テレビアニメ「フューチュラマ」に登場するキャラクターのリーラを、筆者はいろいろな理由で羨ましいと思っていた。かっこいいブーツに紫色の髪、そして宇宙船の船長という職業。だが、子どもが新しい玩具を買ってもらって喜ぶときのように、筆者の技術オタク心を刺激したのは、何といっても、リーラ船長が手首に装着するスマートデバイスだった。そして、ついに、ようやくその夢を現実のものにしてくれそうなのが、Motorolaの最新コンセプトだ。簡単に言うと、おなじみの平たい形状のデバイスとして機能するが、折り曲げると、未来的なガントレットのように手首に巻き付けることができるスマートフォンである。
同社は、2023年にこれを「アダプティブディスプレイのコンセプト機」として披露していたが、2024年のMobile World Congress(MWC)では、これを手に取ってみる、いや手首に着けてみる機会を得られた。どんなものか説明しよう。平たい状態では、普通の「Android」デバイスと同じように見えるが、背面は布張りになっている(もちろん、装着したときの快適さのためだ)。通常のスマートフォンのように、画面をスワイプしながら、メールを読み書きしたり、好きなだけ「Instagram」を楽しんだりすることができる。しかし、普段の操作がひととおり済んだら、アーチ状になるまで折り曲げて、手首にさっと取り付けることができる。
装着するには、併用するマグネット式のストラップを手首にはめておくことになり、それだけでもう「Apple Watch」のミラネーゼループバンドのように見えるのだが、そこに実際の時計部分はない。本体がこの部分にマグネットでくっつき、手首からずれないようになる。このバンドが必要なのは、本体だけでは完全なループにならないからだ。いったん装着すると、日常的に使う限りは固定されるはずで、一般的なスマートウォッチと同じように通知を確認したりできる。再びスマートフォンのように使いたくなったら、手首から外して、平たく伸ばすだけ。素敵だ。
折り曲げられる機構によって、自立スタンドとしても機能するので、テーブルの上に立てればビデオ通話のときに便利に使える。
これを試用するのは本当にワクワクする体験だったし、スマートフォンをこのように装着するというアイデアは実に魅力的だと思う。とはいえ、今回はあくまでもMotorolaの概念実証にすぎず、実際に製品化されることがあるとしても、その道のりは長い。このようなデバイスとなると、値が張ることは間違いないので、購入の検討対象になるまでには、多くの変更が必要になるだろう。
何よりも、このマグネット式リストストラップをなくし、本体をもっと丸めて単体で手首にはめられるようになってほしい。装着したときに煩わしくないように、横幅の小型化も望まれるし、この特異なフォームファクターを真に活かせるようなソフトウェアの最適化も進めてもらいたい。高望みに聞こえるかもしれないが、単にスマートウォッチを使う以上に有用であるという、ちゃんとした理由を示す必要があるはずだ。
一方、この種の製品がすぐに市販されることには、そこまで期待していない。2023年、Motorolaは別のコンセプトモデルも披露した。まるで魔法のように本体から上方にスクリーンが伸びて、画面サイズが広がるというデバイスだ。これも、見たところ、非常にクールだったが、やはり同社が販売を約束しているわけではない。
この手首装着式のスマートフォンが店頭に並ぶ日が来るのかどうかは、今はまだ分からない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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