3つの生成AIを比較検証--記事執筆に向いているのは【準備運動編】

次ページの「ダウンロード」ボタンから、記事で紹介したプロンプトと詳細な資料をPDFでダウンロードできます。

 10回に渡って続けてきた連載「ChatGPT、70点の回答を100点に育てあげるプロンプトマネジメント講座」。この連載では、ChatGPTに対する指示のコツについて、AIの力を借りながら新規事業開発を行う、フィラメント 代表取締役の角勝氏による解説をお届けしてきた。

 今回からは連載のタイトルを改め、「生成AI実験場」として、扱う内容の幅を広げていく。従来の連載開始以降、多くの生成AIが生まれており、ChatGPTだけについて語れば良い状況でもなくなってきた。また、生成AIについてはまだまだ手探りな点が多いので、私自身、日々新たな発見がある。ここから始まる新たな連載は、ChatGPT以外の生成AIにも目を向け、最新の状況を適宜踏まえながら、実践結果を還元する場所としたい。

 最初の実験は、CNET Japanの記事を、AIに書かせてみるというものだ。それも「ChatGPT 4o」「Claude3」「Gemini Advanced」の3つに同じ指示を出し、比較しながら行なっていく。まずは準備運動として、それぞれの生成AIがCNET Japanを知っているのか、どのようなメディアだと認識しているのかから確認していこう。

生成AIはCNET Japanを正しく認識していた

「あなたは、CNET Japanを知っていますか?」

 3つの生成AIにこの質問をすると、いずれも「知っている」と答えた。それぞれの回答は、以下のとおりだ。




 生成AIの種類によって情報の粒度に差はあるが、どれも正しい答えを返してきている。アメリカ発の情報サイトの日本版であることは3つのAIすべてが言及しており、Gemini Advancedは、運営会社が朝日インタラクティブであることを指摘している。記事の内容については、各AIがテクノロジーやガジェット、ビジネスといった共通のキーワードを出してきており、事実に即しているといえよう。最初の認識としては十分と判断し、次の指示に進むことにした。

 「私はCNET Japanの社員として、新しい記事やイベントの企画を考えています。まずはどういったところから考え始めるべきでしょうか?またその際に注意すべきポイントを教えてください」

 当初は記事と同時にイベントの企画も考えさせようと思っていたので、この形の質問となった。ポイントは、いきなり企画を出させるのではなく、思考順序を明文化するよう指示していることだ。この問いに対しては、それぞれの生成AIが長めの回答を返してきたので、すべてをここに掲載することは省くが、一例としてClaude3のものを載せておこう。



 Claude3は、思考のプロセスと注意点を、それぞれ箇条書きにしてくれた。プロセスについては、1〜5まで、順序通りの印象を受ける。

 ほかの生成AIの回答も似通ったものであった。たとえばChatGPT4oの場合は、思考の順序が全4ステップになっていたが、内容はClaude3が提案してきたものとほぼ同様だった。一方、一番丁寧な回答を出してきたのがGemini Advancedで、企画を考えるうえで重要なポイント、思考プロセス、注意点の3要素を親切に提示してくれたが、内容的にはほか2つと似通っていた。

企画のプロセスを段階的に指示する

 続いて、記事の内容を考えさせる過程に移る。ここで重要なのが、読者ペルソナの抽出、テーマの選定といったステップを箇条書きにし、段階的に回答をもらうことだ。そうすることにより、生成AIが意図しない回答をしてきたときの軌道修正が容易になるし、あとから前の段階に戻って考え直させることもできる。これが、以前の連載で解説した「構造化プロンプト」だ。今回、各生成AIに対して行った共通指示は下記の通りである。


 従来の連載でChatGPTに新規事業企画(第1回第2回)を考えさせたときと同様に、今回もペルソナの考察からスタートした。これは、顧客目線の記事を書いてもらうためだ。また、トレンドやマネタイズ方法まで意識した記事になるよう、話題のトピックを挙げる、マネタイズにつなげやすいキーワードや業界を挙げるといったプロセスも設けている。

 なお、生成AIの思考は、「ユーザーが求めている回答のパターンを、自身が学習しているものの中から抽出し、それを組み合わせて答えを作る」というものであり、意外性のある展開が生まれにくいという欠点がある。それを克服するため、関係者に聞き取りしたコメントもいれて現場の生々しさを意識、起承転結の「転」に当たる部分で驚くべき展開が発生という注文も加えている。文末には、私に確認を求めながら、次のステップに進むことを求める指示を入れた。

 今回はここまでにして、次回から記事の立案・執筆に入っていく。企画の内容や出来上がった記事については、CNET Japanの加納、本連載の文章化を担当していただいているテックライターの畑野氏に評価を依頼し、記事執筆に向いた生成AIがどれかを明らかにするという実験も行う予定だ。ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。

次ページのダウンロードボタンから、プロンプトを含む詳細な資料がダウンロードいただけます。なお、ダウンロードするにはCNET IDが必要になります】

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]