KDDIは5月16日、本社を高輪ゲートウェイに移転すると発表した。JR東日本が再開発を進める「TAKANAWA GATEWAY CITY」の複合棟 I Northオフィスのメインテナントとなる。移転時期は2025年春を予定する。
本社の移転にあわせて、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同で、スマートシティの取り組みを進める。具体的には、「都市OS」の構築を通じて、新たなサービスの創出を目指すという。
都市OSは、街の設備や人のデータを収集分析し、分析したデータを横断的に活用するプラットフォームだ。TAKANAWA GATEWAY CITYでは、街のデータに加えて、JR東日本のSuicaなどの鉄道データやKDDIの人流データなどを都市OSで集約し、デジタルツイン上で分析して主に3つのサービスを提供する。
1つ目は、街の人流などの変化に合わせて、快適な暮らしをレコメンドするサービスだ。オフィスの入退場データ、鉄道データ、商業データなどを組み合わせて分析し、その結果をリアルタイムで実際の街にフィードバックする。例えば「鉄道の混雑時には、混雑回避のために商業施設のクーポンを配信する」などの取り組みを想定する。
2つ目は防災に関する取り組みだ。デジタルツイン上の3D都市モデルと、実際の人流や街の設備データを組み合わせて、高精度のシミュレーション環境を構築する。これを非常時の避難シミュレーションや防災計画の検証などに役立てる。
3つ目はロボットを活用したサービスだ。TAKANAWA GATE CITYでは都市OSのデータを活用することで、ロボットの自律的走行が可能となる。これによって、ロボットが訪問者に直接アプローチする回遊販売サービスなどを提供する。
また、KDDIとJR東日本は、5Gの高速通信などを活用し、離れていても同じ場所にいるかのようなコミュニケーションが可能となる「空間自在ワークプレイスサービス」の提供を開始している。今回の再開発においても、TAKANAWA GATEWAY CITYをコアとして、ビジネス、エンタメ、教育などの分野で、リアルとバーチャルを繋ぐ街づくりを構築するという。
KDDIの髙橋社長は「高輪ゲートウェイは後に(至近の品川駅に)リニア中央新幹線も開通するなど素晴らしい立地で、まさにゲートウェイシティだ。さらに、(空間自在ワークプレイス)でパーチャルな空間をつなぎ合わせることによって、複数の街や地域を有機的に繋げられると思っている」とコメントした。
また、KDDIが入居する複合棟 I Northでは、6、7階には産学官連携のオープンイノベーションを推進するインキュベーション施設や、スタートアップや大学を対象とした「環境生命科学ラボ」なども設置される。JR東日本の深澤社長は「スタートアップとともに新しい取り組みが生まれる街になる」と述べた。
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