メルカリは3月6日、空き時間おしごとサービス「メルカリ ハロ」の提供を開始した。同日からメルカリアプリに“はたらく”タブが追加され、本人確認・銀行口座を登録済みのユーザーであれば、面接・履歴書不要で、最短1時間からファミリーマート、日本郵便をはじめとする大手事業者の職場で働くことができるようになる。まずは、1都3県の店舗から求人掲載を開始。各事業者(パートナー)の全国4万カ所以上の店舗の求人を順次公開。あわせて、「働く」に特化した機能が充実するアプリ版も別途提供する。
コロナ禍以降、テレワークやフルフレックス、週休3日制の普及や副業解禁の動きなど、多様な働き方が普及。厚生労働省の調査によれば、パート・アルバイトに従事する非正規雇用者(正社員以外の労働者(出向社員を除く))が、現在の就業形態を選んだ理由は「自分の都合のよい時間に働けるから(36.1%)」が最多で、「家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから」が続いており、それぞれのライフスタイルに合わせた多様な働き方が求められていることが伺えるという。
こうしたニーズを背景に、ライフスタイルに合わせて柔軟に働く時間を選択できるスポットワークのニーズが拡大。スポットワーク協会によると、大手4社の登録会員数は1070万人を突破したという。メルカリが2023年11月に行った調査によれば、「スポットワークを利用したことはないが、利用意向がある」と回答した人は約32%にのぼったという。メルカリはこの回答をもとに、月間利用者約2300万人の中に約750万人の潜在スポットワーカーが存在すると試算。今後もスポットワークの利用者は広がっていくことが予想されるという。
一方で、メルカリが2024年2月に行った調査において、スキマバイトを利用したことがない理由として「登録などの手続きが面倒そう(23.0%)」「自分に合った仕事がなさそう(19.1%)」といった理由があげられ、まだまだ課題があることも指摘。課題を大別すると、「難しそう・面倒」が43.8%、「自分向きじゃない」が19.1%、「ハードルがある」が23.9%としている。こうした背景から、これらの課題を解決して、それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする、メルカリ ハロの提供を開始したという。
特長としては、まず月間2300万人以上に利用されている「メルカリ」を通じて、誰でも簡単にお仕事に応募できること。メルカリ上で本人確認・銀行口座の登録さえ完了していれば、履歴書・面接が不要ですぐに求人に応募することができること。給与についても、働いた後、最短即日振り込みで受け取ることが可能であること。お仕事は、メルカリアプリの“はたらく”タブから探すことができるため、メルカリで買い物をする感覚で、さまざまなお仕事に出会うことができること。お仕事は最短1時間から取り揃えており、さまざまな業種・職種のなかから自分に合ったお仕事、時間帯で選ぶことができることをあげている。なお、利用資格は18歳以上で、外国籍のユーザーは就労資格が必要としている。
初期の求人募集パートナーには、コンビニ、飲食・カフェ、アパレル・小売、物流・倉庫、ドラッグストア、ホテル、ジムなど、1都3県の大手事業者が初期パートナーとして登録。各パートナーの全国4万カ所以上の店舗の求人も、順次公開を進めていくという。
週に複数回など、より高い頻度で働きたいユーザーや常に最新の求人情報をチェックしたいユーザーに向けて、「働く」に特化した機能が充実する専用の別アプリも提供し、応募状況や今後のスケジュール、新着の求人情報を確認・管理することができるという。
給与は当面の間、銀行振込となるが、将来的にはグループ会社のメルペイを通じた給与デジタル払いなど、メルカリグループの既存のサービスと連携し、より便利にサービスを利用できる環境の構築を想定している。
サービス開始にあわせて発表会を実施。メルカリ 執行役員 CEO Workの太田麻未氏は、スポットワークの市場拡大において、柔軟で多様な働き方が求められていることに加え、物価上昇における収入源を増やすことのニーズも高まっている状況があると指摘する。
メルカリ ハロのサービスコンセプトとして、「だれでも、すぐに、かんたんに」としており、スポットワークのサービスにはさまざまな名称があるなかでも、「空き時間おしごとサービス」として展開していくと語る。
求人を行う事業者(パートナー)については、必ず審査を行ない不適切な事業者は利用できないようにしているという。あわせてメルカリやメルペイのサービスで培ってきたトラスト&セーフティの仕組みをメルカリ ハロでも構築し、安心して利用できる環境を提供していくという。また、利用者(クルー)の評価システムも構築するほか、いわゆる“ドタキャン”のような、直前や無断キャンセルなどに対しては、そのキャンセルのタイミングに合わせて、評価に対してや一時サービスの利用停止などのペナルティを設けると説明する。
ビジネスモデルとしては、給与と交通費をあわせた金額の30%をメルカリが手数料として、事業者側から受け取る形としている。なお、サービス開始当初においては、事業者からの手数料は無料で提供するキャンペーンを実施。利用者側には、リリース記念キャンペーンを期間限定で展開するほか、今後働いた先で利用できる「まかないクーポン」の開発も進めているという。
別途単体アプリを提供する意図について、まず既存のメルカリアプリの中にあることで、少し興味がある程度の利用者に買い物感覚で、まず仕事を見てもらうということで関心を集めたいという。一方でメルカリ ハロの単体アプリに関しては、求人を探すところから、応募に勤務、そして給与を受け取ることの一連の流れが長いことや、積極的に求人を探したいというユーザーに向けて、働くに特化しシームレスに利用できると便利と考えて単体でも提供するという。
目標としている事業者の拠点数や利用者の数について、具体的な数値は控えたが「マーケットリーダーを目指してやっていく」とし、高い目標を掲げて展開していくと意気込みを見せていた。
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