パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムは8月30日、ガスヒートポンプエアコン室外機の開発と製造を手掛ける合弁会社「パナソニック・ヤンマーGHP開発製造株式会社」を設立すると発表した。開発と製造を効率化し、BCP(事業継続計画)対策や次世代低炭素エネルギーの活用を目指す。
パナソニック・ヤンマーGHP開発製造は、2025年4月に設立を予定。GHP室外機の開発と製造を担い、パナソニックとヤンマーから250名前後の人員が異動するという。群馬県邑楽郡にあるパナソニックの群馬工場と岡山県岡山市に位置するヤンマーの岡山工場を所在地とし、群馬工場に本社を置く。2026年1月には生産を開始する計画だ。
ガスヒートポンプエアコン(GHP)は、ガスエンジンを動力源としてコンプレッサーを駆動する業務用空調機。電気式ヒートポンプエアコンに比べ、消費電力が約10分の1と少なく、夏場の電力ピークカットにも貢献する。パナソニック 空質空調社 社長 片山栄一氏は「災害に対してかなり強靭であるガスを動力にすることで、BCP対応も可能。この分野でしっかりと貢献を続けたいと考えている」とGHPのメリットを説く。
パナソニックは1985年にGHP第1号機の開発、製造を開始し、ヤンマーエネルギーシステムも同時期にGHP事業に参入。両社は技術、ノウハウを蓄積し、ガス空調の発展に貢献してきた。今回の協業では、パナソニックの冷媒技術とヤンマーのエンジン技術を組み合わせ、設計を共通化。開発リードタイムの短縮と、使用部品の内製化率向上、パナソニックの群馬県にある工場とヤンマーの岡山県にある工場の立地条件を活かした東西での安定した生産体制の構築を目指す。
ヤンマーホールディングス 代表取締役COOの山本哲也氏は「今回協業するガス空調分野は、パナソニックとヤンマーがしのぎを削ってきた分野。長年に渡り両社が切磋琢磨してきた強みを補完しあうことで、より強いプラットフォームを構築し、高いシナジー効果が期待できると考えている」と協業に対する意欲を見せる。
今回の協業では、パナソニックが持つ、家庭用から業務用までの幅広いラインアップに加え、室内機も含めたトータル的なシステム全体の開発における展開とヤンマーが有するGHPの基幹部品とも言えるエンジンの強みとそれを動かす技術ノウハウをかけ合わせ、統合シナジーを生み出していくとのこと。
「両社の開発リソースを持ち寄ることで、開発のリードタイムを35%短縮する計画。生産拠点は群馬と岡山の東西2拠点とし、BCPに加え、物流問題に対しても効果が出せるのではないか。また、合弁会社としてともに開発製造していく共用化により内製部品の使用量を倍増できると考えている」(パナソニック 空質空調社 設備ソリューションズ事業部 事業部長の池田博郎氏)とシナジー創出効果を期待する。
協業は、開発と製造に関する部分のみで、販売については親会社の販売戦略によるとのこと。アフターサービスについても各々取り組んでいく方針だ。
会見では、協業する2社がサッカーチームにおいて「ガンバ大阪」(パナソニック)、「セレッソ大阪」(ヤンマー)とライバル関係にあることについて質問が飛んだ。「パナソニックとしてガンバ大阪をしっかり支えていくが、サッカーを盛り上げファンの方にいかに喜んでいただけるかについては2社で協力できる部分があると思っている。大阪を盛り上げるという点においても、サッカーも一緒に盛り上げていきたい」(片山氏)とコメント。
山本氏も「実は今日片山さんと2人でお互いユニフォームを来て会見しようかという話しも事前にあったくらい(笑)。良きライバルがあってこそ試合も盛り上がるので、ファンの皆様には試合をぜひ楽しみしてほしい」と続けた。
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムは、2022年に「分散型エネルギー事業」の開発と販売でも協業を発表「分散型エネルギー事業」の開発と販売でも協業を発表している。
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