「Oura Ring 4」ファーストインプレッション--精度が向上、バッテリーも長持ちに

Lisa Eadicicco (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2024年10月10日 07時30分
  1. 「Oura Ring 4」とは
  2. 内側にもチタン採用の新デザイン、サイズの追加
  3. 精度が向上、バッテリー持続時間も改善
  4. 刷新されたOuraアプリ

「Oura Ring 4」とは

 スマートリングメーカーのOuraは先ごろ、人気の健康・睡眠トラッカー「Oura Ring」の最新モデルである「Oura Ring 4」を発表した。この新モデルでは、はめる指に応じて測定値を最適化する進化した測定システムが搭載されたほか、デザインも変更されてチタンを使用する部分が増え、バッテリー持続時間も若干延びた。また、リングを利用するためのOuraアプリのデザインも刷新された。

Oura Ring 4を薬指に着けたところ
Oura Ring 4には新しい測定システムが搭載された。これによって測定精度が向上したという。
提供:Lisa Eadiccico/CNET

 Oura Ring 4の価格は349ドル(約5万1000円)から。予約注文は10月3日から始まっており、10月15日から出荷される。この価格は、第3世代Oura Ringの「Heritage」モデル(299ドル)より50ドル高い。Heritageは、丸いデザインのOura Ring 4や第3世代の「Horizon」モデル(349ドル)とは違って、角張ったデザインが採用されたモデルだ。

 コロナ禍の初期には、NBAがOuraのリングを選手の健康管理に使用したことがニュースになり、Jennifer AnistonさんGwyneth Paltrowさんなどの有名人が着けていたことでも話題になった。しかし昨今では、Ouraの覇権に挑戦しようとするウェアラブルメーカーの数が増えている。最大のライバルはサムスンで、7月には同社初の健康トラッキング用スマートリングである「Galaxy Ring」が米国などで発売された。また、スマートリング以外も含めた市場に目を向ければ、サムスンやGoogle傘下のFitbitが、Ouraが先鞭をつけたコンディションスコアや睡眠スコアなどの健康指標のスコア化を真似ており、競争環境は厳しくなっている。

 Oura Ring 4は、デザインやバッテリー持続時間、測定精度、快適さなど、スマートリングの核となる部分を強化することで新旧のライバルを引き離すことを目指した製品だ。

 同社のコンシューマーソフトウェア製品担当バイスプレジデントを務めるJason Russell氏は、「私たちは、基本的な課題に目を向けることにした」と語った。「どうすればもっとうまく健康状態の全体像をユーザーに伝えられるのか、どうすればもっと快適になるのか、どうすればもっと多くの人に役立つものになるのかを考えた」

 Oura Ring 4で測定できる健康、睡眠、ウェルネスに関する指標は第3世代のOura Ringと同じであり、健康トラッキング機能のほとんどは、利用するのに月額5.99ドル(日本では税込999円)のサブスクリプションが必要だ。しかしRussel氏は、米CNETの取材に対して、この新しく、精度が向上した測定プラットフォームは、「未来のイノベーションを切り拓く」可能性があると述べ、今後新たな機能が追加される可能性があることをほのめかした。

内側にもチタン採用の新デザイン、サイズの追加

Oura Ring 4の写真
Oura Ring 4。
提供:Lisa Eadiccico/CNET

 Oura Ring 4の最も重要な改善点は、アルゴリズムや搭載されたLED、健康トラッカーなどの目立たない部分にあるが、目に見えるデザインにも変更された点がある。まず、対応サイズが小さい方と大きい方の両方に拡大され、4~5号の小さなサイズや、14~15号の大きなサイズが追加された。これに対して、第3世代Oura Ringのサイズは6~13号、Galaxy Ringは5~13号だ。

 仕上げのカラーバリエーションは第3世代Oura RingのHorizonモデルとほぼ同じラインアップで、「ブラッシュドシルバー」「ブラック」「ゴールド」「ローズゴールド」「シルバー」「ステルス」が用意されている。ただし今回のブラックはつや有りで、実際に着けてみると、筆者のジュエリーとマッチする印象的な見た目をしていた。

Oura Ring 4のカラーバリエーション
Oura Ring 4のカラーバリエーション。
提供:Oura

 第3世代のOura Ringには外側にチタンが用いられていたが、Oura Ring 4では、初めて外側と内側の両方にチタンが使用された。重量も軽くなっており、第3世代はサイズによって4g~6gだったのに対して、3.3g~5.2gになった。

第3世代Oura RingとOura Ring 4の比較写真
第3世代Oura Ring(左)とOura Ring 4(右)。
提供:Lisa Eadiccico/CNET

 Oura Ring 4を着けてみた経験から言うと、確かに第3世代よりは軽く感じられたが、リングの幅はGalaxy Ringよりやや広かった。しかし、それよりも重要な変更点はリングの内側にあった。今回は、リングの内側にあったドーム状の部分が取り除かれ、第3世代よりもはるかにスマートで繋ぎ目がないデザインになっている。

精度が向上、バッテリー持続時間も改善

ゴールドのOura Ring 4の写真
Oura Ring 4で利用できる健康やウェルネスに関する機能は第3世代と同じだが、測定システムが新しくなり、精度が向上した。
提供:Oura

 Oura Ring 4の最大の特長は、新たな機能ではなく、従来の健康トラッキング機能が改善されたことにある。Ouraは、新たに「Smart Sensing」システムを搭載したことで、測定精度が大幅に向上したと主張している。このシステムには、着けた指に応じて測定値を最適化するアルゴリズムが搭載されている。

 「すべての指が同じわけではない」とRussel氏は述べた。「それぞれ肌の色も違い、動脈や静脈の位置も異なっているため、測定値の質にばらつきが生じる場合がある」

 さらに、使用できる光路の数が第3世代Oura Ringの2倍以上になっており、得られるデータが増えたという。Smart Sensingシステムのアルゴリズムでは、信号の強さに基づいて最適な光路が使用される。これは、リングを着ける位置などの要因によって信号の強さが変わる場合があるためだ。

 Russeel氏によれば、この新しいアルゴリズムと、LEDと光検出器の数を増やしたこと、内側にチタンを使用したことの組み合わせによって、測定結果の精度が上がったという。例えば、Oura Ring 4には赤、緑、赤外線の3つのLEDを組み合わせた発光部が2カ所あるが、第3世代のOura Ringには1カ所しかない。Russel氏は、内側がチタン製になったことも、信号の品質を下げてしまう迷光(光学システムに紛れ込む設計上意図されていない光)を排除するのに役立っていると述べている。これらの変更点は、Ouraアプリのデータの欠落を減らすことにも繋がるはずだが、同社の主張が本当に正しいかどうかは、実際にリングを徹底的にテストしない限りは分からない。

Oura Ring 4を人差し指と親指で持った写真
Oura Ring 4。
提供:Lisa Eadiccico/CNET

 ただしOuraは、第三者機関による調査も実施している。この調査は、第3世代のOura RingとOura Ring 4を着けた参加者に睡眠クリニックで一夜を過ごしてもらうというもので、血中酸素の測定で信号品質が120%改善したほか、呼吸障害に関する指数の算定で精度が15%向上し、日中の心拍数グラフの欠落が7%、夜間の心拍数グラフの欠落が31%減少したことが明らかになったという。

 ウェアラブル業界で睡眠時無呼吸症候群の検出が注目を集めていることを考えれば、呼吸障害に関する指数の精度が改善されたのは興味深いことだと言えるだろう。Appleは「watchOS 11」を搭載した「Apple Watch Series 9」「Ultra 2」「Series 10」に睡眠時無呼吸症候群の兆候を検知する機能を導入しており、サムスンも7月、「Galaxy Watch7」に同様の機能を搭載している。

 Oura Ringには睡眠時無呼吸症候群の兆候を検出できるモデルは存在せず(これにはOura Ring 4も含まれる)、Ouraもそれが可能だとは述べていない。しかしRussel氏は、Oura Ringで収集した呼吸障害のデータは、ユーザーが問題を感じたときに、医師に見せることで役に立つ可能性があるものだと主張した。

 「第3世代よりも多くの呼吸障害を検出できるようになったことで、Oura Ring 4はより有用なツールになるだろう」と同氏は話した。

 バッテリーの持続時間も改善し、Ouraによれば、第3世代の最大7日間から、最大8日間にまで延びたという。これで、充電をしないまま常に睡眠を記録するのが多少は楽になるはずだ。また、サムスンが主張するGalaxy Ringのバッテリー持続時間を、大きなサイズでは1日間、小さなサイズでは2日間上回ったことになる。

刷新されたOuraアプリ

Ouraアプリの画面
デザインが刷新されたOuraアプリ。
提供:Oura

 Ouraアプリも刷新され、個々の健康指標を見つけやすくなった。新しいバージョンには、「今日」「主要データ」「私の健康状態」の3つのタブが用意されている。以前のバージョンには、ホーム画面以外に「コンディション」「睡眠」「アクティビティ」「レジリエンス」のセクションが存在していた。

 「今日」タブには、その名前からも分かるとおり、その状況に応じて適切で重要な情報が収められており、ユーザーが設定の際に優先すると設定した健康指標や、その時の時間帯に応じて適切な情報が表示される。一方「主要データ」には、個々の健康指標やスコアが表示され、それをタップすれば詳細を調べることができる。また「私の健康状態」では、血管年齢や心臓の健康状態といった、ゆっくりと変化する可能性のある長期的な健康に関するトレンドを見ることができる。このアプリの新デザインは、Oura Ring 4の購入者だけでなく、すべてのOura Ringユーザーに展開される予定だ。

 特にOura Ringのようなそれ自体が画面を持たないデバイスでは、情報の表示方法が健康・フィットネストラッカーとしての有用性を大きく左右するため、今回の変更内容は非常に重要なものだ。アプリやデータの表示方法を改善しながら、ユーザーがよく使う指標やツールはすべてそのまま残すには、繊細なバランス感覚が要求される。GoogleのFitbitは2023年、アプリのデザインを変更してユーザーから批判を受け、そのことを手痛い教訓として学んだ。

 Oura Ring 4をテストする機会が得られたら、また詳しくレポートしたい。Ouraの主張が正しければ、この精度が向上した測定システムによって、指からさらに多くの健康に関する情報が得られる未来がやってくるのかもしれない。

Oura

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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