キヤノンMJ初の企業内起業、マスク型減音デバイス「Privacy Talk」発売へ

 キヤノンマーケティングジャパンは10月27日、場所や周囲の環境にとらわれず、快適な会話を可能にする減音デバイス「Privacy Talk」の詳細を明らかにした。7月にコンセプトモデルを発表していた製品で、Makuakeで10月31日10時より販売を開始する。12月末までに届く予定だ。

マスク型減音デバイス「Privacy Talk」の特長
マスク型減音デバイス「Privacy Talk」の特長

 Makuake限定価格は2万3400円(税込)、ほか15%の早割価格が1万9900円(税込)から。ほか法人向けの複数台セットや急速充電器付きのセットなどもある。

減音効果と小型化を実現したPrivacy Talk

 イヤホンやマイク、ファンを搭載した減音効果のあるマスク型デバイスだ。装着時に発した声を独自構造の中を通過させることで減音するため、周囲にいる人は内容を聞き取りづらくなる。

 音を抑えるには空気の通り道を塞ぐ、発話するには空気の通り道を確保する――そうした相反する2つを両立させたのがポイントだ。

迷路のような構造が特徴で、独自のカスタマイズにより特定の周波数帯の音を効率的に吸収しながら、呼吸のための空気の通り道を確保する「音響メタマテリアル技術」
迷路のような構造が特徴で、独自のカスタマイズにより特定の周波数帯の音を効率的に吸収しながら、呼吸のための空気の通り道を確保する「音響メタマテリアル技術」

 具体的には、Acoustic Metamaterials Group(AMG)の「音響メタマテリアル技術」をベースにしている。迷路のような構造が特徴で、独自のカスタマイズにより人の声がもつ特定の周波数帯の音を効率的に吸収しながら、呼吸のための空気の通り道を確保する。減音効果と小型化を実現した。

 また、ダブルマイク搭載により、ファンの稼働音を取得し、音声用マイクから取得した音声からファンの稼働音を打ち消すことでクリアな音声をオンライン先に届けられるという。

 キヤノンによると、約20デジベル程度の減音効果を持つ。20デシベルといってもわかりにくいが、周囲にいる人が1m程度離れた時に聞き取りづらい程度という。

マイナス20デシベル程度、自分の声を原音できる
マイナス20デシベル程度、自分の声を原音できる
周囲の雑音も軽減
周囲の雑音も軽減

 実際に静かな会議室にて向かいにいる距離で使用してみたところ、なにかもごもごしている雰囲気はあるが、何を言っているのかは分からない。オンライン会議が増えている昨今、オフィスの自席や外出先でミーティングをするといったシーンでも活用できそうだと感じた。

 このところ防音型のデバイスはいくつか出ているが、個性的な見た目の製品が多い。Privacy Talkは、実際に手にしてみると、188gあるのでそれなりの重さは感じるが、装着した見た目にはそれほど違和感がない。カフェなどで使用していても、大きく目立たない点もPrivacy Talkのポイントのひとつだ。

口にはシリコーンのマウスパッドを当てるため、しゃべってもマスクがズレにくくなっている
口にはシリコーンのマウスパッドを当てるため、しゃべってもマスクがズレにくくなっている

 サイズは幅104mm×高さ65.8mm×奥行68.75mm。動作時間は約3時間(バッテリー使用時)。充電時間は約1.5時間で、接続はUSB Type-C/Bluetoothに対応する。給電しながら利用できる。対応OSはWindows 10以降、macOS 11以降、iOS 12以降、Android 10以降。

 長時間の利用に向け、耳が痛くなるのを軽減するため、マスクとマスクの間を補助バンドで留めて緩和できる補助バンドを同梱している。

主な内部構造
主な内部構造

Privacy TalkがキヤノンMJ初の企業内起業で生まれた背景とは

 Privacy Talkは、キヤノンMJ初の企業内起業として2020年4月に設立した「ichikara Lab(イチカララボ)」が手掛けている。専任は7名で、ほか全国の拠点に在籍する入社3年目、5年目といった20代の若手スタッフを中心に、さまざまな本業を持ちながらオンラインなどで定期的に集う。社内の若手の育成・活躍の場にもなっているという。

 そうした中で、設立当初からあったアイデアのひとつがPrivacy Talkだ。ちょうどコロナ禍にオンラインコミュニケーションが増え、家の中で家族に聞かれたくないといった若者の需要から検証をスタートしたという。

キヤノンMJ初の企業内起業として2020年4月に設立した「ichikara Lab(イチカララボ)」の専任メンバー。中央がchikara Labリーダーの吉武裕子氏
キヤノンMJ初の企業内起業として2020年4月に設立した「ichikara Lab(イチカララボ)」の専任メンバー。中央がchikara Labリーダーの吉武裕子氏

 試作機は、当時修理を担当していた現キヤノンマーケティングジャパン コンスーマ事業戦略本部 コンスーマ新規ビジネス企画部の前田諒氏が形にするなど、さまざまな背景を持つスタッフのチームワークを駆使して開発を進めてきた。

 キヤノンマーケティングジャパン コンスーマ事業戦略本部 コンスーマ新規ビジネス企画部ichikara Labリーダーの吉武裕子氏は、「ビジネスパーソンをターゲットにして商品化するが、背景としては、若者のマーケティング活動の一環から生まれてきた商品。構想から3年かけ、新しい価値をお客様に届ける手法はなんだろうというところから始まった」と背景を明かした。

 今後もトレンドを生み出し波及する力のある若年層への本質的な理解を深め、若年層マーケティングから獲得したインサイトを活かした新規商品・サービスの企画・開発へ挑戦していくとしている。

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