アプリケーションの未来はどこを向いている?

2007年9月18日 12時50分

 ついにアドビがPhotoshopオンライン版のデモを公開しました。プロ向け製品を補完する簡易版とのことですが、Photoshopファミリーがオンラインに進出するのは間違いないようです。一方で今年は、同じくアドビが提供するデスクトップRIAプラットフォーム「AIR」や、GoogleやFirefoxによるオフラインサポートなど、デスクトップ周辺の動きが目立ちました。オンラインかオフラインか、それとも両方をうまく組み合わせた新しい仕組みが現れるか。アプリケーションの未来はどこにあるのでしょうか。パネリストの皆さんのお考えを聞かせてください。


  • 江島健太郎
    江島健太郎さん (エンジニア、アントレプレナー)
    アプリケーション(=ユーザインターフェースが重要なソフトウェア、という定義にしておきます)におけるオンライン・オフラインの役割を一言でいうと、

    「ユーザ獲得はオンライン、使い込み(=囲い込み)はオフライン。」

    ほぼこれで言い尽くせると思います。

    今後のアプリケーション開発の王道は、ウェブでヒットしたら徐々にオフライン・サポートに踏み込んでいく、というものになるでしょう。

    逆にいうと、ヒットするかどうかもわからないオフライン・アプリを時間をかけて作るのは負けパターンになってきています。ヒットする製品なんて百のうち一つぐらいなので、まずはウェブベースで手早く作ってヒットの感触をつかんだらオフラインへ。

    従って、Adobe AIRやGoogle Gearsの用途は、結局ウェブ・アプリとして成功したものの補佐的な役割に留まる、というのが私の見解です。(時間とともにこの境界は曖昧になって一体化してくるでしょうが、それは10年以上先だと考えています)

    そもそも、過去のいわゆるオフライン・アプリケーションだって、最後には他人(あるいは別の場所にいる自分)に届けて初めて意味があるデータを作る道具だったのです(文書、表計算、プレゼン、画像編集)。

    むしろ、いままでその届ける部分のプロセスが分断化(ファイルに保存してメール添付など)されていたことこそ問題なのであって、オンライン・ネイティブ化によってこのプロセスの摩擦をなくそうという方向にイノベーションが進むのは、まっとうな進化というか必然といえると思います。

    ところで、アドビはイノベーションのジレンマを乗り越えられる唯一の老舗ソフトウェア会社になるかも知れませんね。主力製品のビジネスを壊すかも知れないようなオンライン版を出せたり、勢いのある旧マクロメディア陣営のパワーをちゃんと活かせていたり、健康な経営状態であることが数字以上によく伝わってきます。
    2007-09-15 04:20:23

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