アイ・グリッド・ソリューションズと東急不動産は12月15日、新会社「TLC VPP合同会社」を共同で設立したと発表した。同社は、再生エネルギーの送電距離が短く効率のいいオンサイト太陽光PPAを開発し、脱炭素化の取り組みを推進していくという。
オンサイトPPA(Power Purchase Agreement、電力販売契約)は、発電事業者が企業や団体などの敷地内に発電設備を設置して、電気を提供する仕組み。新会社として設立されたTLC VPPは、固定価格買取制度(FIT制度)を利用していない、非FITのオンサイトPPAを開発、推進していく。
アイ・グリッド・ソリューションズと東急不動産は、2023年7月に太陽光PPA共同開発に関する業務提携基本合意書を締結し、8月に東急不動産がアイ・グリッド・ソリューションズに資本参加するなど、連携を深めてきた。新会社は今後3年間で、計100メガワット以上のオンサイトPPA発電所を開発していくことを目標としているという。これは、アイ・グリッド・ソリューションズがこれまで積み上げてきたほぼ同規模のオンサイトPPA施設と比べ、倍のスピードで達成させることになる。
東急不動産で戦略事業ユニット執行役員を務める西田恵介氏は、「今回の提携における、屋根上のオンサイトPPAはとてもよい仕組みだと思っている。電気を遠くまで送るよりも、近くで使ってもらったほうが電気のロスも少なく、コストも抑えられる。何より、発電設備が屋根の上にあることによって、自分たちの使う電気がどこから来ているのかわかりやすい。太陽光発電を小売施設や物流施設に設置し、再エネ電力を直接活用するオンサイトPPA業者は、今後重要性が高まるのではないか」と、取り組みについて説明した。
アイ・グリッド・ソリューションズで代表取締役社長を務める秋田智一氏は、「構造の問題などから、新技術の開発を伴わないと発電設備を載せられる屋根が限定されてしまう。互いの知見を活かして技術を開発していき、さらに2社が合わさることによって企業として信用してもらい、長期的な契約に結びつけたい」と語った。
また、アイ・グリッド・ソリューションズはAI予測などを用いて太陽光発電、蓄電池、EVなど分散型エネルギー源をネットワーク化し、電力の需要と供給を調整する「R.E.A.L New Energy Platform」(リアルニューエナジープラットフォーム)を開発。物流施設などでは屋根の面積に対して電力の消費量が少なく、余剰量が出ることもあるため、このシステムを活用することによって電力の消費比率を90%近くまで上げることができるとした。
新会社TLC VPPは第1弾として、山口県や石川県の物流施設などで、オンサイトPPAを開始する予定だという。
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