Googleは米国時間3月19日、「Fitbit」や「Pixel」デバイスのデータを分析し、健康関連のアドバイスや提案を提示できる大規模言語モデル(LLM)「Personal Health Large Language Model」(Personal Health LLM)を同社の「Gemini」をベースにして開発中だと発表した。このモデルを同社製品に統合する時期は明らかにしていないが、実験的プログラム「Fitbit Labs」や、将来の人工知能(AI)機能で活用するという。
Googleは例として、睡眠パターンを分析し、その知見に基づいて個々のユーザーに合ったエクササイズルーチンを提案するという能力を挙げた。この例は、2023年の「Made by Google」イベントで説明されたFitbit Labsの位置付けにも合っている。同イベントでは、なぜ今日のランニングで今までのランニングよりも疲れたのかという質問に対して、GoogleのAIが最近のランニングデータを分析して答えを出すというデモが行われた。Googleによるとこのモデルの訓練には、匿名化され、認定コーチや健康関連の専門家によって検証された事例調査から抽出した健康関連のデータを使用しているという。
今日のスマートウォッチやフィットネストラッカーに搭載されている健康関連機能と同じく、Personal Health LLMは医学的な診断や症状の治療を目的としたものではない。Fitbitのディレクター兼プロダクトリードのFlorence Thng氏がイベントに先立つ報道陣向け説明会で述べたところによると、このモデルの目的はFitbitのデータを理解しやすいかたちで読み解いていけるようにすることだという。
今回の発表は、GoogleのGeminiモデルが歴史的観点で見て不正確な人物画像を生成したという批判にさらされている中で実施された。この出来事は、生成型AIモデルやチャットボットが依然としてハルシネーション(幻覚)やバイアス(偏見)といった問題に悩まされており、提供される情報を無分別に信頼してはいけないという教訓を新たにしてくれる。
Thng氏は報道陣向け説明会で、Personal Helth LLM関連のツールをまず実験的なFitbit Labsの機能として提供し、より広範な展開に向けたフィードバックを得られるようにすると述べ、こうした懸念を払拭しようとしていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」