Google Pixelシリーズの廉価モデル「Pixel 9a」(499ドル、日本では税込7万9900円)は例年よりも早めに発表された。Appleの廉価モデル「iPhone 16e」(599ドル、同9万9800円)の発売からあまり日が経たない、非常に都合がいいタイミングだったと言えるだろう。Pixel 9aはまず4月10日に米国、英国、カナダで発売される。日本では9日から予約を受け付け、4月16日に発売予定だ。
Pixel 9aは基本モデルの「Pixel 9」より300ドル(同4万9000円)安いこともあり、カメラやRAMなどは多少ダウングレードされている。しかし、ディスプレイのサイズやプロセッサー、AI機能などの他の機能は同等な上に、バッテリーの容量では上位モデルよりもむしろ大きくなった。
では、Pixel 9aはどのようなユーザーに適しているのだろうか。この記事では、買い換えを検討する際に考慮すべきポイントを挙げていこう。
多くの人にとって、スマートフォンは唯一のカメラであるため、新しい機種を買う時には、よい写真が撮れるかどうかが最優先になることが多い。Pixel 9aには、背面に4800万画素の広角カメラと1300万画素の超広角カメラが、前面に1300万画素のカメラが搭載されている。つまり、9aの背面カメラのスペックはPixel 9や「Pixel 9 Pro」よりも劣っているわけだが、よい写真が撮れるかどうかを左右するのは画素数だけではない。
Pixel 9aのカメラはマクロフォーカス機能に対応しており、被写体のごく近くから撮影してもしっかりとピントが合う。これは例えば、食べもののクローズアップを撮りたい場合などに有効だろう。マクロフォーカス機能は、他の多くのスマートフォンと同じように、超広角カメラではなくメインカメラで実現している。
Pixel 9aで一番注目すべき点は、低価格モデルにもかかわらず、AIを使った写真編集ツールが使えることだろう。利用できるツールには、写真をきれいにしたり背景を修正したりできる「編集マジック」や、グループ写真に映っている人全員を良い表情で撮影できる「ベストテイク」、AIと拡張現実(AR)を使って撮影者も一緒に写真に写すことができる「一緒に写る」などがある。
さまざまな企業が私たちに浴びせかけてくる無数のAI機能に興味があるなら、Pixel 9aは、情報に溺れてしまうことなく、しかもあまりお金を掛けずに流行を体験してみるには格好のデバイスだろう。筆者が、AIの活用法の中でも特に優れていると思っているのは、写真編集ツールだ。高いソフトウェアを買わなくてもスマートフォンで直接写真を加工でき、特別なスキルも必要ない。
AIをもっと深く知りたい人にも、Pixel 9aは向いている。「Gemini」を使えば、文章の作成やブレーンストーミング、アプリをまたいだアクションの実行といったタスクを任せることができるし、「かこって検索」機能を使えば、画面上に表示されているものについてもっと詳しく知ることができる(筆者はこの機能を頻繁に使用している)。これらの機能の素晴らしい点は、デバイスと緊密に統合され、シームレスに使えるようになっているため、自然にAIに慣れ親しむことができることだ。
ほとんどの新型スマートフォンにAIが搭載されている今、なぜAIがそんなに騒がれているのかを理解できない人には、手頃な価格でそうした機能を試せるPixel 9aは魅力的な選択肢になり得る。Pixel 9aを使ってみれば、その理由が分かるかもしれない。
通信会社は2年ごとにスマートフォンを買い換えてほしいのだろうが、Googleやサムスンなどのメーカーは、スマートフォンのOSとセキュリティのアップデート提供期間を7年に延長している。Pixel 9aのような低価格モデルもその恩恵を受けており、予算重視の消費者には、より一層お得だと感じられることだろう。
フラッグシックモデルを買わない人は、機種をアップグレードしたいという気持ちが弱い場合も多い。最新技術を欲しがるタイプの人に売り込まれるのは、もっと高級な(ただし機能的にはそれほど大きくは変わらない)モデルだ。主な機能さえ使えればいいなら、Pixel 9aはそうした雑音を回避するのによい選択肢になるだろう。
同様の理由で、Pixel 9aは、最先端のデバイスを必要としない子ども向けのスマートフォンにも適している。「ファミリーリンク」などの機能を使えば、保護者がプライバシー設定や利用時間の制限、位置情報の共有といった機能を管理できるし、授業の時間帯に通知音を消したり、アプリを無効化したりすることもできる。
Pixel 9aにはフラッグシップモデルのPixel 9やPixel 9 Proと同じ、Googleの「Tensor G4」プロセッサーが搭載されているが、RAMは上位機種の12GBや16GBよりも少ない8GBしかない。ただし、ソーシャルメディアを眺めたり、写真を撮ったり、ウェブを閲覧したりといった日常的な使い方にはそれで十分なはずだ。熱心なモバイルゲーマーなら8GBでは足らないかもしれないが、ほとんどの人は問題を感じないだろう。
Pixel 9aが備えている6.3インチOELDディスプレイも、Pixel 9やPixel 9 Proとほぼ同等で、グラフィックに大きな差はない。60~120Hzの可変リフレッシュレートを採用しているため、スクロールもスムーズに感じられるはずだ。
バッテリー容量も5100mAhで、一日中安心して使える。バッテリー容量が上位モデルの4700mAhよりも大きいという点でも、iPhone 16eと似ている。この点にお買い得感を感じる人もいるだろう。
Pixel 9aにない機能としては、携帯電話やWifiの電波が届かない場所でも衛星を使って緊急通報を行うことができる、Pixel 9の「衛星SOS」機能がある。しかし、人里離れたハイキングコースのような携帯電話が通じない場所に頻繁に行く人でない限り、この機能がなくても気にはならないはずだ。
さまざまな要素を勘案すると、2024年に発売された「Pixel 8a」を持っている人は、おそらく9aにアップグレードする必要はないだろう。この2モデルは、機能面でも、スペック面でも、AIの面でもそれほど大きな差はない。
しかし、今持っているのが「Pixel 7a」で、いくつかの新しいAI機能を試してみたいなら、Pixel 9aに魅力を感じるかもしれない。同じように、「Pixel 6a」以前の機種を持っている人なら、Pixel 9aのカメラや、バッテリー持続時間や、全体的な性能にかなりの差を感じられるはずだ。
もちろん、今のモデルを使い続けて、限られた予算から得られる価値を最大化したいというのであれば、それもそれでいいだろう。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方