では、ここからは今回のバージョンアップによる操作性向上や新機能について見てみよう。はじめに、前バージョンと大きく異なる点としてはユーザーインターフェースを刷新したことが挙げられる。
ナビゲーション型の従来のインターフェースから、インタラクティブなメニュー型に変更され、ユーザーの業務や利用シーンに合わせて表示を折りたたむことができるだけでなく、カスタムレポートやダッシュボード、他のオムニチュア製品の表示についてもタブの切り替えでできるようになった。画面を広く使えるようになった今回の改善により、大幅な操作性向上を実現しており、マーケティング担当者の業務効率を劇的に改善するだろう。従来のバージョンを使っていたユーザーには、ちょっとした感動を与えるかもしれない。
また、すべての機能とレポートやヘルプコンテンツといったリソース全体を検索する「インクリメンタルサーチ」機能が追加されたほか、グラフ表示がこれまでの棒グラフ、円グラフに加え、折れ線グラフや積み上げグラフ、散布図など10種類のフォーマットに拡張された。さらにはSiteCatalystユーザーコミュニティーの掲示板やFAQシステムである「ナレッジべース」が日本語にも対応し、使い勝手の良さも大幅に向上している。
また、今回のバージョンアップにおける目玉のひとつが「動画測定機能」であろう。ビデオトラッキング用のプラグインを組み込むだけで「Flash Video」「Windows Media Video」「RealVideo」「QuickTime」などの主要な動画形式に対応した効果測定が可能となる。
この機能では3つのポイントを柱に動画測定が行われる。ブランディングコンテンツのメッセージがどの程度伝わっているかを探る「エンゲージメント」。ブログや他のウェブサイトにどの程度埋め込まれているか、どの程度視聴されているかといったバイラル効果を測定する「クチコミ(ブランド)」。動画を視聴することの資料請求や商品購入に対する効果を計る「コンバージョン」。この3つのポイントを基点とし、視聴回数の把握だけでなく、それらをいかにビジネスゴール達成のための次のアクションへとつなげるかを最終的な目的とする。
具体的には、「ビデオ数レポート」でビデオ別に効果を測定することにより、最も再生回数の多かったビデオ、最も長時間閲覧されたビデオ、そして最後まで閲覧される確率の高かったビデオなどの割り出しも行うことができる。
また、セグメントによるクロス集計にも対応し、ドメイン別などにドリルダウンして詳細データを参照することも可能になったほか、「ビデオ滞在時間レポート」により各ビデオをタイムフレームに沿って計測することもできる。ビデオのどの部分(時間帯)がもっとも再生されているかを最小1秒単位で自動的に計測することができ、インターフェース上の操作で任意の時間単位でレポートを参照することで、ミッドロールのビデオ広告を最も効果的なポイントに挿入することが可能になる。そのほか、ビデオ間の遷移を計測する「ビデオフローレポート」で、あるビデオを見たユーザーが次にどのビデオを再生したのか、または離脱したのかを把握することにより、今後のアクションとしてビデオのレコメンデーションや配置方法、誘導方法の改善などに役立つであろう。
ウェブ解析は導入すれば終わりではありません。解析で得た数値をどのようにしてビジネスに活かしていくか、組織としての運用ノウハウが試されます。KPIの設定といった重要課題から、ウェブ2.0、RIAへの対応など一歩進んだ可能性まで、オムニチュア株式会社のベストプラクティスコンサルタントである大山忍氏がウェブ解析の全貌を解き明かします。