SMS配信のパイオニア、アクリート社長に聞くー--セキュリティ×コミュニケーションで社会課題の解決へ

黎明期から、日本のSMSに携わってきたパイオニア

 携帯電話の契約には身分証の提示などによる本人確認が義務化されているため、携帯電話番号は個人に紐付く。この強みを活かしてSMSは、2段階認証にも活用されている。ユーザーID、パスワードに加えて、SMSでワンタイムパスコードを発行し、入力してもらう認証方法は、今では当たり前のように利用されているが、アクリートは国内でいち早くユーザーIDと携帯電話番号を紐付ける、SMS認証サービスを提供してきた。

 田中氏は日本の携帯電話がガラパゴスと呼ばれていた時代に、海外のショートメッセージを日本のケータイメールに相互接続するサービスを立ち上げるなど、黎明期から日本のSMSに携わってきた。その代表的な事例のひとつがLINEだ。まだシステムインテグレーターであるインディゴの一事業部門だった2011年から、田中氏とアクリートはSMS認証でLINEの急成長を縁の下から支えてきた。

アクリートの特徴と強み
アクリートの特徴と強み

 「当時日本ではようやくキャリア間でSMSが利用できるようになったばかり。それも個人間でのやり取りに限られていて、法人向けに解放されてはいませんでした。ですからLINEも当初は海外キャリアを経由して認証を行っていたんです。そこから各携帯電話会社に働きかけて、2013年にようやく3キャリアに直接接続する、SMS配信サービスを提供できるようになりました。その背景にはLINEの成功や、MNPでケータイメールが使えなくなるといったことがありました。また当時、コンプガチャやステルスマーケティングなどが社会問題化。より安心・安全な認証方法へのニーズも高まっていました」

「地味な会社でいい」--安心・安全に応えるサービスを

 以降、同社のSMS認証は、LINEを皮切りにGREE、DMM、ミクシィなど、名だたるアプリベンダーに採用されていく。

 競合他社も参入し市場は拡大し続けているが、仕組み作り、ルール作りからパイオニアとして積み重ねてきた「豊富な知見とノウハウ」、指数関数的なLINEのユーザー増加にも対応し、多様なニーズに応えてきた「高いエンジニアリング力」には、「絶対的な自信がある」と田中氏。

「よく地味な会社と言われるが、地味でいい」と田中氏
「よく地味な会社と言われるが、地味でいい」と田中氏

 「世界中から毎日送信される何十万、何百万通というSMSを、きちんと正確に処理するためにはエンジニアリング力が不可欠。長年にわたって改善、改良を積み重ねてきたことが強みですが、それはお客様のご要望に育てていただいたということでもあります。よく地味な会社と言われるのですが、地味でいいと思っています。安心・安全は地味に信頼に応えていくこと。コツコツきちんとやってお客様が成功すれば、それが私たちの幸せ。その良い循環を作っていきたいと思っています」

 SMS認証からスタートし、アクリートのSMS配信サービスは今、より幅広い分野へと活用範囲を広げている。モバイルファーストとなり、電話は好まれずメールは埋もれて届きづらくなりつつあるこの時代に、SMSはよりセキュアに確実に、かつスマートフォンもフィーチャーフォン(ガラケー)も関係なく、幅広いターゲットに情報を届けられる。

 採用関連のコミュニケーションから、顧客へのさまざまな通知や告知、予約の確認から問い合わせ対応まで、現在多くの企業や団体、行政機関に幅広い用途で利用されている。

 「沖縄県浦添市のモデル事業で、大腸がん検診の案内にSMSを活用いただいた例では、メッセージを受け取った人の受診率が受け取らなかった人の約2倍となり、全体の受診率も前年比約40%増加しました。「過去6年間受診歴なし」の未受診者の受診率は、約6.5倍にもなりました。これまでは職員の方が郵送や電話で案内をされてきましたが、電話を受けてもらえなかったり、悪い場合には文句を言われたりすることもあったようですが、SMSなら相手を邪魔せずに用件を確実に伝えられ、ウェブなどのより詳しい情報へも誘導できます。このようなコミュニケーション、業務改善にもっと役立ててほしいと思います」

 アクリートは12月23日、スマートドライブが展開する「Mobility Data Platform」向けに、SMS配信サービスを活用したデータ連携によるソリューションを開発したと発表した。

SMS配信によるデータ連携のイメージ
SMS配信によるデータ連携のイメージ

 今回のデータ連携により、配車依頼や集荷依頼のある住所の近辺にいるドライバーへのSMS一斉送信や、地図上にリアルタイム表示されるドライバーの位置情報に基づいた業務上の指示をSMSを利用して送信できる。これまで業務連絡を電話で行っていた企業の業務生産性の向上、ドライバーの事故防止・安全性に役立つ一例だ。

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