モトローラ・モビリティ・ジャパンは11月20日、折りたたみスマートフォン「motorola razr 40」の国内発売を発表した。
オープンマーケットのほか、「motorola razr 40s」として、ソフトバンク専売モデルも発売する。ハードウェアは同じだが、「セージグリーン」「バニラクリーム」の2色に加えて、ソフトバンクでは「サマーライラック」を加えた3色を展開する。
発売は、razr 40が11月22日から、razr 40sが12月8日から。razr 40sはMNPなどの条件を満たせば、9万9680円で購入が可能だ。また、48回分割払いで購入し、「新トクするサポート」を利用(25カ月目に機種回収)する場合は、25回目以降の機種代金の支払いが不要となり、実質支払い額が9840円になる。
折りたたみスマートフォンはまだまだ高価という印象があるが、本機はその中でも手が届きやすい製品と言えそうだ。メーカーから発売前の製品を試す機会を得たので、気になったポイントを紹介したい。
まずは外観からチェックしていこう。折りたたんだ状態でのサイズは、高さ約88.24mm×幅73.95mm×奥行き15.8mm、重さ約188.6g。普段持ち歩いているストレートの大画面モデルに比べると、当り前だが非常にコンパクトだ。
外装に手触りのしっとりとしたヴィーガンレザーが採用されているのが特徴で、フレームにはカラーごとに着色された、つや消しのメタル素材を使用。折りたたみのヒンジは隙間なく閉じていて、強く握ってもびくともしないしっかりとした剛性がある。一方でピタッと閉じつつも中に隙間ができる工夫がされていて、ディスプレイに強い折れ目がつかない構造になっている。
ヴィーガンレザーとつや消しメタルの質感がとてもいいので、筆者ならケースなどつけずに裸のまま、ジャケットやパンツのポケットに入れて持ち歩きたい。IP52相当と防水性能は低いものの、防じん性能はそこそこ高いので安心してポケットに放り込めるし、折りたたみだから約6.9インチの大画面が傷つく心配もない。何よりコンパクトなのでポケットからはみ出さずに、すっぽり収まるのがうれしい。
現在発売中で同じく折りたたみの「motorola razr 40 ultra」は、前面に約3.6インチと大型のサブディスプレイを備えているが、razr 40のサブディプレイは約1.5インチ(198×368ドット)と小さい。ultraではメインディスプレイを開かなくても、多くのアプリがサブディスプレイで使えるが、本機のサブディスプレイは時計の表示や通知の確認など、用途が限定的だ。
画面を開いた状態でのサイズは、高さ約170.82mm×幅73.95mm×奥行き7.35mmで、約6.9インチFHD+(2640×1080)の有機ELディスプレイが利用できる。アスペクト比は22対9で、一般的な16対9に比べると縦に長く、その分だけSNSのタイムラインなど、縦に流れる情報をチェックしやすい。
また、2つのアプリを同時に使用する画面分割も、1つ1つを大きく表示できる。ディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hzまでをサポート。早いスクロールでも画面のちらつきを感じることはなく、太陽光下でも十分に明るく見やすい。
搭載されている「Qualcomm Snapdragon 7 Gen 1」は、ミドルレンジ向けのチップセットだが、筆者が試した限りでは、撮影や写真の編集、高精細なゲームといった負荷の高い作業でも、特にもたついたり、動作が不安定になるようなことはなかった。メモリーは8GB、ストレージは256GBで、OSには「Android 13」を搭載。過度なカスタマイズを加えずに、Androidほぼそのままの機能が使えるのは、モトローラのスマートフォンの特徴だ。
閉じたときに前面にくるアウトカメラは、光学手ぶれ補正対応の約6400万画素(F値1.7)のメインカメラと、約1300万画素の超広角(F値2.2、画角120度)カメラという組み合わせ。ディスプレイ丈夫に配置されたインカメラも、約3200万画素(F値2.4)と高精細だ。
メインカメラのズームはデジタル8倍までとなるが、超広角カメラはマクロ撮影にも対応。「ナイトビジョン(夜景)」や、背景をぼかせる「ポートレート」のほか、1色だけ残してあとをモノクロにする「スポットカラー」、アウト、インを1画面に同時撮影する「デュアル撮影」など、独自の撮影モードも充実している。
サブディスプレイを使って、高画質なアウトカメラでのセルフィーや、90度に折った状態でスマホを置いて、少し離れた場所からタイマーでシャッターを切るなど、多彩な撮影方法が楽しめるのも折りたたみならでは。以下は、実際にrazr 40で撮影した写真だ。
中でも筆者が気に入ったのが、端末を2回振ってサブディスプレイにカメラを起動し、音量ボタンを押してセルフィーする方法。端末を振る動作でカメラが起動するのは、モトローラのスマートフォンに共通するジェスチャー操作だが、それをディスプレイを閉じたまま、ここだと思うシーンでサクッと手軽に、しかもメインカメラで撮れるのが楽しい。メインカメラは暗いシーンにも強いので、これからのイルミネーションがきれいなこれからの季節に重宝しそうだ。
モトローラが「フレックスビュースタイル」と呼ぶ、ディスプレイを90度に折ったスタイルはカメラ撮影のほか、ビデオ会議の際にも便利に使える。スタンドなしでポンと置けるのは、無段階に固定できるヒンジのおかげだ。このスタイルで動画視聴もできるのだが、サウンドはステレオスピーカーが左右にくる横の状態で聞いた方がより臨場感を感じられる。6.9インチの大画面を活かすためにも、動画視聴は横で楽しむ方がおすすめだ。
画面サイズが大きいとその分だけ電力も消費するが、razr 40は折りたたみスマートフォンとしては大容量の4200mAhのバッテリーを搭載しているため、動画なども安心して楽しめる。電池の持ちは、もちろん使い方によっても大きく変わるが、筆者の場合は体感で1日半~2日間くらい使えた。
普段使っているスマホではそこまで持たないので、何が違うのか思いを巡らせたところ、折りたたみではストレートのスマホに比べて、画面を開く回数が少なくなっていることに気づいた。たとえばロック画面で通知を確認した場合にはついタップしてしまうが、サブディスプレイで通知を確認しても、急ぎでなければスルーすることが多くなっていた。画面を開くという物理的なひと手間が、そうさせたのだろうか。
これが良いことなのかどうかはわからないが、少なくても手持ち無沙汰だからなんとなくスマホの画面を開く…というケースは少し減ったように思う。もし折りたたみスマートフォンを使うことで、ほどよくスマホとの距離がとれるとしたらちょっと面白いと思った。
一方で、メールを返信したいときなどは、サブディスプレイで該当のメールを開いた状態で、画面を開くと該当のメールが開く。着信時にも同様にサブディスプレイで相手を確認して、画面を開くとそのまま受話でき、閉じると切れる。このあたりの使い勝手は、懐かしい折りたたみケータイのようだ。
ケータイは多少パカパカしても簡単には壊れなかったが、折りたたみスマートフォンはどうか…こればっかりは長期的に使ってみないとわからないが、試しに使ってみようかなと思えるくらい、手に取りやすい折りたたみスマホが登場したことは、喜ばしいニュースと言えるのではないか。
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