Googleとサムスンの最上位スマートフォン、例えば「Pixel 8 Pro」や「Galaxy S23 Ultra」などのモデルは、総合的に素晴らしいパフォーマンスを発揮する。その分、価格も高く、予算に限りのある購買層にはなかなか手が出しにくい。だが幸い、もっと手頃な価格の機種も用意されている。高価なフラッグシップモデルと外見も動作も似ていて、そのうえ出費は十分に節約できるモデルだ。Googleの最新エントリーレベル機である「Pixel 7a」は、価格のわりに驚異的なスペックが詰め込まれており、総合的なパフォーマンスも申し分ない。それより古い「Pixel 6a」も、さらに低い価格で今でも販売されているので、出費をさらに抑えたい場合には、そちらも購入候補になりそうだ。
一方のサムスンにも、堅実な低価格モデルとして「Galaxy A54 5G」がある。こちらも、日常的に欠かせない機能はすべて網羅しており、かなり魅力的な価格で売り出されていることが多い。
では、どのモデルを選べば、最も高い費用対効果を得られるだろうか。選択の参考になるように、Pixel 7a、Pixel 6a、Galaxy A54 5Gの3つの機種を比較してみた。
Pixel 7aの定価は、発売当初こそ499ドルと3機種のなかで最も高価だったが、その後引き下げられて、現在は374ドルとなっている(日本では現在6万9300円)。正式にはPixel 6aの後継機だが、どちらも引き続き販売されている。Pixel 6aの方は値下げ後で349ドル(同5万3900円)なので、Pixel 7aとあまり差はないが、各店舗の割引を利用すれば実質的にはもっと安く購入できる。
サムスンは、Galaxy A54 5Gを449.99ドルから(日本では6万9230円から)販売しており、米国の場合、Pixel 7aの現在の割引価格と比べると、3機種の中では最も高価になる。ただし、4月に発売されて以来、さらに割引は進んでいるので(BestBuyでは375ドルまで下がっている)、少しでも節約したいなら、店舗やサイトをいくつも見て回った方がいいだろう。
ディスプレイは、Galaxy A54 5Gが6.4インチなので、Pixel 6aおよび7aの6.1インチより大きい。日常的に使う場面では、明るさの点でも勝っていて、日差しの当たる屋外ではGalaxy A54 5Gの方が読み取りやすい。解像度はPixel 7aと6aの方がわずかに高いが、並べてみてもシャープネスにそこまでの差は感じられない。
リフレッシュレートは、Pixel 6aが標準的な60Hzで、Pixel 7aは最大90Hzに対応する。率直に言うと、日常的に使っているとき実際にこの差に気付くことはまずない。Galaxy A54 5Gになると、さらに上がって「最大」で120Hzとなっている。両方を並べて、同時にメニューをスクロールしてみたが、それほどの差は感じられなかった。もっと目の良い人なら違いが分かるかもしれないが、仮に差があったとしても、優劣をつけられるほどの要因にはならないはずだ。
新しい「Tensor G2」チップを搭載しているので、Pixel 7aの方が処理能力は高いだろうと考えるところだが、実際のベンチマークテストでは、Pixel 6aを下回っていた。といっても差はごくわずかで、日常的に使っていて気付くほどではない。どちらも動作は軽快で、操作もスムーズ、アプリの読み込みも高速で、ゲームの処理も全く問題なかった。
テストで最も見劣りしたのがGalaxy A54 5Gで、ベンチマークのスコアは特に、より手頃なPixel 6aと比べてさえ残念な結果に終わった。それでも、筆者の日々の用途はすべて問題なくこなしており、実際に遅いと感じたのは、「原神」のようにグラフィック要件の高いゲームを高画質設定でプレイしたときだけだった。
Pixel 7aも6aも、広角レンズと超広角レンズを採用し、上位機種「Pixel 7 Pro」とPixel 8 Proで採用されている望遠ズームカメラは見送られている。Pixel 7aは、センサーの解像度が上がった分、前モデルのPixel 6aより優れているが、総合的な画質は甲乙つけがたい。どちらも写真のダイナミックレンジは広く、色の再現性が正確でディテールも細かい。
Galaxy A54 5Gでは、メインと超広角のレンズに5メガピクセルのマクロカメラが追加されたが、昆虫のクローズアップのような珍しい写真を撮るのでなければ、無用な追加だ。メインカメラは、50メガピクセルと余裕の解像度だが、実際の写真はPixelの両モデルと比べると見劣りがする。色の彩度が不自然に高く、コントラストの強い空では、ときどきハイライト部分が飛んでしまうこともある。
Galaxy A54 5Gのメインカメラで撮影する写真は、寒色系が強いが、超広角レンズに切り替えると暖色系に大きく変わるという傾向もある。一方、Pixelの両モデルでは、広角から超広角に切り替えても色調は適切に維持される。
海辺で子どもたちの生き生きとした写真を気軽に撮るくらいであればGalaxy A54 5Gでも十分だが、それ以上に写真の優先度が高いようなら、Pixel 7aを検討するといいだろう。
バッテリー容量は、Galaxy A54 5Gの方がPixelの両モデルより若干大きい。だが、ディスプレイも若干大きい(つまり、電力消費が大きい)ので、総合的なバッテリー持続時間は、3モデルともほぼ互角だ。筆者が行った「YouTube」動画を再生し続けるバッテリーテストでは、Galaxy A54 5Gの方がPixel 7a/6aよりわずかに消費が速かったものの、総合的な使用環境を考えると、気にするほどの差はない。
使い方に気をつけつつ、動画再生やゲームに使いすぎないようにすれば、どのモデルも丸1日は使い続けることができるはずだ。いずれも、毎晩のフル充電は必要になるだろう。
3モデルとも、OSは最新の「Android 13」が動き、Googleもサムスンもそれぞれのモデルについて最大5年間のセキュリティアップデートを保証している。つまり、2022年発売のPixel 6aは2027年にサポートが切れるということであり、2023年に発売されたPixel 7aとGalaxy A54 5Gは2028年までサポートが続くことになる。
ただし、サムスンは4世代の「Android」OSアップデートを保証している。Pixelの両モデルより充実したサービスなので、スマートフォンを長期間にわたって存分に使いたいのであれば、この点は心に留めておくといいだろう。
もっとも、筆者としてはPixelで採用されているAndroid 13のインターフェースの方が好みだ。サムスンの「One UI」スキンよりも、概ね軽快で使いやすい。これは、Galaxy A54 5Gで特に目立った。サムスンは多くのサードパーティー製アプリをプリインストールしているため、ごちゃごちゃしてブロートウェアのように感じられる。
基本のストレージは3機種とも128GBだが、Galaxy A54 5Gには隠れ技がある。今では希少な機能になっているが、microSDカードでストレージを拡張できるのだ。対応するカードの容量は最大1TBで、128GBのカードは12ドル(約1780円)程度なので、実質的に本体のストレージを増やして、写真や動画、アプリに十分な容量を確保できる。
サムスンのGalaxy A54 5Gは、OSのサポート期間が長く、ストレージも拡張できるかもしれないが、それ以外のほとんどの点ではPixelの両モデルに及ばない。カメラ、ユーザーインターフェース、プロセッサー性能、バッテリーはいずれも、Pixel 6aおよび7aの方が優れており、どちらも購入候補になりそうだ。
Pixel 7aと6aのどちらにするかは難しいところだが、Pixel 7aの現在の割引価格を考えると、迷う余地はなくなる。より古いPixel 6aとの差額はわずかな上、カメラ機能が向上しており、ワイヤレス充電、顔認証でのロック解除といった機能もある。Pixel 6aでも日常的な使い方では総合的に堅実なパフォーマンスを発揮するので、1円でも節約したいというのであれば購入候補になるが、お勧めしたいのはやはりPixel 7aだ。
Pixel 7は、Googleのローエンドのフラッグシップモデルで、仕様はPixel 7aと似ているが、価格は100ドルほど上乗せになる(日本の場合は1万3200円高い8万2500円から)。優秀なモデルであり、米CNETの「Editors' Choice Award」も獲得しているが、Pixel 7aが登場した今となっては、それより古いこのモデルに余分に出費する妥当な理由を見つけるのはかなり難しい。
米CNETのLisa Eadicicco記者もこう述べている。「この両モデル(Pixel 7と7a)をレビューしてみて、ほとんどの人にとってコストパフォーマンスが良いのはPixel 7aだと確信した」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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