ブックカフェのような家に暮らしたい--4人家族の中古マンション「フルリノベ体験記」【前編】

 「自分の好きなものだけに囲まれた、こだわりの詰まった家でいつか暮らしてみたい」。そんな夢を描きながら、長年にわたり賃貸マンションで暮らしてきたが、気がつけば私も30代後半。一度きりの人生を後悔したくないと思い、以前から気になっていた「中古マンションのフルリノベーション」でマイホームを購入することにした。

 早速だが、こちらがフルリノベーションをして2023年9月に完成したマンションの自宅だ。

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 わが家は幼児が2人いる4人家族で、夫婦ともに本やカフェの雰囲気が好きなこと、また私が漫画を心から愛しており、多数の複製原画や複製原稿などを収集していることから、「子どもたちも楽しめるブックカフェ&アートギャラリー」のような家を作りたいと思い、リノベーション企業の「リノベる。」に相談して、中古マンションをフルリノベーションした。完成した新居に住みはじめてちょうど2カ月ほどだが、好きなものに囲まれた暮らしを楽しんでいる。

 リノベ活動をする中で、多くの知人から「私もやりたいけれどネットには情報が少ない」「デザインや壁色などはどうやって決めるのか知りたい」といった声を聞いた。そこで、中古マンションのフルリノベ体験記を、できる限り詳細にお伝えしたい。検討中の方にとって、事例の1つとして参考になれば幸いだ。前編では「リノベーションのコンセプト決め」や「家探し」を中心にお届けする。

  1. 物件のスペックやコストは?
  2. 「フルリノベ」と「リノベる。」を選んだ理由
  3. カウンセリングから物件契約までの流れ
  4. 自分だけのコンセプトを決める「ワクワクカウンセリング」や「sugata」
  5. 「クラウドサイン」や「Googleマップ」--テクノロジーをフル活用
  6. 「家具代込み」のローンが組めるプランも

物件のスペックやコストは?

 はじめに、多くの人が気になるであろう物件のスペックや金額などを紹介したい。わが家が購入した物件は、東京都内にある築20年弱のマンションで、広さは約75平米。エリアとしては、新宿駅や渋谷駅など都心に電車で30分ほどで行くことができ、自宅から最寄駅までは徒歩10分弱だ。

 家探しを検討してから住み始めるまでに要した期間は約8カ月ほど。2023年1月にリノベる。に相談し、3月に物件を見つけて契約。6月からリノベーションに着工して8月末に完成、9月上旬に引き渡しとなった。検討をはじめてから8カ月ほどで新居に住み始めることができたので、早い方ではないかと思う。

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リノベーションのスケジュール

 費用の総額は約5800万円。ざっくりとした内訳は、物件が約3500万円、リノベーション費用(家具代込み)が約2000万円、仲介手数料などの諸費用が約300万円ほどだ。リノベーション費用については、フルリノベーションするか、リビングなど部分リノベーションするかによって異なるほか、家の平米数に比例してコストが上がっていくため、何を求めるかによって総額は大きく変わってくる。

リビングのビフォーアフター
リビングのビフォーアフター
間取りのビフォーアフター
間取りのビフォーアフター

「フルリノベ」と「リノベる。」を選んだ理由

 そもそもなぜ、わが家が“中古マンションのフルリノベーション”を選んだのか。それは、注文住宅よりも手頃な価格で、自分好みの間取りを作りたかったからだ。家探しを始めた当初の2023年1月には、勉強も兼ねて住宅展示場などにも足を運んだが、新築の注文住宅の高さに愕然として、戸建てはすぐに諦めた。また、新築マンションも検討したが、当然ながら間取りは最初から決まっており、自分好みにカスタマイズできないため、理想の家は作れない。

 こうした理由から、わが家でも手が出る予算で、間取りにこだわった家を作るにはリノベーションが適しているという結論に至った。そこで、まずは「中古マンション リノベーション」で検索してヒットしたリノベーション会社に片っ端から話を聞いて比較することにした。1月下旬ごろからそれぞれのショールームに行ったり、オンラインでミーティングをしたりしながら、5社とコミュニケーションしたが、その中で最終的に選んだのが「リノベる。」だった。

 同社はCNET Japanでも度々取材しており、当然ながら私は昔からよく知っている。しかし、こういう時は妻の直感を信じたほうがいいと思い、あえて最初から同社の名前は出さなかったが、「(応対してくれた)担当者の寄り添う姿勢や、わが家のイメージをしっかり汲み取ってくれる点に最も惹かれた」という理由から同社に決めた。もちろんサービス内容も比較したうえでの決定だが、結局のところ最後は「この人に頼みたい」という人と出会えたことが大きかった。

わが家のリノベーションを担当してくれた「リノベる。」の皆さん。左から3人目の女性が最初に相談に乗っていただいた生田さん
わが家のリノベーションを担当してくれた「リノベる。」の皆さん。左から3人目の女性が最初に相談に乗っていただいた生田さん

カウンセリングから物件契約までの流れ

 同社では、すでに暮らしている中古マンションのリノベーションも可能だが、わが家のように、全くゼロの状態から、家探し、そしてリノベーションまでトータルに支援してくれるプランもある。

 物件を契約するまでの大まかな流れは、まず同社のショールームで、リノベーションのコンセプト決めや物件選定をしたのち、物件の内見へ行き、気に入った物件があれば契約手続きをする。内見の手配から売主との調整、住宅ローンの契約まで、すべて同社1社を介して完結できるのはありがたかった。

 以下は、カウンセリングから物件を契約するまでの工程や費やした時間だ。

【1月】
・リノベる。のショールームでカウンセリング(2時間)

【2月】
・リノベる。とリノベーションコーディネートサービス契約
・リノベる。のショールームでコンセプト決め(3時間)
・リノベる。のショールームで物件選定(4時間)
・検討している路線やエリアの散策(3時間)

【3月】
・物件の内見・決定(6時間)
・住宅ローンの事前審査に関する説明(2時間)
・物件の売主との契約手続き・工事請負契約締結(2時間)

【4月】
・住宅ローンの本審査(2時間)
・住宅ローンの契約(2時間)

【5月】
・物件の引き渡し・住宅ローンの借入(1時間)

 わが家は幸運にも、初日の内見で現在の物件に出会うことができたので、リノベる。との契約からわずか3カ月で物件の引き渡しまで進むことができたが、通常はもう少し期間を要することが多いという(物件探しに2年近くかけている人もいるそうだ)

 このスケジュール一覧を見てもわかるように、契約後は休日をほぼ毎週リノベ活動に充てることになるため覚悟が必要だ。また、1回あたりのミーティングも3~4時間と長いため、小さな子どもがいる家庭は、待ち時間に飽きてしまわないように、おもちゃやお菓子などをしっかり事前準備する必要がある。

打ち合わせをするリノベる。のショールーム(こちらは新宿西口ショールームだが都内だと表参道や吉祥寺にもある)
打ち合わせをするリノベる。のショールーム(こちらは新宿西口ショールームだが都内だと表参道や吉祥寺にもある)

 なお、住宅ローンの返済などに関して不安がある場合は、リノベる。が提携するファイナンシャルプランナー(FP)も紹介してもらえる。ただし、家探しと同時並行でFPとのやりとりも進めることになるので、もし可能であれば家探しをする前に済ませておいたほうが良いだろう。

自分だけのコンセプトを決める「ワクワクカウンセリング」や「sugata」

 過密なスケジュールに、いきなり怯んでしまったかもしれないが、もちろんリノベーションならではの楽しみも盛り沢山なので安心してほしい。リノベる。と正式契約するとまず最初にするのが「ワクワクカウンセリング」。自然が豊かな場所がいい、子どもの体験を重視したい、マンションは低層階がいいなど、同社スタッフによるカウンセリングを通じて、自分たちと相性の良さそうなエリアや、暮らしの中で大切にしたいことの解像度を上げられる。

 また、自身が理想としていたり憧れていたりする家のイメージがある場合は、夫婦で用意したビジュアル探索ツール「Pinterest」のアイデアピンなども共有しながら、作りたい家のテイストやデザインを、担当者とすり合わせていく。

 さらに、リノベーションのシミュレーションができる同社独自のオンラインサービス「sugata(スガタ)」も活用する。表示されるリノベーション物件の中から好みに近いイメージを選ぶと、数十種類のテイストの中から自分に合ったおすすめを提案してくれるほか、キッチンやトイレのグレードを選ぶことでおおよその費用感も出してくれる。

「sugata(スガタ)」
「sugata(スガタ)」

 sugataでは、壁や天井の色をワンクリックで瞬時に切り変えたり、小上がり・システムキッチンなどのオプションを追加したりすることも可能だ。想像が膨らむ楽しい作業だが、理想を詰め込みすぎると、あっという間に予算オーバーとなり、泣く泣く削っていくはめになるので注意しよう。

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 このワクワクカウンセリングとsugataのデータをもとに、同社では後日コンセプトシートを作ってくれる。そこに描かれていた、わが家のテーマは「体験が価値になる みんなのブックカフェ 〜想う 感じる 考える がはじまる住まい〜」。自分たちでも言語化しきれなかった価値観をこうして客観的に整理してもらえるのは嬉しい。

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 また、前述したように家探しやリノベーションにはとても時間がかかり、予算内に収まらずに設備を削らないといけない時もある。そんな心が折れそうな時も、このコンセプトシートをみると原点に立ちかえることができた。

 加えて、物件の内見時には、担当者のイラストが描かれたリノベーションのラフ案を用意してくれる。これを持って家の中を歩くことで、リノベーション完成後をイメージしながら内見できたのはとても良かった。

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「クラウドサイン」や「Googleマップ」--テクノロジーをフル活用

 独自サービスのsugataなどからすでに気づいた人もいるかもしれないが、リノベる。は不動産テック企業としてさまざまなテクノロジーを積極的に取り入れている。たとえば、リノベーションコーディネートサービス契約時には申込金としてまず10万円を支払うが、電子契約サービス「クラウドサイン」と、キャッシュレス決済の「Square」を使い、自宅にいながらわずが10分程度で契約手続きが終わった。その後の工事請負契約なども基本的にクラウドサインで進める。

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 また、同社のスタッフとのやりとりは、LINEのようにチャットができるアプリ「リノベる。APP」を使用する。ここで日々の連絡のほか、写真やミーティング議事録、見積書、図面などのPDFデータをやりとりする。契約開始からリノベーション物件の完成、その後の細かな連絡まで、長期間使うことになるアプリだ。物件担当、デザイナー、インテリアコーディネーターなど、フェーズが進むにつれて参加メンバーがアプリに追加されていくので、家づくりの仲間が増えていく感覚になる。

同社スタッフとの連絡ツールである「リノベる。APP」
同社スタッフとの連絡ツールである「リノベる。APP」
それぞれの担当者の名刺はパズルの形状をしており、どんどんつなげることができる
それぞれの担当者の名刺はパズルの形状をしており、どんどんつなげることができる

 さらに、家探しも効率的だった。予算や希望に応じて100件近い物件リストを提示してくれるが、Googleマップをフル活用して、日当たりや最寄駅からのルートなど、周辺環境まで調べてくれる。これにより、時間のかかりがちなエリア選定と内見の件数を事前にかなり絞り込むことができた。実際、内見には1日しか使っておらず、その日のうちに偶然にも現在の物件と出会うことができた。

Googleマップなどを使いながら物件候補を探す
Googleマップなどを使いながら物件候補を探す

 物件が決まったあとの住宅ローン審査もオンラインだ。TOPPANエッジの住宅ローン事前審査一括申込サービス「Smart Entry Tab(スマートエントリー・タブ)」を利用することで、従来のような紙による煩雑な申込書や審査関連書類の記載作業が、スマートフォンやタブレットだけで完結した。

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 アナログな印象の強い不動産業界において、ここまでテクノロジーをフル活用していることに正直驚いたが、私のように日頃からスマートデバイスやさまざまなサービスを使っている人間からすると、日々のやり取りや契約をオンラインでスマートに完結できることは大きなメリットに感じた。一方で、そこまでテクノロジーに明るくない人からすると、少し敷居が高いと感じるかもしれない。

「家具代込み」のローンが組めるプランも

 前編の最後に、住宅ローンについても触れておきたい。同社では物件のリノベーションだけでなく、その家のデザインに合ったテーブルや食器棚、照明などのインテリアもコーディネートしてくれるサービスをオプションで提供している。わが家はせっかくフルリノベーションしたので思い切って家具も総入れ替えすることにした(ただし金額もそれなりにかかった)

 一般的な住宅ローンでは物件価格とリノベーション費用までしか融資の対象にならないことが多いが、同社と提携する静岡銀行ではインテリア代金込みの金額でローンを組むことができる(わが家は同行で住宅ローンを組んだ)。予算に応じて、ローンにインテリア代まで含めるか、それとも別途手持ち資金から支払うか選ぶといいだろう。

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 後編では、本題とも言えるリノベーションの内容や、設備、素材・色選び、着工から完成までの流れなどを紹介する。

取材協力:リノベる。

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