体操選手よりも柔軟な有機ELディスプレイを目指すサムスンの野望は、常に私たちに喜びと感動を与えてくれる。バルセロナで開催中のMobile World Congress(MWC)に出展されている、同社の巻き取り式や折りたたみ式コンセプトの中に見つけた、手首に巻いて装着するスマートフォンという同社初の試みに、筆者は特に胸躍らされた。同社は現在のところ、これを「Samsung Cling Band」と名付けている。
サムスンは、スマートフォン、スマートウォッチ、フィットネスバンドの開発で確かな実績を持つ。Cling Bandは、それらすべてのデバイスを融合したものだが、まったく新しいものでもある。平らに伸ばした状態では、ごく普通のスマートフォンに見えるが、背面はカメラモジュールの下が段々になっている。「後屈状態」(そう表現するしかないように感じるが、背面側に折り曲げた状態のこと)にすると、体操のブリッジのように完璧な半球形に折り曲がる。
正直、サムスンの腕に巻くスマートフォンコンセプトは現段階で、より洗練されたMotorolaのコンセプトよりも粗削りであるように感じられる。MotorolaのコンセプトモデルもMWCに出展されている。
筆者が見た2つのサンプルのうちの1つには、実際に動作するディスプレイが搭載されており、基本的なスクロール操作を行うことができたが、その大半は、画面上の画像を拡大/縮小するだけの操作だった。Cling Bandは、折り曲がった画面上に写真のギャラリーを表示させた場合に、最も素晴らしく見えた。腕に巻いて装着するスマートフォンはもしかしたら、スマートリング、スマートウォッチ、スマートグラスといった、それよりも確立されたウェアラブルデバイスよりも、本当に興味深いカスタマイズ可能なファッションアクセサリーになる、はるかに高い可能性を秘めているかもしれない。
サムスンのディスプレイチームは、MWCを前に想像力を自由に爆発させることを許可されていたにちがいない。同社のブース全体が、興味深いコンセプトであふれていたためだ。筆者の目を奪ったものの1つが「Flex Magic Pixel」技術だった。プライバシー保護のために画面の視野角を調整して、例えば通勤時に口座残高を確認する場合などに、地下鉄で隣に座る人にのぞき込まれないようにするものだ。この技術は、サムスンの有機EL技術とAI機能を組み合わせたもので、その結果は効果的だった。画面を正面から見た時だけ、そこに表示されているものを見ることができた。
ディスプレイチームはまた、ヘッドホンや車のキーなど、小型のデバイスに情報を表示する小さな有機ELパネルを取り付ける実験も進めている。これは筆者のように、車の鍵をかけたかどうか覚えていないような人間にとっては理想的だ。また、スマートフォンに手を伸ばすことなく、音楽を簡単に操作したり、ヘッドホンのバッテリー残量を確認したりできるというアイデアも気に入っている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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