第2位:8Kを縦横無尽に使い表現する濃密な高画質コンテンツ/NHK BS8K「ザ・シティ 生きている都市「ベネチア」「サンフランシスコ」「ハバナ」(8Kコンテンツ)
NHKが開発した放送フォーマットである8Kは「NHK的な仕上げ」という印象がコンテンツにおいても強いが、「ザ・シティ 生きている都市」は8K HDRコンテンツの可能性の広さがわかった画期的な作品だ。映像の素晴らしさというか、HDRの効果の素晴らしさというか、8Kを縦横無尽に使い、4Kまでの世界にさらに生々しい臨場感を加えた表現をしている点に、大変感動した。
サンフランシスコのGolden Gate 3DとNHKの共同制作で、今までにもキューバーやエルサレムを題材にした作品を制作してきた実績を持つ映像プロダクションだ。ベネチア編は精細度のある8K映像に、さらに生々しく、都市の景色を表現。油絵のようなこってりとしたテクスチャを持つ。メインストリートにあたる大運河では波の音とともにゴンドラが揺れ、小路に入ると揺れも収まり、静まり返る。そんな現場の動いている感覚を色濃く伝える。
一方、ハバナ編では、レトロな街並みを色の絢爛さと原色のツヤ感で表現。ここまで再現できるのかと驚く。8Kが持つ表現力を駆使し、既存の8Kコンテンツにはない、新しい切り口で大胆で魅力的な8K映像を作り出す。ザ・シティ 生きている都市は、そんな8Kフォーマットの多様性を教えてくれる作品だ。(c)NHK/GG3D