MBO増加の背景と今後をどう読み解くか

2011年2月15日 13時50分

 2月3日の取引終了後、CD、DVDレンタル店「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)がMBOによる非上場化を発表しました。

 MBOとはManagement Buyoutの略称で、経営陣による自社株式の買収を指します。1月末にも基幹業務パッケージソフト開発のワークスアプリケーションズがMBOの実施を発表するなど、2011年に入って株式非公開化が増加しているようです。

 上場廃止には、上場維持コスト負担と意思決定スピードの向上というメリットがある反面、投資家の投資の機会を奪ってしまうという側面も指摘されています。MBOの増加は今後、株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。


  • 後藤 康成
    後藤 康成さん (フィードパス株式会社 取締役 CTO)
    これまで日本においてはプライベートカンパニーのMBOはさほど珍しい事ではなく、パブリックカンパニーのMBOの例が少なかったのが実情だと考えています。

    パブリックカンパニーのMBOは、パブリックからプライベートになることがフォーカスされるあまり、IPOと相対するコンテキストで語られる事が多いのですが、本来パブリックカンパニーのMBOは、市場環境や経済環境の変化に順応する経営基盤を作り、財務体質の健全化と中長期的に経営にスピードと柔軟性を持たせるための資本政策の1つだと捉えています。

    つまりMBOが増えたからといってIPOが減るという考え方はマーケットに対する近視眼的な見方であり短絡的と考えています。今後は株式市場の状況と企業業績に応じて、マーケットがシュリンクしているときはMBOは増加するでしょうし、マーケットが好調の時には減少する傾向になるでしょう。

    今回のCCCの場合、時価総額が大きい事からMBOのためにレバレッジド・ファイナンスを利用するという、かなり大掛かりで複雑なファイナンステクニックを駆使してMBOを実現しており良い先例になるのではないでしょうか。

    中長期的に見るとステークホルダー(特にTSUTAYA利用者)にとってはメリットが大きいのではとみています。
    2011-02-20 09:15:37

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