今年1年を振り返って、インターネットマーケティング関連で最も印象的だった手法をひとつ挙げるとすれば、それは断然「サイト内検索」であろう。検索という機能そのものは、広く認知されている手法だが、サイト内検索という分野において、ウェブサイトのビジネスゴールを最大化するために機能拡張が進んでいる、という点が私にとって衝撃的だったのである。
米国の大手サイト内検索ツールベンダーでEndecaという企業がある。米国の名立たるコマースサイトがこのツールを導入しているが、このツールはウェブ解析のデータと連動して、コンバージョン率の高い商品を結果表示させたり、人気の商品の中でも粗利の高いものを優先して表示させたりと、まさしくコマースサイトの「売上を向上させる」というビジネスゴールを達成させるための強力なツールとして、インターネットマーケッター達に重宝がられている。
ウェブ上の消費者心理プロセスを表す「AISAS」に象徴されるように、検索(Search)するサイト訪問者は行動(Action)につながりやすいということで、サイト内検索の最適化が米国のインターネットマーケッター達に積極的に取り入れられている。そこで今回は、ウェブ解析を活用したサイト内検索最適化手法についてお話をさせていただきたいと思う。
数あるサイト内検索の最適化手法の中で、活用頻度が高いのが次の二つである。
サイト内検索最適化ポイントの1つ目は、「検索」という能動的アクションをとったサイト訪問者の意欲をそがないようにすることである。すなわち、検索結果が「0件」だったときに、訪問者を逃がさずに、続けて検索させるための施策が最終的なコンバージョンの改善につながる、と言うわけである。
では、0件検索のウェブ解析データからどのような最適化策が考えられるのか、2つほど例を紹介しよう。ひとつは、同義語辞典の活用である。サイト内検索ツールの中には、同義語辞典という機能を備えたものがある。これは、訪問者が検索ボックスにキーワードを入力した際に、漢字の変換間違いや間違った名称が入力された際、「お探しのものはこちらですか?」と訂正した言葉を提案するという機能である。
なんとなく商品名等をうろ覚えだった訪問者の場合、検索結果が何度も0件表示をされると、その時点で探す意欲が失われてしまう。しかし、他の言葉を提案されれば、最終的に捜している言葉にたどり着く可能性がより高くなると言うわけだ。この機能の精度を上げるために、検索結果が0件だったキーワードの中から入力間違いと思われる単語を探し出し、類義語辞典に追加していくという最適化を行うことができる。
もうひとつは、類似商品/サービスのレコメンデーションである。これは、類義語辞典のパターンと似ているが、キーワードの類似性ではなく、より大きなカテゴリで見た場合の類似提案を行うというものである。
例えば、訪問者があるブランドの商品名で検索した際、自社でそのブランド商品の取り扱いはないが、他のブランドで同じような機能を備えた商品を取り扱っているのであれば、0件結果を表示する代わりにオススメ商品として検索結果ページで提案をすることで、販売機会を生かすことができる。
また、FAQなどでも、検索キーワードと完全一致をした回答文章がなかった場合に、そのキーワードを入力した訪問者の背景から予測できる回答例を提示してあげることで、訪問者の満足度が上がり、またコールセンターの利用度を下げることができれば、コスト削減にも役立つと言うわけである。
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