新たにサービスを利用するとき、登録した携帯電話宛てに送信されたSMS(ショートメッセージサービス)に記載のある確認コードを入力してログインする「SMS認証」を経験したことがある人もいるだろう。オンラインでの本人確認の手法として普及している。
日本におけるそうしたSMSサービス提供のパイオニアで、SMS配信サービスのトップシェアを誇るのがアクリートだ。代表取締役社長の田中優成氏に、SMS配信の歴史や急増する「スミッシング」の現状と対策、コロナ禍における企業内の顧客向け業務や地方創生、国内の人口の25%を占める65歳以上の高齢者を含めあらゆる分野で、DXが加速する中で打ち出された、同社の新ビジョンについて聞いた。
携帯電話番号だけでメッセージをやり取りできる手軽さの反面、宅配便会社などのSMSを装い、フィッシングサイトなどに誘導するフィッシング詐欺「スミッシング」が増加傾向にある。送信元を確認しても、アルファベット表記で実在の会社名になっているため、気づくのは難しい。
実は「送信元がアルファベットなのは、海外の携帯電話会社を経由して送信されたメッセージ」と田中氏は話す。いわゆる国際SMSと呼ばれる種類のSMSだ。このアルファベットが送信元のSMSが、スミッシングに使われ、受信者がだまされてしまうのは、そのアルファベットを送信元とするSMSの本当の送信者を、誰も確認、担保できないことだ。
アクリートは、フィッシング対策協議会発行の「フィッシングレポート2020」や迷惑メール対策協議会発行の「迷惑メール白書」にも参画し、SMS配信サービスをはじめ、セキュリティ×コミュニケーションを軸に、企業と個人をつなぐ事業を展開する。最近ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が提供し、SMSの後継サービスとして注目される「+メッセージ」の公式アカウントサービスをいち早く提供するなど、業界をリードする存在だ。
田中氏によれば、企業が個人にSMSを送信する方法には、国内の携帯電話会社と直接接続する「国内直収接続」と、海外の事業者を経由する「国際網接続」の2通りの方法がある。
後者は比較的匿名での利用がしやすいこともあってスミッシングに悪用されるケースが目立つ。一方の国内直収接続には携帯電話事業者とアクリートの間の契約に基づく送信元企業の利用審査があり、匿名では利用できないしくみになっている。
田中氏は「企業がSMS配信サービスを利用する場合は、個人に安心して利用してもらうためにも、携帯電話会社が定める利用審査を実施する事業者を選んで欲しい。SMSは強力なコミュニケーションツールだけに、正しく活用してもらいたい」と警鐘を鳴らす。
国内直収接続にはもうひとつ、到達率が高いという利用する企業にとって大きなメリットもある。到達率とはその名の通り、個人の元にメールが届く確率だ。
国際網接続はさまざまなネットワークやシステムを経由するため、その過程でどうしてもフィルタリングなどで弾かれる可能性が高くなる。スミッシング問題もあり、今後その傾向はより高まることが予想される。国内直収接続の場合、到達率は99.9%(アクリート調べ)にも及ぶという。
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