KDDIら、国内初の「レベル4」医薬品ドローン輸送--飛行距離は「レベル3」より3割削減

 KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空(JAL)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、ウェザーニューズ、メディセオの5社は、12月20日に東京都西多摩郡檜原村で、3事例目となるドローン「レベル4」飛行の報道公開を実施した。なお、レベル4による医薬品ドローン輸送の実証は、国内初の事例だという。

(左から)桧原サナホーム 施設長 齋藤裕氏、KDDIスマートドローン 代表取締役社長博野雅文氏、日本航空 エアモビリティ創造部部長 村越仁氏、桧原サナホーム 健康推進課 看護責任者 小林和樹氏、KDDI DX推進本部 DXサービス推進部副部長 荻野裕之氏
(左から)桧原サナホーム 施設長 齋藤裕氏、KDDIスマートドローン 代表取締役社長 博野雅文氏、日本航空 エアモビリティ創造部部長 村越仁氏、桧原サナホーム 健康推進課 看護責任者 小林和樹氏、KDDI DX推進本部 DXサービス推進部副部長 荻野裕之氏

「レベル3」から「レベル4」で、飛行距離は3割削減

 5社は12月14日から20日、檜原村で実証実験を実施。レベル4飛行による医薬品ドローン輸送の定期運航を行なった。

 飛行ルートは、檜原診療所から、特別養護老人ホーム 桧原サナホームへの往復4.8km。檜原診療所から離陸し、対地高度約70mで飛行して、桧原サナホームの屋上まで、平日13時に医薬品を定時輸送したという。

飛行ルート
飛行ルート

 着陸場所となる桧原サナホームの周りには、民家が立ち並ぶ。従来のレベル3では、無人地帯上空を飛行するために迂回する必要があったが、レベル4飛行の許可・承認を得ることで、民家上空も含めた最短距離での飛行が叶った。

ドローンが着陸するところ。周りには民家が立ち並ぶ
ドローンが着陸するところ。周りには民家が立ち並ぶ

 本実証に協力した桧原サナホームは、地域の高齢化や物流2024問題への危機意識、また過去には災害時に道路が寸断されて数日間孤立した経験も3度、4度とあることから、本プロジェクトには大変共感したという。

 本実証での輸送物は、檜原診療所で取り扱っている第3類医薬品。将来的には処方薬の輸送も視野に入れ、医薬品配送ガイドラインに則って施錠をかけるなど、ワークフローの検証も行ったという。

桧原サナホームのスタッフが医薬品を受け取ったところ
桧原サナホームのスタッフが医薬品を受け取ったところ

 本実証では、レベル4飛行による運航効率化が、数値で証明された。飛行距離は、レベル4では約4.8km、レベル3では約6.9kmと、約30%削減できた。また飛行時間は、レベル4では約13分、レベル3では約17分と、約24%削減できた。運航効率化により、「バッテリー交換なしでの往復飛行が可能になった」ということで、遠隔運航管理の実現性が示された。

 さらに、レベル4飛行では、レベル3での道路横断時の一時停止など、運航スケジュールの不確定要素がなくなるため、「定時運航」しやすくなるというメリットもあったようだ。

発表会投影資料
発表会投影資料

空撮映像動画(提供:KDDIスマートドローン)


国内唯一の「レベル4」対応機

 使用機体は、ACSL製「PF2-CAT3」。同社の汎用機である「PF2」をベースとして開発された、第一種型式認証を取得済の唯一の機体だ。

機体スペック表
機体スペック表

 フォルトトレランス(耐障害性)の観点で機体の上部にパラシュートや、リダンダンシー(冗長性)の観点で左右ローター上部に2つのGNSSアンテナを装備するなど、従来機種よりも高い安全対策が講じられている。

ACSL社製「PF2-CAT3」
ACSL製「PF2-CAT3」

 レベル4では、第一種機体認証を取得した機体、一等無人航空機操縦者技能証明を保有する操縦者、飛行の許可・承認手続き、各運航ルールの遵守が必要となるが、機体認証を取得した機体はまだこのPF2-CAT3だけだ。

 他メーカーからの申請も上がっているのだが、時間と費用が莫大にかかるという側面もある。レベル4解禁から1年が経過したが、2023年内のレベル4飛行は、3件にとどまっており、用途に合致する第一種機体の供給は今後も課題となりそうだ。

今後の展開--医薬品のオンデマンド輸送を目指す

 KDDIスマートドローン 代表取締役社長の博野雅文氏は、「本実証における地域の課題解決とはまた別に、医薬品輸送固有の課題も存在する」と指摘する。

発表会に登壇した、KDDIスマートドローンの博野氏
発表会に登壇した、KDDIスマートドローンの博野氏

 具体的には、希少、高額な医薬品の管理だ。現状では、このような医薬品がいつ必要になるか分からないため、病院側で保管し、期限がきたら廃棄している。また、病院側に在庫がない場合には、医薬品卸会社から至急配送の対応となる。

 希少、高額な医薬品を、ドローンの活用によってオンデマンド輸送できれば、病院側では廃棄コストの削減、配送管理コストの削減につながる。加えて、物流2024問題は過疎地域だけの課題ではない。ドローンを活用した省人化による物流対策には期待が寄せられている。

発表会投影資料
発表会投影資料

 博野氏は、2021年、2022年にも医薬品ドローン輸送の実証実験を実施したことや、2022年、2023年と茨城県つくば市において検体輸送の実証実験を実施してきたことに触れて、今後の展開についてこのように話した。

 「2023年度内にはドローンポート導入の検証を行い、2024年度以降には都市部でのレベル4実用実証を経て、2025年度以降の都市部でのサービス実装を目指したい」(博野氏)

発表会投影資料
発表会投影資料

 なお、医薬品業界における課題の設定やビジネスモデルの想定については、KDDI、JALらで構成するコンソーシアムにおいて議論を継続中だ。

 今後も、ドローン運航などの役務提供やシステム導入支援を行うことで、まずは大前提となるドローン遠隔運航の社会実装を目指し、そのうえに「医薬品配送」というプラットフォームを付加することで、2025年度以降のサービス実装に向けて引き続き検討を進めていくという。

発表会投影資料
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