9月20日に発売となったアップル・iPhone16シリーズ。
アップルストア、キャリアショップ、家電量販店など様々な販路で購入が可能だが、最近、一部の「iPhone通」で話題となっている購入方法が「カナダから個人輸入」というルートだ。
iPhone 16 256GBモデルをカナダのアップルオンラインストアに発注し、日本への到着を心待ちにしているAさんは「iPhoneは仕事で写真を撮るのに欠かせないツール。シャッター音がしないカナダのiPhoneが欲しかった」と語っていた。
実はiPhoneで撮影する際に強制的に出る「カシャッ」というシャッター音、実は日本特有の機能といわれており、海外で売られているiPhoneでは音が出ないようになっているのだ。
もちろん、iPhoneに限った話ではなく、サムスン・Galaxyやソニー・Xperia、シャープ・AQUOS、Google・PixelといったAndroidスマートフォンで日本で売られているものは撮影時にシャッター音が鳴る。
ただ、iPhoneなどは日本で購入したモデルの場合、日本に居るときはシャッター音がするのだが、海外渡航時にはシャッター音がしないように自動的に切り替わる。どうやら位置情報もしくは接続するキャリアを見て、どこに居るかを判断し、シャッター音の有無を調整しているようだ。
Apple iPhone 16 (256 GB)(Amazon:同リンクから購入すると編集部に収益が発生する場合があります)
では、なぜ日本のスマートフォンはシャッター音がしてしまうのか。
日本でケータイにカメラが搭載され「写メール」として一気に普及したころ、当然のことながら「盗撮への懸念」が問題視された。その際、メーカーやキャリアとしては「シャッター音を強制的に鳴らす」という仕組みを導入することで、そうした非難の声を交わそうとしたのだろう。
数年前にスマートフォン事業に参入したメーカーの幹部は「特に法律があるわけでもなく、業界団体のルールがあるわけでもない。業界内の自主規制なもので、各メーカーは事なかれ主義で、シャッター音を鳴らしているようだ」と語っていた。
ただ、20年前からこの業界を知る関係者は「シャッター音が鳴る理由には諸説ある。かつて当局から『要請』があり、メーカーとキャリアはすんなりと受け入れた。強制力はないはずだが、キャリアからメーカーに対する仕様書には『シャッター音を鳴らす』という項目が記載され、それが常識になってしまった」というのだ。
結果、アップルやグーグルなどの海外プラットフォーマーもこぞって遵守するようになったようだ。
ただ、日本のスマートフォン市場に参入したメーカーの中には、シャッター音が鳴らないスマートフォンも存在した。
また、最近ではソニー・Xperiaは、SIMフリー版においてはシャッター音がしないようにもできる仕様となっている。
カメラ機能を重視するメーカーが増える中で、何でもかんでもシャッター音を鳴らすという状況も変わりつつあるようだ。
Xperia 1 VI SIMフリー(Amazon:同リンクから購入すると編集部に収益が発生する場合があります)ちなみに冒頭のAさんは、なぜ「カナダのiPhone」にこだわったのか。シャッター音のしないiPhoneなら他の国や地域でもいいのではないか。
実はiPhoneは、世界中、国や地域で異なる携帯電話のすべての周波数帯に1モデルで対応するというのが難しい。
そこでアップルでは「ミリ波が必須のアメリカ市場向け」とか「世界とは周波数帯の使い方が若干異なる中国市場向け」など、同じiPhoneの型番であっても、いくつかのモデルを用意しているのだ。
今回、日本で売られているモデルは、ほかにバーレーン、カナダ、イラク、グアム、クウェート、メキシコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、アメリカ領ヴァージン諸島でも売られている。
日本と同じモデルのiPhoneには「技適マーク」もしっかり着いている。技適とは『技術基準適合証明」のことで、電波法によって、日本国内で問題なく使用できるよう検査され、きちんとお墨付きをもらっているというマークなのだ。
他の国で売られているiPhoneには技適マークがついていない可能性が極めて高く、日本で安心して使うには、日本と同じモデルを扱っている国で買うのがベストというわけだ。
日本からオンラインで購入するとなると、英語であれば、ページに記載された内容も理解しやすく、安心して買い物ができる。また、カナダであれば、個人輸入を手伝ってくれる国際荷物の転送業者もあり、購入後、すぐに送ってもらうことも可能だ。
実際、Aさんは日本国内で購入するよりも数万円の負担増にはなるが、発売日から10日間ほどで手元に届いた。
ということで、「シャッター音がしないiPhone」を購入するならば、技適マークがあり、個人輸入しやすいカナダが選ばれているというわけだ。
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