東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月27日、「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきを実施した。
2020年3月14日に山手線30番目の駅として開業した高輪ゲートウェイ駅を中心とする街が、本格的に始動した。
高輪ゲートウェイ駅2階の南改札を出ると、東京在住のフランス人建築家のエマニュエル・ムホー氏が手がける「100色の道」で彩られた、街を横断する1km超のストリート「新東海道」が広がる。歩行者のほか、搭乗できる試運転の自動走行モビリティが5台行き交い、移動をサポートする。
南改札を出て左横にあるイベントスペース「マチアイ」では、高輪ゲートウェイ駅から街歩きして地域の魅力を発見するイベントの第1弾「マチアイカフェバル “マチあるキッチン”」に、新たな出店ショップを追加。港区にあるベーカリーレストラン「Le Pain Quotidian」のオーガニック小麦100%のパンや、「高輪はちみつ」と組み合わせた「FETISH CLUB」の限定のオリジナルビール「芝浜ハニー」、「PASSAGE COFFEE」のオリジナルブレンド「タカナワマチアイブレンド(HOTのみ)」などを楽しめる。
マチあるキッチンは5月6日まで実施し、以降も街と街の交流をサポートするイベントを実施予定。イベントの企画などを担当するJR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー 営業部 イベントユニット 副課長の大川優香氏は、直近ではロストフラワーをテーマにしたイベントを計画していると話した。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、2026年春のグランドオープンを予定している。今回の街開きでは駅前のツインタワー「THE LINKPILLAR 1」の利用が始まった。
THE LINKPILLAR 1は、1フロアの床面積が国内最大規模のオフィスフロアを備える。国際的な企業の本社が移転を計画するなどほぼ満床状態で、2025年度中には約2万人のオフィスワーカーが集う予定。そのほか、国際会議も可能な駅直結のコンベンションホールやビジネス創造施設に加え、秋には「JWマリオット・ホテル東京」「NEWoMan TAKANAWA」などが開業する。なお、NEWoMan TAKANAWAの「ブルーボトルコーヒー 高輪カフェ」「ニコライ バーグマン 高輪店」は同日に先行オープン済みだ。
TAKANAWA GATEWAY CITYでは、THE LINKPILLAR 1に入居予定のKDDIと連携し、さまざまなデータを収集、活用できる「TAKANAWA INNOVATION PLATFORM」を構築する。
KDDIの「WAKONX SmartCityソリューション」を採用し、街の設備や人に関するデータを収集・分析する基盤となる“都市OS”「TAKANAWA GATEWAY URBAN OS」により、データを活用したスマートシティを実現する。「一人一人の興味関心にあった情報のアプリへの配信」「状況に合わせて自律的に行動するロボットサービス」「街全体のリアルタイムデータから未来をシミュレーションするダッシュボード」などを提供するという。
具体的には、3月24日に配信を開始した街の独自アプリ「TAKANAWA GATEWAY CITYアプリ」や、さまざまなロボットを制御する「ロボットプラットフォーム」、鉄道の運行情報、セキュリティゲートの通過情報、防犯カメラの映像、「au」「Suica」の位置情報・属性情報・興味関心のデータ、防犯防災、イベント、商業、オフィスなど、異分野の膨大なデータを個人情報保護に配慮しながら融合、分析する。
提供するサービスの一例としては、4月11日にロボットによる「フードデリバリーサービス」を開始する。リアルタイムな街の混雑情報を防犯カメラデータから取得し、人の多いルートを避けて最短で商品を配送するという。
アプリでは、改札やゲート通過時に興味関心にあった情報の配信、状況に応じて生成AIが投稿内容を変化させるまちマップなどを提供する。3月30日まではダウンロードおよびSuicaを登録して高輪ゲートウェイ駅を出札すると「TAKANAWA GATEWAY CITYオリジナル仕様 前田珈琲のドリップコーヒーパック1点」をプレゼントするキャンペーンも実施中だ。
そのほか、リアルタイムの人流データなどから街の未来をシミュレーションするダッシュボードを運用し、イベントや災害時などに活用するという。
なお、ネットワーク環境はサービス追加や環境変化に対して柔軟に拡張・対応できるよう構築する。その上にさらに、高セキュリティ・高拡張性かつ災害に強いサーバー基盤を構築し、都市OSや各サービスのデータを安全に連携させるという。街と「au」のデータによるスマートシティを実現し、利用者に快適なサービスの提供を目指す。
KDDI ビジネス事業本部 プロダクト本部 スマートシティ事業開発部長の保科康弘氏は、「用途に合わせたセンサーを個別に設置する場合コスト面での課題が生じやすく、PoCや実証実験止まりになりやすい。例えば既存の防犯カメラシステムなど、元々あるものを別用途でも活用できるようチャレンジする。皆さんが気持ち悪くならないよう、丁寧に説明しながらやっていきたい」と話す。
THE LINKPILLAR 1では、このほかにもさまざまな企業と共創する。例えば6・7階には、東京大学、NUS、博報堂、リバネス、ジェイアール東日本企画などを運営パートナーに迎えたスタートアップの支援拠点「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub(LiSH)」を設置する。国内外のスタートアップ100社以上と、アカデミア・アクセラレーター・ベンチャーキャピタルをかけ合わせ、100年先の心豊かな暮らしにつながるサービスを創出を目指す。
JR東日本 マーケティング本部 まちづくり部門 品川ユニット(次世代まちづくり創造)マネージャーの出川智之氏は、「江戸時代、高輪は海であり、江戸と日本各地の交流の玄関口だった。約150年前、日本初の鉄道開業時には、海上に堤を築き、海の上を鉄道が走った。日本の築城土木技術と西洋の機械美術が融合し、イノベーションを生み出した場所だ。このような交流とイノベーションの記憶を受け継ぎ、日本各地および世界への玄関口、グローバルゲートウェイとして交流を生み出していきたい」と、改めて命名意図を説明する。
「TAKANAWA GATEWAY CITYは、100年先を見据えた、心豊かな暮らしのための実験場でもある。この街に関わる多様な共創パートナーが持つアイデアやサービス、そして知を掛け合わせ、より良い未来に資する新たなソリューションを生み出し、国内外からのフィードバックを得て進化させ、多様な社会課題を解決しながら未来へと挑戦し続ける街でありたい。国内外のあらゆる人、文化、テクノロジーをつないで良い未来を創造し、地球も人も健康かつ街で生み出される活動がポジティブに貢献する『地球益』を目指す」と話した。
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