野村不動産グループが浜松町に本社を「移転する前」に実施した「トライアルオフィス」とは

 野村不動産ホールディングスは、2025年2月に竣工予定の「BLUE FRONT SHIBAURA」S棟に同年夏頃、本社を移転する。点在するグループ各社の本社が集まる大プロジェクトだが、移転約3年前から、部署ごとに一時的に浜松町のオフィスに出社する「トライアルオフィス」という取り組みを実施し、本社移転に向けた準備を開始している。

執務スペース 執務スペース
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 野村不動産は現在、東京都新宿区西新宿の新宿野村ビルに本社を構える。グループ約3000人が同ビルを拠点として勤務しているが、コロナ禍を経て、現在の出社率は7割程度。加えて、本社周辺にグループ会社の拠点が点在するなど、慣れ親しんだオフィスならではの課題も抱えていたという。

 本社移転プロジェクトでは「ウェルビーイング」「エンゲージメントハブ」「ダイバーシティ&インクルージョン」と3つの環境を整え、新たな働きかた「TOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)」の実現を目指す。

 新本社となるBLUE FRONT SHIBAURA S棟は、野村不動産と東日本旅客鉄道が共同で進める国家戦略特別区域計画の特定事業で、浜松町ビルディングをツインタワーS棟とN棟に建て替える。区域面積は約4.7ヘクタール。S棟は地上43階、地下3階で、オフィス、ホテル、商業施設を擁する。

 トライアルオフィスを開始したのは、2022年10月。S棟竣工後に建て替えを予定する浜松町ビルディングに、本社移転のためのモデルオフィスを開設し、効果的な環境構築や働き方の検証を始めた。新宿の本社で勤務する300~400人の従業員が、順繰りにトライアルオフィスで勤務し、約2カ月間を過ごすことが特徴。移動するのは部署ごとで、現在、多くの部署が2ターン目のトライアル勤務を迎えており、トライアルオフィスでの勤務は2年で合計4カ月になる計算だ。

 フリーアドレスが一部にとどまっている新宿本社に比べ、トライアルオフィスでは部署ごとに大まかなホームエリアが決まっているものの、固定の自席はなく、フリーアドレスに近いレイアウトを採用。オフィス内には、働く人同士がコミュニケーションを深める、カフェエリアなども設ける。

カフェスペース カフェスペース
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 同フロア内ながら、入口が2つに分かれているオフィス設計のため、誰がどこにいるのかわからないという課題に対しては、位置が確認できるアプリを社員のスマートフォンに入れ、入口近くのモニターに掲示する。

 トライアルオフィスの導入は、浜松町という場所や新たな働き方に慣れてもらうことを目的にしているのはもちろん、オフィスを供給する事業者として、新しいオフィス空間づくりやデジタルツールなどに関する知見、経験などをため、オフィス事業の強みにしていくことが狙い。

 東京湾を一望できる立地のため開放感のあるオフィスが特徴だが、集中できる個室、半個室ブースも設けるなど、仕事内容に応じてモードを切り替えられるような仕掛けも施している。

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