実践:ChatGPTに新規事業企画を立案させる(1)--ペルソナが抱える課題を深掘りする

 2022年11月の登場以降、革新的なAIとして一世を風靡しているChatGPT。まるで人間のような会話が可能な自動生成型AIは、人間の仕事を代替しうる存在として、大きな注目を浴びている。「ぜひ仕事に活かしてみたい」という読者も多いだろう。

 一方で、どうすればこれを使いこなせるのか、わからないという方もいるはずだ。そこで今回は「ChatGPT、70点の回答を100点に育てあげるプロンプトマネジメント講座」と題し、日々の仕事に活かすために必要な知識や使い方を連載でお届けする。解説は、大手企業の新規事業創出をサポートするフィラメントの代表取締役、角勝(すみまさる)氏。角氏は、新規事業やそれに適した人材育成のためのアイデアを練るための相棒として、日常的にChatGPTを使用している。

 連載の3回目と4回目では、ChatGPTに出してもらった新規事業のターゲットのペルソナ情報をもとに、具体的な企画を立案していく。3回目に当たる今回は、ペルソナが抱える課題を深掘りし、それに対するソリューションを見出すところまでをお届けする。

ペルソナの潜在的な課題を引き出す

 本題に入る前に、プロンプトマネジメントの全体像と、今回やることの概念図を示しておこう。下の画像をご覧いただきたい。


 これはプロンプトマネジメント全体の概念図だ。前回は「AIの解答を70点程度から90点程度にブラッシュアップ」する様子をお見せした。今回はその次のフェーズに進んでいく。前回示された解答=新規事業のターゲットのペルソナを土台として、次の思考をさせる=新規事業の具体案を提案してもらうというわけだ。まずは、すでに提案された、8つのペルソナを確認しよう。



 B2Cの事業は、顧客の課題を解決するものでなくてはならない。現時点の表でも、ペルソナごとに彼(女)らが抱えている課題が提示されているが、事業企画の考案に当たってはそれをもっと深掘っていく必要がある。そこで、以下のような指示をした。

 『あげていただいたペルソナのうち、 自己投資志向の起業家、プチ贅沢派、キャリアウーマン、スポーツ好きサラリーマン、自然派ママを対象に新規事業を考えてみたいと思います。 それらのペルソナの「本人すら気づいていない課題」を2つずつ教えてください。表形式で示してください』

 ミソなのは、「本人すら気づいていない」という部分だ。これにより、潜在的なニーズも発見できる。なお、8つあるペルソナから5つに絞ったのは、実際にいそう、リアリティが高そうと感じたものを、私の手で選別したからである。さて、その指示の結果得られた回答が以下だ。


 私の感覚にはなるが、「贅沢派」の「贅沢している自分に対する罪悪感や不安がある可能性」は本当にありそうな課題に思える。しかも、意外と思いつかなそうだ。今回はこの課題を解決する、具体的な事業企画を考えてみたい。企画に結びつけるために、まずは課題の解決策を考えてもらおう。

見つかった課題の、解決策を考える

 『プチ贅沢派の「贅沢している自分に対する罪悪感や不安」を和らげるためのアイデアをいくつか教えてください』

 上記の指示で、ペルソナが抱える潜在的な課題の、さらに上位レイヤーの情報=課題の解決策にまでアクセスすることが可能になった。しかし、これに対して示された回答は、期待はずれのものとなった。


 「時々自分を甘やかすことは必要であると自己許可する」「環境に悪影響を与える可能性があることを意識する」など、半ば精神論のような提案が並んでいる。これらは個々人が心の中で行うものであって、事業として提供する課題解決のアイデアにはなっていない。軌道修正するため、次の指示をしよう。

 『うーん…そういう「気の持ちよう」的な話ではなくて、具体的な解決アイデアが欲しいです』

 ここでは、何が欲しいのかを示すだけでなく、現在の回答のどこがダメなのかを指摘することも大切だ。そして得られた回答が以下だ。


 新規事業企画につながりそうな、具体的なキーワードがいくつか現れた。たとえば、「環境に配慮した方法で生産された商品」「生産者が適切な報酬を得ている」「費用のうち一部を社会貢献に回す」「割引クーポン」といった部分だ。ここで立ち止まって考えよう。提示されたキーワードを整理すると、以下のようになる。

  • 環境やフェアトレードに配慮した「エシカル消費」
  • 支出を抑える「割引クーポン」

 この2つを組み合わせれば、なにかしらの事業企画が生まれるかもしれない。次回は、『「エシカル消費」と「割引クーポン」の2つをキーワードとするビジネスアイデアを作ってください』と、ChatGPTにお願いしてみることにしよう。

角 勝

株式会社フィラメント代表取締役CEO。

関西学院大学卒業後、1995年、大阪市に入庁。2012年から大阪市の共創スペース「大阪イノベーションハブ」の設立準備と企画運営を担当し、その発展に尽力。2015年、独立しフィラメントを設立。以降、新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業に対し事業アイデア創発から事業化まで幅広くサポートしている。様々な産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、オープンイノベーションを実践、追求している。自社では以前よりリモートワークを積極活用し、設備面だけでなく心理面も重視した働き方を推進中。

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