4万円を超える高級キーボードにもかかわらず、発売早々に在庫切れ(10月26日現在)――そんな注目のキーボードが「HHKB Studio」だ。
PFUが10月25日に発表した、高性能コンパクトキーボード「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)シリーズの新製品で、新しくポインティングスティックとジェスチャーパッド機能を搭載しているのが特長。
これまでのHHKBにないポイントは大きく3つある。1つは、ポインティングスティックとジェスチャーパッド機能を搭載したこと。2つめは押下圧45gのリニアタイプの静音メカニカルスイッチ(Kailh社製)を採用したこと。3つめはキーマップ変更ツールなどによるカスタマイズ機能の強化だ。
価格は4万4000円(税込)で、従来の製品と併売する。販売は、量販店などはなくPFUのダイレクトショップ各店舗のみとなっている。
東京大学名誉教授「和田英一」氏が発案したHHKBの基本コンセプトである合理的なキー配列とコンパクトサイズ、電池駆動などは継承しつつも、HHKB Studioはまったく新しいコンセプトの製品となる。なお、Studioの名称は、すべてのツールが1カ所に集まるプロの「仕事場」を表現したという。
パッと見た印象で、明らかにこれまでと異なるのは、ポインティングスティックの存在だ。こうした機能を備えたキーボードといえば、トラックポイントを搭載したThinkPadを思い浮かべる人がいるかもしれない。
これについてPFU 販売推進統括部長の山口篤氏は、「パテントが切れているので採用した」と説明した。
キーボード中央にポインティングスティック、スペースキーの下にマウスボタンを搭載。従来のマウスのようにキーボードと持ち替える手間も無くなり、ホームポジションから手を移動させることなくカーソル操作が可能。思考を止めず作業に没入できる。
ジェスチャーパッドは、両側面と手前側左右の合計4カ所にあり、ウェブの画面スクロールやExcelのカーソル移動、ウィンドウ切り替えもマウスに持ち替えることなく操作できる。
さらに、ジェスチャーパッドにソフトウェア独自のキー操作を割り当てることで、コーディング時のデスクトップ切り替えやオンラインミーティング時のボリューム調整、写真や動画編集時の調整なども行える。
HHKB Studioさえあれば、タッチパッドやマウスを置くスペースが不要になるのもメリットのひとつだ。
なお、ジェスチャーパッドなどの操作をすると動いてしまうのでは――という心配があるかもしれない。重さは英語配列で840g(電池含まず)、日本語配列で830g。従来のHHKB Professionalシリーズと比較して約300g重くしっかりしているため、問題はなさそうだ。一方で、持ち歩くには重さがネックになるかもしれない。
これまでHHKBキーボードといえば、無接点で(底付きなしに)スイッチングする「静電容量無接点方式」だったが、HHKB Studioは、米国で主流となっているメカニカルスイッチを採用している。HHKBオリジナルとなる押下圧45gのリニアタイプの静音メカニカルスイッチ(Kailh社製)だ。
静電容量無接点方式は、キーを押したという“タクタイル感”が特長だが、メカニカルスイッチはなめらかな打ち心地が特長となる。
ホットスワップ方式を採用しており、好みのカスタマイズができるのも特長のひとつ。通常プロファイルのMXスタイルの3ピンおよび5ピンメカニカルスイッチ(Cherry、Gateron、Kailh社製)と互換性を持つ。なお、スイッチの突起部分がポインティングスティックと干渉する可能性があるため注意点はあるが、ユーザー自身で好みのキースイッチへ変更できる。さらに、キーマップ変更ツールを使うことで、自分好みのカスタマイズが可能だ。
なお、今後はキートップの3Dデータを提供することを明らかにしており、オープンソース化することでさらにカスタマイズの世界が広がりそうだ。提供方法など具体的なことは2024年3月に発表するとしている。
HHKB Studio専用のキーマップ変更ツールでは、従来のキーマップ変更機能に加え、以下の4点の機能拡張を実施した。
たとえばスクリーンショットのようにWindowsキー+Shiftキー+Sといったような3つを同時押しする操作も、ボタン一つで使えるようになるので便利だ。
HHKB Studioは、PFU Americaが主導して進めた製品で、PFU 執行役員常務の清水康也氏は、「納得いくまで時間をかけた」と自信を見せる。また、デザインは「Designed in California」で、「Go Proを含めてデザインの実績を残しているGUGE DESIGNとコラボレーションした」という。
今回のプレスリリースは、日本時間の午前0時に配信された。「異例とも言える事項。カルフォルニア時間では午前8時となり、日米同時発表を実現するためにその時間にリリースした」(清水氏)と明かした。
タッチ&トライポイントとして、東京・有楽町のb8taに2024年1月25日まで出展するほか、実際に見て触れられるスポットも12カ所用意している。
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