ウェブアプリケーションのあり方を変える可能性を秘めた新技術として、これまでAdobe Systemsの「Adobe Integrated Runtime」(AIR、開発コードはApollo)、Microsoftの「Windows Presentation Foundation」(WPF)の基本を押さえてきた。最終回となる今回は、Googleの「Google Gears」を見ていこう。
Google Gearsは、ウェブアプリケーションをオフラインでも動作するようにする、ブラウザのプラグインだ。オフライン時はクライアントにデータを保存し、オンラインに戻ったときにはPCとサーバのデータを同期することで、ユーザーはシームレスにウェブアプリケーションを利用できる。地下鉄の中や無線LANが使えない建物などでも、オフィスにいるときと同じようにノートPCでウェブメールやRSSリーダー、グループウェアが利用できるようになると想像してもらえれば、その利便性が理解していただけるだろう。Google Gearsは、以下の3つのモジュールで構成されている。
ただ、Google Gearsは単体では意味をなさない。ウェブアプリケーション側がGoogle GearsのAPIを利用してオフライン対応することで、初めてユーザーにとってのメリットが生まれる。
では、ウェブアプリケーションの開発者は、具体的にどんなことをする必要があるのだろうか。1つは、ウェブアプリケーションを動かすために必要なデータを、クライアントに保存する部分の開発だ。Google Gearsに対応しているRSSリーダー「Google Reader」の場合、Google GearsをインストールしたPCでアクセスすると、右上に緑色のボタンが現れる。ユーザーがこれをクリックすると、自動的に最大2000件のフィードをクライアントに保存する。こういった挙動をウェブアプリケーションに追加する必要がある。
2つめは、ウェブアプリケーションがクライアント内のデータベースを参照しにいく仕組みの開発だ。通常ウェブアプリケーションはサーバ側のデータをクライアントのブラウザに表示するが、これをオフライン時はクライアントに保存されたデータを参照しにいくようにする必要がある。Google Readerであれば、オフラインの間はクライアントに保存された2000件のフィードを表示するといった具合だ。
3つめは、クライアントが再びネットワークにつながった時点で、サーバ側とデータを同期する仕組みの開発だ。Google Readerの場合は、既読情報やフィードに付けたタグなどを同期することで、オフライン、オンラインのどちらでも同じ環境を実現している。
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