Apple ComputerはIntelチップに乗り換えるのだろうか。「言うは易し、行うは難し」だとアナリストらは注意を呼びかけている。
The Wall Street Journal(WSJ)紙が報じところによると、両社は先ごろ提携に関する話し合いを行ったという。これが実現すれば、AppleのコンピュータにIntel製プロセッサが採用されることになる。このようなアイデアは何年も前からあったが、今回はAppleにとってこれまで以上に強力な乗り換えの動機が存在するように見える。
Appleには、成長が続くラップトップ市場向けに、IntelのCentrinoにバンドルされているプロセッサと同様の低消費電力チップを必要としているとの事情もある。現在AppleのG5デスクトップ機向けにIBMが供給しているG5チップは、消費電力が最大100ワットとかなり大きく、また発熱量も多いため、同チップを搭載するラップトップはまだ登場していない。
ただし、チップの乗り換えには大きな問題がある。もしAppleがMac OS Xや各種のアプリケーションをIntelチップに移植した場合、ハッカーやクローンメーカーが、低価格の汎用ハードウェアと市販のApple製ソフトウェアを使って、独自のMacを製造する可能性も出てくる。
Appleのハードウェアは通常、競合他社の製品よりも高価だが、これは同社が特有の設計にこだわっており、その分コストが余計にかかっているからだ(たとえば、第2世代のiMacに採用されている液晶画面はほぼ180度の視野角を誇っている)。そのため、クローンメーカーがAppleより安い製品をつくろうと思えば、簡単にできてしまう。
IDCアナリストのRoger Kayによると、クローンメーカーを受け入れて彼らにソフトウェアを販売すれば、Appleはライセンスで収入を得られるようになるという。しかし、Apple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobsはクローン嫌いで、1996年に同社に復帰した際には、成長の兆しが見え始めていたクローンビジネスを中止させた経緯があると、複数の情報筋が指摘している。
その一方で、望まれないクローンを阻止することは容易ではない。クローン対策の1つとしては、ハードウェアとOSをリンクするBIOSを正規のハードウェアだけ認識するように設計するという手が考えられる。しかし、残念ながらこのような対策は回避が可能で、いずれは抜け道を考え出す者が必ず現れることになる。
「(BIOSを使ったクローン対策システムをかいくぐるための)コストは、大学院生1人を1晩徹夜させる程度の金額にしかならないだろう」とKey。「Appleは、Intelチップに乗り換えることで短期的には成功するだろうが、ハッカーとの戦いがエスカレートし、イタチごっこが永遠に続くことになる」(Kay)
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