ポケモンがリリースした睡眠ゲーム「Pokemon Sleep(ポケモンスリープ)」について、AI食事管理アプリ「あすけん」の開発・運営を行うaskenと、睡眠研究所である「筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)」と合同で、食事管理と睡眠の関係性に関する調査を実施。その結果を7月11日付けで公表した。
調査対象はポケモンスリープを90日間以上継続利用し、並行してあすけんで一定以上の日数・条件で体重を記録した2063人。その結果、ポケモンスリープの約45%のユーザーにおいて、睡眠時間が長くなったことが確認。また、あすけんで食事管理をしている人のうち、ポケモンスリープによって睡眠時間が伸びた人は、ダイエット効果が約2倍、寝つきまでの時間が短くなった人は、ダイエット効果が2.2倍であったことが判明したという。
2063人の参加者について、睡眠時間の変化について調べたところ、ポケモンスリープのユーザーは睡眠時間が長くなったことが判明。具体的には、ポケモンスリープの利用開始日(0日目)から89日目までで総睡眠時間が、平均0.5時間ほど増加したという。
総睡眠時間とBMIの変化の関連性について調べたところ、あすけんで食事管理をしている人のうち、ポケモンスリープによって総睡眠時間が改善された人は、改善されなかった人と比べてBMIが大きく低下。ダイエット効果が約2倍であったことが判明した。要因として、睡眠が不足すると食欲関連ホルモン(例:グレリン、レプチン)のバランスや、エネルギーの代謝等に影響することが科学的にすでに知られており、今回の調査でも睡眠時間の改善がダイエットの促進につながった可能性が考えられるという。
また、今回の調査期間で入眠時間が改善された人は改善されなかった人に比べて、BMIの低下が大きく、ダイエット効果が2.2倍であったことが判明。上記と同じく、睡眠の改善がダイエットに貢献した可能性が考えらるとしている。
睡眠学者でポケモンスリープの監修者でもある柳沢正史教授は、「今回の研究では、ポケモンスリープのユーザーの睡眠時間や寝つきが改善することや、さらに、睡眠の改善によってダイエットが加速することが示唆された。睡眠改善がダイエットにつながること自体はすでに多くの先行研究で語られているが、睡眠改善とダイエット効果に睡眠計測アプリが寄与したことを示す学術研究は、私たちが知る限り世界で初めて」とコメント。ゲームが睡眠改善やダイエットに役立つことの驚きや、ゲームが生み出すヘルスケアの可能性を科学的に確認できたことに、先行研究と異なる社会的意義を感じているという。今後も研究結果をふまえ、ゲームとの掛け合わせによる睡眠科学の社会実装を進めていきたいとしている。
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