質問:今度こそ本当にIPv4が枯渇しそうです

2011年2月4日 11時20分

 複数のインターネット管理団体が、IPv4アドレスブロックの割り振りが終了したことを正式に発表しました。IANA(Internet Assigned Numbers Authority)は最後のIPv4アドレス5ブロックが5つの地域インターネットレジストリ(RIR)に割り振りました。そしてRIRがISPにこれらのIPアドレスを分配し終えたら、これでIPv4アドレスの在庫が尽きる見通しです。

 もちろんこうした事態は以前から指摘されていましたが、残りのアドレスブロックをこれほど早く使い切ってしまうとは予測されていなかったようです。Internet Corporation For Assigned Names and Numbers(ICANN)のCEOを務めるRod Beckstrom氏は、「今回の件は、IPv6の導入が最重要課題となったことを意味する」という声明を発表しました。

 次世代IPアドレス規格である「IPv6」は128ビットのアドレス空間を持ち、アドレス数がほぼ無限と言われています。IPv6への移行はスムーズに進むのでしょうか。また企業にとってIPv6の導入にはどのような課題があるのでしょうか。パネリストの皆さんのお考えを聞かせてください。


  • 江島健太郎
    江島健太郎さん (エンジニア、アントレプレナー)
    IPv4との互換性を捨てた時点でIPv6の負けは確定していたと思います。

    IPv6ならではのアプリケーションが普及を促進する、という目論見が外れたことは、ここ15年ほどの歴史が証明してしまいました。キラーアプリと考えられていたP2Pも、各種のNAT TraversalテクニックによりIPv4ベースで突破口が開かれました。

    アプリケーション開発者としての視点でいうと、サーバに割り振ってもらうIPの価格がv4 > v6になったり、クライアントのNATにバインドされたIPがv6になるのが主流にならない限り、コードをIPv6対応に書き換えるインセンティブが働きません。むしろ今のままでは、IPv6対応する=何の具体的な利点もないままコードを複雑化させる、という逆インセンティブしか働かないのです。

    IPv4がほんとうに希少資源で、需要よりも供給が圧倒的に足りないなら、市場はその価格を上昇させる圧力をもたらすはずです。つまりIPv4の売買による価格の高騰なくしてIPv4枯渇を実感させる方法はない、ということです。

    その際の問題点については、

    (リンク »)

    などで指摘されていますが、自由市場であれ闇市場であれ、「IPv4に値段がつく」という事態はもう不可避じゃないでしょうか。その結果、現時点では予測できないカオスな事態が生じると思いますが、革命的な変化はカオスなくして起きない、というのも一面の事実であると思います。また、このようなカオスは新しいビジネスチャンスの到来でもあります。

    つまり、「IPv4の枯渇」と「IPv6の普及」の間には深い深い溝が横たわっていて、イコールで論じられるものではない、というのが私の考えです。
    2011-02-05 08:56:55

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