Omniture Summit Tokyo 2008の“ベストプラクティスセッション”では、オムニチュアのウェブ解析とオンラインマーケティングソリューションを活用した事例を通して、ビジネス上の課題の解決策が紹介された。米国本社から来日したマット ベルキン氏が、オンラインメディアの場面における同社のソリューションを解説する。
オムニチュアのコンサルティング部門は、130人以上のコンサルタントが在籍し、業界・業種ごとに特化した専門のチームを置いている。ベルキン氏によると、メディア業界のチームは、メディア業界特有の要件や質問の解決に従事しているとのことだ。オムニチュアの考えるメディア業界とは、ニュース、コンテンツ関連のウェブサイトなどで、主に広告収入や購読で成り立っているメディア会社を指す。主要な業績評価指標(KPI)としては、ページビューや広告インプレッション数、購読者数、売り上げ、訪問数、訪問者数などが挙げられる。
「メディア会社の質問でよくあるのは、どのようなコンテンツが最も勧誘性が高いか、どの広告が最も効果が高いかというもの。また、どれくらいの頻度で訪問者が戻ってくるか、どのキャンペーンが成功しているか、どのコンテンツが最も人気があるのかといったところもポイントとして挙げられます。しかし、メディアのコンテンツは高い頻度で変化していくものであり、まずはそれを理解することが大切だと考えます。そして最も重要なのは、訪問者がどのようなコンテンツを求めているかを知ることです」 (ベルキン氏)
オムニチュアのコンサルティングでは、「Omniture Fusion(オムニチュア フュージョン)」という手法が用いられ、すべてのソリューションはこれをベースにしている。また、ベーシックなソリューションを実施した後、アドバンスのソリューションへと展開していくのが主要な流れだ。
「メディア企業が成功するためのお手伝いをするのがオムニチュアです。そのためには、すべてのメディア業界のお客様の状況を把握しなければなりません。メディア業界のお客様がどの部分で、どうやって、どの程度成功しているかを見ていく必要があるのです」とベルキン氏は語る。実際、オムニチュアが今年3月に実施した調査では、ページ広告の効果分析を行っているメディア会社はわずか29%にとどまった。一方、51%の企業はコンテンツの影響分析を行っているという結果が得られたという。
ページ広告の効果とは、どのようなコンテンツが最も広告効果が高いかを分析することにある。これに対して オムニチュアではJavascriptを挿入するだけで、把握することが可能なソリューションを提供している。さらに、広告の効果をクリック数、インプレッション数など、広告の効果をタイプ別によって分析することができる。「トップページ上、検索ページ上など、広告が掲載される場所はさまざまです。セクションごとに広告効果の分析を図ることで、どこのページが有効かを知るための手段になります」とベルキン氏はその効果を力説した。
さらに、もうひとつのコンセプトはコンテンツの影響分析だ。コンテンツにより、エンゲージメント(ユーザー関与)がどれほど得られたかなど、ユーザーが実際にウェブサイトにアクセスし続けた実績が測定される。ブログ、ビデオ、記事など、コンテンツサイトには、それぞれのセクションが存在しており、それぞれにエンゲージメントや勧誘を促す役割を果たしている。
ウェブ解析は導入すれば終わりではありません。解析で得た数値をどのようにしてビジネスに活かしていくか、組織としての運用ノウハウが試されます。KPIの設定といった重要課題から、ウェブ2.0、RIAへの対応など一歩進んだ可能性まで、オムニチュア株式会社のベストプラクティスコンサルタントである大山忍氏がウェブ解析の全貌を解き明かします。