「iPhone」で撮影した空間ビデオを「Meta Quest 3」で体験

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2024年02月07日 10時40分

 筆者は、サンクスギビングデーに撮影した家族の3D動画を見ている。Appleの「Vision Pro」を手に入れてから、この動画を何度も視聴している。「iPhone 15 Pro」で撮影したその動画の中では、筆者の母親がテーブルをはさんで筆者を見つめており、息子と甥がその近くにいて、姉が食事の準備をしている。ほとんど自分もそこにいるかのような感覚だ。続いて、筆者のお気に入りである自然史博物館の先史時代のジオラマを見ると、まるで自分がため池のそばに立ってのぞき込んでいるかのように感じる。しかし、今回筆者が使用しているのはVision Proではない。筆者が装着しているのは、「Meta Quest 3」だ。

自然史博物館の先史時代のジオラマ
 

 Appleの空間ビデオをMetaのVRヘッドセットで視聴する方法は、一部で既に知られていたが、Metaは、Questの次期OSアップデート「v62」で、それらを視聴する手段を正式に追加した。筆者は、同OSのアーリービルドをQuest 3で試用して、iPhone 15 Proで撮影した自分の空間ビデオを視聴する機会を得て、うまく視聴することができた。完璧ではないが、Vision Proが3499ドル(約52万円)であるのに対して、Quest 3は499ドル(日本では7万4800円)であることを考えれば、かなり素晴らしい代替手段だ。

 空間ビデオは、「Quest 2」(現在の価格はわずか249ドル[日本では3万9600円])や「Quest Pro」でも再生可能になる予定だが、筆者は、Metaの現時点で最高解像度のヘッドセットの使用感を、Appleの最先端の4KマイクロOLEDディスプレイと比較したいと考えた。

 空間ビデオは、Vision Proで視聴する場合でも、やや解像度が低く境界がぼやけているように感じられる。撮影解像度は現在、30fpsで1080pまでに制限されている。4Kのヘッドセットにおいてそれは、撮影動画の鮮明度が実世界よりもやや低く、動画が限られた範囲に収まっているように見えることを意味する。MetaのQuest 3でも、同じようにやや境界がぼやけたフレームの中に動画が再生されるが、Appleの拡大再生モードほど激しくは、境界部分がぼかされてはいない。残念ながら、スクリーンショットを撮影することはできなかった。Metaのスクリーンショットモードでは、動画コンテンツが真っ黒になってしまうためだ(Appleは真っ黒にならない)。

Meta Quest 3
提供:Scott Stein/CNET

 Quest 3では、動画が時々少しカクカクして、100%滑らかとは言えない状態だった。これは、アーリービルドのバグかもしれないが、そうかどうかは不明だ。それでも、思い出の瞬間は十分に美しく再生されて、筆者はQuest 3を、家族や友人と共有してもいいし、自分自身も使ってもいいと思った。また、家族と共有するのは、Questの方がずっと簡単だ。 (Vision Proと違って)メガネをつけたまま使用でき、Vision Proのようなアイトラッキングのための設定も必要ない。

 動画は、iPhone向けの「Meta Quest」アプリでアップロードすることにより、他の写真や動画と同じようにMetaの「ギャラリー」に追加される。ギャラリーに保存された動画は、Questの中の「ファイル」アプリによって、「空間ビデオ」フォルダーの中に確認することができる。

 Metaは、自分でアップロードできる動画がないユーザーのために、空間ビデオのいくつかのサンプルも追加した。Metaの最高技術責任者(CTO)のAndrew Bosworth氏とその家族が浜辺でムール貝を採っている動画や、かわいい犬の動画などが用意されている。

 Metaがこれほど素早く、AppleのiPhoneで撮影された動画に正式に対応したことは、かなり意外だったが、賢明な動きでもある。Metaは、空間ビデオを撮影するための同社独自の方法をできるだけ早く提供するべく、取り組みを進めている可能性もある。例えば、「Ray-Ban Metaスマートグラス」はまだ、3D動画の撮影に対応していない。Bosworth氏は2023年に筆者に対し、初代のRay-Banスマートグラスの当初の設計目的はまさにそれだったと語っていた。Metaは、その3D動画計画を発売前に断念したが、その概念にAppleが再度注目を集めたことを受けて、Ray-Banスマートグラスの新しいバージョンにこの機能を再度取り入れる可能性がある。

 現時点では、3D空間ビデオの撮影にはiPhone 15 Proが必要だ。しかし、iPhone 15 ProとQuestを既に所有しているのであれば、Vision Proの購入を今のところは見送りつつ、既に持っているヘッドセットで未来の没入感を味わうのがよいかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]