Googleが、「Pixel」シリーズのスマートフォンをはじめとするモバイルデバイス向けに、多数の新機能を発表した。この中には、同社が「Gemini Nano」と呼ぶ新しい人工知能(AI)モデルを活用した機能も含まれる。今回のアップデートは、米国時間12月6日からPixelの対象モデルへの展開が開始されている。
変更点の多くは、Googleが以前から提供している機能をさらに強化するものだ。これには、「レコーダー」アプリや撮影済みのピンぼけの写真を鮮明にする「ボケ補正」など、Pixel独自の機能も含まれる。加えて、Googleは「Pixel 8 Pro」を「Gemini Nanoが体験できる初のスマートフォン」としてアピールしており、まずはレコーダーアプリと、「Gboard」で返信文を予測する「スマートリプライ」機能にGemini Nanoを導入したという。これらのアップデートは、GoogleがAIを自社のモバイル製品に組み込んでいることを示す新たな兆候と言える。Googleは10月に「Pixel 8」とPixel 8 Proを発表した際に、こうした取り組みを強調していた。
Pixel 8 Proでは、インターネット接続がない状況でも、レコーダーアプリで録音した会話の内容を要約できるようになる(英語版のみ)。また、スマートリプライにもGemini Nanoが導入されており、「会話の内容を意識した質の高い応答」が提案できるようになる(英語版のみ)と、Googleは公式ブログで説明している。このGeminiを採用した新しいスマートリプライ機能は、現時点では開発者プレビュー版で、利用できるアプリは「WhatsApp」のみだが、2024年には他のアプリにも拡大する予定だ。
今回のアップデートでは、撮影した動画をクラウドに送信すると、色や明るさ、手ぶれ補正、画像の粗さが自動的に調整される「動画ブースト」機能もPixel 8 Proに追加される。この機能はGoogleが10月に発表していたものだが、ようやくハイエンドモデルのPixel 8 Proに搭載されることになった。
そのほかの注目すべき機能としては、「ボケ補正」のアップグレードがある。これにより、人間に加えて動き回るイヌやネコが撮影されている写真でも鮮明化が可能になった。折りたたみ式スマホの「Google Pixel Fold」では、カメラアプリで内側の画面をビューファインダーとして使っている間、同じ画像が外側の画面でもプレビューできるようになる。Pixel Foldおよび「Pixel 6」以降の機種では、デバイスをコンピューターにUSB接続するとウェブカメラとして使用できるほか、「通話スクリーニング」機能の使用時には、通話の内容を踏まえたスマートリプライが利用できる(対象言語は英語のみで米国限定提供)。
また、今回のアップデートで、Googleの「パスワードマネージャー」がパスキー対応アカウントを自動で検知できるようになる。パスキーとは、生体認証と物理デバイスを使う新しい認証方式だ。パスワードを使うよりも安全で、採用が拡大している。
今回のアップデートの変更点の中には、GoogleがサムスンやAppleで採用されている機能を取り入れたものもある。例えば、修理に出した時に個人情報へのアクセスを防ぐ「修理モード」が導入されるが、これはサムスンが2022年に全世界で導入した「メンテナンスモード」を彷彿させる。また、「Pixel Watch」で近くにあるPixelスマートフォンのロックを解除できるようになるが、この機能は「Apple Watch」ではかなり前から提供されているものだ。先ほど挙げたウェブカメラ機能も、Appleの「Mac」と「iPhone」の「連係カメラ」モードに似ている。
すべての新機能のリストはGoogleのブログで見ることができる。
Googleの発表この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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