グーグルのスマートウォッチ「Google Pixel Watch 2」が10月12日に発売された。ウォッチ本体は、2022年10月に登場した初代「Google Pixel Watch」で話題となった丸型ドーム形状。サイズも直径41mm×高さ12.3mmと同じなので、2つを並べると同じように見える。しかし、外観はもちろん、中身の機能についても大幅にアップグレードされている。本記事では、Pixel Watch 2の使用感を紹介しよう。
まずPixel Watch 2は、「Android9.0」以降を搭載した、ほぼすべてのスマホに対応。「Google Pixel Watch」アプリで基本の設定を行い、「Fitbit」アプリで日々のヘルスケアやワークアウトのデータを確認するスタイルだ。
バンドは、ソフトタッチの「アクティブ バンド」のSサイズ(手首周り130~175mm)とLサイズ(手首周り165~210mm)を同梱。別売りで、レザータイプやバックルのないストレスフリーのバンドなども用意されている。Pixel Watch 2の発表と同時に、通気性の良い「アクティブスポーツバンド」、ファッショナブルな「メタルスリムバンド」と「メタルメッシュバンド」が新たに登場し、バンドの選択肢がますます広がった。
価格は、Wi-Fiモデルが5万1800円(以降、価格は全て税込)で、4G LTEモデルは5万9800円。LTEモデルの場合、スマホが手元になくても、ウォッチだけで電話の発着信やメッセージの送受信ができるのが便利だ。KDDIの「au」ブランドとソフトバンクで取り扱うほか、NTTドコモでも11月以降に発売を予定している。
初代と比べてやや高額になったPixel Watch 2だが、有料サービスの「Fitbit Premium」が6カ月無料で、「YouTube Music Premium」も1カ月無料で利用できる特典が付く。Fitbit Premiumでは今日のエナジースコアが把握できるほか、ワークアウトやマインドフルネスのプログラムも使える。
Pixel Watch 2で強化された点として、ウォッチ本体のクラウン(竜頭)が以前よりひと回り大きくなり、回転を操作しやすくなった。そして、本体に100%再生アルミニウムを採用することで、バンドを除いた重さが36gから31gと、約10%軽量になっている。5gなので違いを実際の体感知として実感することは難しいが、このサイズ感や形状が筆者の腕には心地良く、初代同様、使いやすさを感じた。
見た目に大きな違いを感じるのは裏面で、Pixel Watch 2には新たに3つのセンサーが追加された。多数のLEDを備えたマルチパス光学式心拍数センサー、身体反応を測定する継続的皮膚電気活動(cEDA) センサー、皮膚温センサーだ。
新しい心拍数センサーの搭載で、より精確に心拍数データの読み取りができるようになった。初代と比べて、激しいアクティビティの読み取り精度は最大40%も向上。消費カロリーや心拍ゾーン、今日のエナジースコア、睡眠など、さまざまな健康情報についても、より詳しくわかるようになった。皮膚温センサーもこれらの健康情報を補完している。
身体反応の計測では、センサーの情報を取得して、日常生活のストレスや、アルコール、カフェイン、病気などによるストレスの兆候を特定できるようになった。もし身体反応が検出された時には、ストレス解消のため、呼吸エクササイズやウォーキングなどの対処方法が表示されるそうだ。
ワークアウトした時にも運動中の心拍数によって脂肪燃焼、有酸素運動、ピーク、アクティブと4つの心拍ゾーンを音声や画面表示するので、今のゾーンを把握しながら効率的に運動できる。
筆者はウォーキングで脂肪燃焼ゾーンになるよう、ペースを維持しながら運動した。ワークアウトモードは約40種類。その中でランニングやウォーキング、屋外サイクリング、室内サイクリング、トレッドミル、ボート漕ぎ、クロストレーナーの7種類のエクササイズは自動的に検出し、ワークアウトを開始、終了、一時停止してくれる。
今回、新たな安全機能が搭載されたことも注目だ。初代では転倒検知や緊急SOSの緊急情報サービスが提供されましたが、Pixel Watch 2では「Google Pixel」の予防安全機能が利用できるようになった。これは、ワークアウトや外出時などの際に、タイマーに設定した目的地に到着する予定時間や帰宅予定時間を過ぎても確認が取れない場合、あらかじめ選択しておいた緊急連絡先にその情報を通知する機能だ。「Google マップ」で現在地が共有されるので、居場所が特定しやすい。
万が一、ケガをしたり、意識を失ったりした場合、緊急事態に遭遇したことを家族に伝えられるので、早急な対処ができる。LTE対応のPixel Watch 2のユーザーの場合、通信環境が悪い場合も、セーフティーシグナルを使用して、安全確認や緊急位置共有などの機能を利用することができる。
Pixel Watch 2は、グーグルのサービスとの連携がスムーズなところも魅力だ。最新の「Wear OS 4.0」のすべての機能が利用でき、カスタマイズ性や操作性が向上した。新たに「Gmail」とGoogleカレンダーのアプリが利用できるようになり、手元でメールを読んだり、予定を確認したりできるようになった。
Google マップでは、目的地まで、クルマ、徒歩、自転車でのルート案内ができ、Googleアシスタントの音声操作で情報を入手したり、メッセージを入力したりできる。
ウォッチ画面からキーボードで文字入力も可能だが、文字が小さいだけにもたつくことも。そんな時には音声入力が便利だ。頻繁に確認したい情報を2件まであらかじめ入力しておけるので、筆者は朝、起きた時に今日の天気を音声案内してもらうのが日課になった。
最新のクアッドコアCPUを搭載しているので、ディスプレイが常時表示されている場合でも、バッテリーが24時間持続する。とはいえ、最近のスマートウォッチはバッテリー持ちが著しく良くなっているので、この部分はもう少し長くしてほしいと思うところ。気付いた時にはバッテリーがわずかで、慌てて充電することが何回かあった。充電は約30分で50%、約80分でフル充電できるのですが、体感知的にはもう少し早い印象だ。
Pixel Watch 2は、このバッテリー持ちのみが残念。ウォッチを見たい時だけ表示するバッテリーセーブモードにしたり、充電サイクルを夕方にして、夕食や入浴の時間を使って充電したりして、筆者が一番記録したい睡眠データがしっかり録れるようにしている。
つるんと丸い形状やグーグルサービスとの連携、Fitbitアプリの利用など、Pixel Watch 2の魅力は多い。「Google ウォレット」とも連携し、「Suica」やデビットカード、クレジットカードなどを追加して、タッチ決済ができるのも見逃せない。円安の影響を受けてか、価格はやや高めだが、Androidユーザーにとって最適なスマートウォッチと言えるだろう。ぜひ注目してもらいたい。
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