ソルトレイク・シティーをはじめ、シドニー、パリ、コペンハーゲン、ロンドン、ミュンヘンでも開催されているOmniture Summitが今年、初めて東京で開催された。Omniture Summitは全世界で1000社、3,000人以上の受講者が参加しており、オンラインマーケティングのプロフェッショナルのためのカンファレンスとしては世界最大規模を誇っている。今回、東京で行われた「Omniture Summit Tokyo 2008」では、500人以上のウェブ解析とオンラインマーケティングの専門家が集い、最先端のトレンドや事例を学ぶための10時間以上のセッションが提供された。
現在のオムニチュアは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など全世界に16ヵ所の拠点を置き、全世界で従業員 1000人以上がオンラインマーケティングのソリューション提供にあたっている。2008年1月時点のユーザー企業は4,500社以上にのぼり、売上実績は年間1億 4,310万ドルに達しているという。日本での顧客は流通、メディア、旅行、金融、自動車、テクノロジーの各業界にわたって200社以上あり、さらに10 社以上のパートナー企業とも提携している。
講演の冒頭で、ジェイムズ氏は「現在、マーケティングの分野には厳しい目が向けられ、予算削減が強いられているところが多くなっていますが、オンラインマーケティングには継続して投資が行われています。しかし、オンラインマーケティングに対する正当な投資額の決定や結果の評価方法などは、多くの企業にとって課題となっています。オムニチュアは、マーケティング部門がビジネスに直接貢献できる情報を提供していきたいと思っています」と語った。
ジェイムズ氏はオムニチュアが投入する製品やサービスは、80〜90%はユーザーの要望に基づき開発されていると述べ、「競合他社の動きを観察するよりも、ユーザー企業のニーズに応えることが最重要と考えます。ユーザー企業をパートナーと考えているオムニチュアだからこそ、このようにサミットを開催し、説明する意義があるのです」と、今回のサミット開催の主旨が語られた。
ジェイムズ氏によると、マーケティングにおける、現在の世界のトレンドは“ウェブサイト体験の最適化”にあるという。アメリカにおける事例のひとつとして、PC直販メーカーのDELLを紹介。設立当初からインターネットを重要な販売チャンネルと捉えている同社では、オムニチュアのテスト/行動ターゲティングソリューション「Omniture Test&Target」(日本発表時期未定) を導入した。同製品によってランディングページの最適化を図ることで、27%の売り上げ増に成功したという。
また、ユーザーのサイト訪問に力を入れるメディア企業であるCNET Networks Inc.では、運営している音楽購入サイト「MP3.com」に対し、ウェブ解析ツール「Omniture SiteCatalyst」でデータの測定を行ってきた。ユーザーの過去にわたる 閲覧履歴に基づいてコンテンツをカスタマイズし、そのユーザーに最適なコンテンツを表示させるなどの施策に結びつけている。
その他のWeb2.0解析事例としては、NBCが提供するウィジェットではバイラル効果やトラフィック効果の測定、MTVが提供する動画配信ではより高いエンゲージメント、同社サイトの広告効果の向上といった施策が行われている例が挙げられた。
ウェブ解析は導入すれば終わりではありません。解析で得た数値をどのようにしてビジネスに活かしていくか、組織としての運用ノウハウが試されます。KPIの設定といった重要課題から、ウェブ2.0、RIAへの対応など一歩進んだ可能性まで、オムニチュア株式会社のベストプラクティスコンサルタントである大山忍氏がウェブ解析の全貌を解き明かします。