いかにして本丸のテレビ局に切り込むか--打倒YouTube目指す「Brightcove×トランスコスモス」 - (page 2)

島田昇(編集部)2007年05月25日 14時00分

――動画配信は広告にたずさわるすべてのプレーヤーに支持されなければ、サービス継続が難しいと思います。動画広告の現状と広告市場全体に与える影響について教えて下さい。

 広告市場全体としては拡大していくと考えています。ただ、現状の米国におけるテレビ広告は横ばいあるいは減少の傾向にあり、その理由はネット広告に需要が流れていっていることがあげられます。

 一方、米ブロードバンド広告はテレビ広告と内容が変わらないことが多い。それは単にブロードバンド広告に適したコンテンツがないということと、テレビ視聴の時間が徐々にネット利用の時間に流れているという2つの理由があるためです。

 実際のコスト比較ではブロードバンド広告はテレビ広告のほぼ倍の料金になっています。というのは、利用者の追跡調査を行って効果が計れることと、双方向サービスによって利用を喚起できるためです。さらには、利用者層のデータを俯瞰することもできます。

――ビジネスモデルは全く違いますが、「最終的にどれだけ見られる動画配信プラットフォームを提供できるのか」という意味では、YouTubeと競合すると思います。

 我々は「コンテンツホルダーがどうやって動画配信していくのか」というところから始め、YouTubeは消費者がほかから盗んできたコンテンツで成長してきた、言い換えれば“盗人”のようなモデルで成長してきました。

 確かに、(業界標準の動画配信プラットフォームという)核となる部分ではYouTubeと競合するとは思っています。しかし、いつでもどこでも、どんな動画コンテンツでも見られるというコンセプトで展開している我々の方が、今後の広がりという意味においては期待できるビジネスモデルであると考えています。YouTubeは1つのところに動画を見に行くという方向性ですからね。

 また、我々は著作権侵害対策もサービス開始当初から行っており、当社のサービス利用者がコンテンツを精査し管理できる機能を提供していますし、違法コンテンツをシステム的に排除する機能もあります。

――日本市場参入の狙いと具体的な戦略について教えて下さい。

 当社にとって日本市場参入は、非常に重要なことになると考えています。ブロードバンド環境もいいし、広告市場も伸びている。大企業もネット事業に積極的に取り組んでいるので、当社が事業展開する上での市場基盤が整っている。

 ただ、マネタイズに関してはこれから時間をかけて考えていかなければならないと考えています。現時点ではさまざまな企業との関係を作っていきたいと考えていて、まずは動画制作プロダクション、新聞や雑誌などのメディア、音楽などのエンターテインメント事業者などからアプローチし、徐々にテレビ局などへもアプローチしていきたいと考えています。テレビ局側でネットへコンテンツ配信することに居心地の悪さを感じないようになれば、積極的に彼らを巻き込んでいきたいと思っています。

 戦略的には日本市場参入は決定事項で、トランスコスモスからの出資も受けており、日本市場の情報なども得ています。ただ、具体的な参入時期については決まっていないので、お話しすることはできません。

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