三井不動産は10月17日、脱炭素に関する取り組み状況と、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に向けた新たな取り組みについて、記者説明会を開催した。
三井不動産グループは、2021年11月に「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」を策定。2030年度までに、2019年度比でグループの温室効果ガス排出量を40%削減することに向けて、取り組みを推進しているという。グループ全体の温室効果ガス排出量は、自社以外の排出分が約90%を占めており、削減目標達成のためには街づくりに関わるサプライチェーン全体での連携が不可欠となっていると、三井不動産で代表取締役社長を務める植田俊氏は述べた。
サスティナビリティ推進部長を務める山本有氏は、三井不動産グループはサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に向けて、4つのことに取り組んでいると説明。1つめは、「建設時GHG(温室効果ガス)排出量算出マニュアル」を策定し、街づくりのサプライチェーンに関わる企業に働きかけ、排出量を見える化すること。2023年10月以降に着工する全物件にマニュアルを活用した算出を義務化し、ルールの普及を目指していくという。
2つめは、木材を活用したビルで、脱炭素時代の「新しい建設物のあり方」を提案する。具体的には、地上18階建の木造賃貸オフィスビルを、日本橋にて着工予定であるとした。同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、建設時の温室効果ガス削減が期待できる。
また3つめとして、住戸ごとのCO2排出量を見える化し、入居者の省エネ行動をポイント化する「くらしのサス活」を拡大する。「サス活」は2030年までに新築物件へ導入促進し、過去分譲物件24万世帯を巻き込んだ取り組みにしていくという。
4つめとして、オープンイノベーションや産学連携を促進する街づくりで脱炭素化を加速させる。三井不動産レジデンシャルと京都大学発のスタートアップであるエネコートテクノロジーズは、住宅におけるペロブスカイト太陽電池の活用に向けて共同研究を開始。より実際の住まいや暮らしに近い環境において、実証実験を実施していくという。
取締役専務執行役員を務める広川義浩氏は、2030年度までに40%削減は非常に挑戦的な目標だとした上で、「物流施設、マンション、オフィス、それぞれの施設でどれくらいの温室効果ガスによる負荷があるのかを確認し、サプライチェーンの皆さんと一緒に相談しながらぜひとも成し遂げたい」と述べた。
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