京成電鉄は、1月24日に、顔認証乗車サービス「Skyliner e-ticket Face Check in Go」の提供を開始する。これに先立つ23日、京成は同サービスを報道陣に公開した。
顔認証乗車サービスは、京成電鉄が運行する、都心と成田空港を結ぶ空港特急「スカイライナー」で利用できるもの。スカイライナーの事前予約サービス「Skyliner e-ticket」でスカイライナーを予約する際、利用者の顔情報を登録することで、駅の窓口や券売機で並ぶことなく、チケットを受け取れる。
利用者は、ネットでチケットを予約する際、自身のPCやスマートフォンのカメラで顔を撮影し、登録。スカイライナー利用当日は、乗車駅で同サービス対応の改札に設置されたタブレットで顔を認証する。AIがこれを判定し、認証が完了すると、改札機の先に設置した発券機で、チケットを発券する。
チケットは、乗車券と特急券が一体になったもの。列車の発車時刻は予約時に選べず、直近で空席のある列車をシステムが自動で選択し、発券する。認証から発券までの時間は、1人あたり4秒程度。複数人で乗車する場合、顔認証は代表者のみで問題ない。チケットは最大8人まで同時に発券できる。
顔認証乗車サービスの対象駅は、京成上野、日暮里、空港第2ビル、成田空港の4駅。サービス開始時点では、各駅1箇所の改札機を、同サービスの対応改札とする。なお、Skyliner e-ticketは訪日外国人を主なターゲットとしているが、日本人でも同サイトでの予約や顔認証サービスの利用は可能だ。
今回のサービスの中核となる顔認証技術は、丸紅が提供するソリューションだ。同社の顔認証技術による公共交通機関の乗車サービスは、これまでにも熊本の路面電車や長野のバスなどで導入例がある。ただし、顔認証を活用して座席指定列車に乗車できる仕組みは、今回の京成のものが、国内鉄道事業者では初の導入になるという。
近年のスカイライナーは、訪日外国人旅行者の増加で、列車のみならず、駅の窓口や券売機も混雑が見られる。報道公開当日は繁忙期とはいえない時期だったが、公開会場となった京成上野駅では、スカイライナーの窓口や券売機に行列ができていた。スカイライナー自体も、定員約400人の列車が、発車直前には空席が残り70席ほどとなる人気ぶりだった。
同様の混雑は都心側、空港側の双方で見られるが、京成はこの混雑を緩和する対策の一つとして、今回の顔認証サービスの導入を決めたという。混雑要因の一つであるチケットの引換、発券を改札で可能とすることで、利用者が列に並ぶ時間を減らすことが狙いだ。
顔認証乗車サービスで乗車列車が指定できないのは、空港特急という特殊性があるためだという。航空便、特に長距離国際線を利用する場合、到着時刻が予定ダイヤから大幅に前後することがある。また、入国審査や預け入れ手荷物の受け取り、税関通過といった時間を要する箇所もあるため、どの時刻の列車に乗車できるか読めない部分が大きい。そのため、スカイライナーの利用者では、空港駅に到着してからチケットを発券する割合が多いのだという。
課題もある。本サービスはSkyliner e-ticketを対象としたものだが、同サービスの利用者数は多いとは言えないのだそうだ。駅でチケットを直接購入する利用者のほか、海外の旅行代理店でスカイライナーのバウチャーを購入し、駅窓口で引き替える利用者が非常に多いという。京成電鉄 鉄道本部計画管理部 鉄道企画担当課長の土屋稿治氏は、顔認証サービスという便利なサービスを提供していることの認知度向上を図り、利用者に体感してもらいたいと説明している。
また、紙のきっぷ以外で鉄道を利用できるサービスとしては、クレジットカードのタッチ決済機能や、QRコードを活用したサービスの導入が、鉄道各社で進んでいる。土屋氏は、クレジットカードなどによるサービスの導入は、今後の検討課題だとしつつ、まずは現状の課題に最適な形である顔認証サービスを選んだと、その導入理由を述べていた。
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