自分で作ったの」という感じで聞いてきました。「自分がそんなに賢かったらよかったんだけど」と答えておきました。

―道中で、一番奇妙な経験はどんなものでしたか。

 確かに道中では、素晴らしい人や誠実な人との出会いからフィルムに収めた物語まで、多くのユニークな体験がありました。一番奇妙だったのは、わたしが1人で進んでいたワイオミング州でのことです。わたしはバックパックに2つのバッテリーを入れて担いでいて、そのとき1人でした。わたしがバッテリーを変えていると、酔っぱらった男がわたしのところに来て、Segwayのヒーターが壊れているとわたしに納得させようとし、それから一緒にボストン(最終目的地)までSegwayに乗って行こうとするのです。わたしは、これは本当に1人乗りの乗り物だと言うことを彼に納得させなければなりませんでした。

―旅が終わるころには、Segwayには二度と乗りたくないと思ったのではありませんか。

 いいえ。わたしはSegwayとの関係を悪く思ったことは一度もありません。しかし確かに、1日に50マイルから80マイル進む必要がなく、何日間も続けて同じところにいなくてもいいというのは、素晴らしいことでしたね。

―一連のアメリカの都市を回って、映画館で映画を上映するこのツアーをしようと決めたのはいつですか。

 われわれは約1年間映画祭でこの映画を上演しました。1ダース以上の映画祭で上演をし、3つのベストドキュメンタリー賞を受賞しました。この映画のDVDも出すことができて、この映画をより大きな会場で共有し、映画館で見てもらいたいと思ったのです。それでわれわれは、映画のツアーをやり、われわれが取ったのと似たルートでアメリカを横断し、アメリカの田舎の町や小さな町や、いくつかの大都市でこの映画を共有し、人々に映画を見てもらう機会を持つのがよいのではないかと思ったのです。

―Segwayの発明者であるDean Kamen氏のスターリングエンジンに関する新しい取り組みが最近話題になっていますが、これをどう思いますか。

 そうですね、わたしも読んでいたのですが、その潜在力は一部のスウェーデンの電気自動車に応用されるかもしれないということですね。大変面白いと思います。水の話からスターリングエンジンの取り組みまで、彼は多くの魅力的なことをやっています。彼は確かにパイオニアですし、彼と何度か会ったのは素晴らしい経験でした。

―あなたは、Segwayは今も世界を変えられるという思想を持っていますか。

 そうですね、まだSegwayを中心にした都市は見ていませんが、その可能性は見えますね。問題の1つは、今はSegwayがあまりにも高くて、多くの人の手に届くところにはないということです。しかし、もし多くの人が使えるなら、確実に何かが起きると思いますよ。

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