Google傘下の人工知能(AI)開発企業であるGoogle DeepMindは、新たな分子予測モデル「AlphaFold 3」を開発したと発表した。生物分子の構造と相互作用をこれまでより高い精度で予測できるという。Googleは同社ブログおよび米国時間5月8日に学術誌Natureに掲載された論文で、これが創薬の加速などに役立つ可能性があるとしている。
AlphaFold 3は、研究者がタンパク質、DNA、RNAからなるさまざまな構造をテストし、異なる物質がどのように相互作用するかを予測できるようにする。
AlphaFold 3を使ってこのような予測モデリングをすれば、研究を大幅に加速できるとともに、コストも削減できる可能性がある。Googleによると、以前は実験的なタンパク質構造予測を作成するのに何年も、何十万ドルもかかったという。
同社はAlphaFold 3を利用できる分子予測ツール「AlphaFold Server」を無料で公開している。
GoogleはAI事業を拡大するため、2014年に推定4億~6億5000万ドルでDeepMindを買収した。DeepMindは、世界最高峰の囲碁、チェス、将棋のプレイヤーを打ち負かすシステムを開発したことで話題になった。DeepMindはその後、タンパク質の折り畳み問題や結晶構造の発見でも成果を出した。
AlphaFold 2はマラリアのワクチンやがんの治療、酵素の設計などの分野で役立ったという。AlphaFold 3はさらに一歩進んで、「広範な生体分子」に目を向けることで、バイオリニューアブルな材料の発見や、創薬やゲノム研究の加速に役立つ可能性がある。
Googleの姉妹会社であるIsomorphic Labsはすでに製薬会社と協力して、創薬におけるAlphaFold 3の活用に取り組んでいる。
Googleのブログこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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