ポケモンは、睡眠をテーマとしたアプリ「Pokémon Sleep」(ポケモンスリープ)を7月20日から配信を開始。それに先立ち、7月19日に配信記念イベント「FUN SLEEP SUMMIT~睡眠をもっと楽しみに~」を開催した。
本作は“朝起きるのが楽しみになる睡眠ゲームアプリ”と題し、睡眠にスポットを当てたタイトルとなっている。対応OSはiOSとAndroidで、基本プレイ無料(ゲーム内課金あり)。このFUN SLEEP SUMMITは2部制で行われ、本稿で記載する第2部ではゲーム概要の説明をはじめ、睡眠の世界的権威として活躍している、S'UIMIN 代表取締役社長である柳沢正史氏によるトークなどが行われた。
冒頭で挨拶したポケモン 代表取締役COOの宇都宮崇人氏は、ポケモンとしてかねてから従来のゲームの枠組みにとらわれない、新たな視点で楽しむコンテンツを提供してきたこと、人々の日常生活における基本動作や行動に着目し、エンターテインメントの力によってそれらを豊かなものに変えるお手伝いをしたいという思いがあると説明。歩くことをゲームとした、Nianticとの共同開発タイトル「ポケモン GO」では、健康促進や社会的なつながりの強化、新たな友人やコミュニティと出会う機会が増えたといった事象を挙げた。
その次に着目したのは「睡眠」であるという。宇都宮氏は、日常生活において睡眠は必要不可欠な活動である一方、多忙であったり日頃抱えているストレスなどにより、睡眠の優先度が低く、義務としてとらえられがちな状況があることを指摘。日本人の平均睡眠時間はかなり低いという調査結果もあることや、自社で独自に行った調査でも、睡眠は義務としてとらえているなど、前向きなものとして考えている人は多くないという実態も見えたという。
このようなことを背景に、朝起きるのが楽しみになるアプリを目指して本作を開発したとし、「睡眠に楽しむという新たな付加価値の提供を通じて、睡眠に対するイメージを少しでもポジティブなものに変えたい」と語った。
柳沢氏は、本作において睡眠情報に関する監修を担当。トークセッションでは理想的な睡眠をテーマとして語った。そもそも睡眠不足、いわゆる“睡眠負債”については「覚醒の依存症」という言い方もできると説明。その状態が続くと、短期的には日中の眠気やイライラなどでパフォーマンス低下を招くだけではなく、中長期的に見るとメンタルの不調をはじめ、メタボリックシンドロームなど生活習慣病のリスクが上がるなど、健康への影響があると指摘する。
日本人の平均睡眠時間が世界に比べてダントツと言っていいレベルで短いことに触れ、短いということは健康だけではなくパフォーマンスにも影響すると説明する。米国のシンクタンク「ランド研究所」の調査研究によるとGDPの約3%(およそ15兆円)を、睡眠不足によって失っているという推計を発表したことがあるという。柳沢氏は、このことを希望的にとらえるならば、日本国民がきちんと眠ると3%の経済成長が見込めるとも語っていた。
その睡眠負債解消として休日に長時間睡眠をする、いわゆる“寝だめ”については、「しないよりはマシ」としつつも、効果は限定的であると指摘。言葉の印象から睡眠の貯金と思われそうだが「そもそも睡眠は貯金できない」と指摘する。本当に睡眠が充足する状態だと、人間は自然と起きてしまうものであり、休日に長時間眠ることは睡眠不足の借金を返済している結果だと説明。また週末にありがちな“遅寝遅起き”については、時差ボケの状態を自分で招いているとし、休日でも同じような時間で睡眠をとることが理想的と説いた。
柳沢氏は「睡眠の質を良くするにはどうしたらいいか?」という質問をよく受けるという。その答えとして「睡眠の質で大事なのは、睡眠の量。十分な睡眠時間を確保することが第一歩であり、時間を確保せず、質を論じるのはナンセンス」とキッパリ。その上で規則正しい就寝時間と起床時間を保つことが大事とした。一方で睡眠について気にしすぎることも良くないことという。実際、睡眠不足と感じている人は、十分に睡眠がとれているにもかかわらず、自身で眠れている気がしないと感じてるだけの場合も多くあるという。そのため、睡眠の見える化など、自身の睡眠状態を客観的に知るということが、より良い睡眠につながるとした。
より良い睡眠をすぐ実践できる方法や秘訣として、「万人に対して明確な答えとなるものはない」としつつも、たとえば本を読んだりお風呂にゆっくりつかったりする、音楽を聴くなど、個々によく眠れるようなルーティンを見つけることが重要とした。ちなみに柳沢氏は自身の体験として「つまらない論文を読むと2、3分で眠れる」と語った。
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