スマートフォンネイティブが見ている世界

コロナ禍でストーカーウェアが急増--見守りアプリやAirTagの悪用例も、防ぐ方法は

 コロナ禍によって外出制限が続き、うっ屈した気持ちが攻撃性として他者に向かった人は少なくなかった。コロナ禍では、ネット依存やゲーム依存などの逃避行動と共に、炎上や誹謗中傷、DVや虐待などの攻撃的な行為も増加した。

 もう1つ、ストーカーウェア(ストーカーアプリ)の利用も増加している。被害の実態と対策、見つけ方、削除方法までを見ていこう。

日本におけるストーカーウェア被害は2年で10倍に

 ストーカーウェアとは、相手の同意なくスマートフォンにインストールされ、位置情報や通話記録、メッセージなどの情報を外部に送信するアプリのことだ。

 その名の通り相手の行動が筒抜けとなってしまうため、相手のすべてを把握したい、支配したいと考える人に悪用されることがある。配偶者や交際相手だけでなく、元配偶者や元交際相手、さらには面識がない相手に不正に使用されてしまうことまである。

 実はこの物騒なアプリは、日本国内でも多数利用されていることがわかっている。アバスト脅威研究所によると、2020年1〜2月と比較して、2020年3月以降のストーカーウェア仕様は全国で51%、日本国内では165%増加したという。まさにコロナ禍で急増した被害というわけだ。

 その後、日本のインターネットユーザーがストーカーウェア被害に遭うリスクが、2020年から2022年にかけて10倍(900%増加)になっている。日本は、調査対象となった国(米国、英国、フランス、ドイツ、チェコ、ブラジル、メキシコ、オーストラリア、アルゼンチン)の平均(239%増加)を大幅に上回り、調査対象国の中で最も増加しているのだ。

 2021年、女性が自らの車を定期点検に持ち込んだところ、浮気調査などにも使うGPSガジェットがつけられていたことを発見。知らぬ間にAndroidスマートフォンにストーカーウェアも入れられていたこともわかった。そこでGPSガジェットの購入者をあたったところ、女性の店に来ていた客の男によるストーカー行為とわかり、男はストーカー規制法違反と不正指令電磁的記録供用罪で逮捕された。このような事件が全国で起きているのだ。

子どもの見守りアプリを悪用する例も

 ストーカー行為を行うために使われるものは、ストーカーウェアだけではない。たとえば、子どもの見守りアプリを利用する例は多い。そのほか、スマホの紛失・盗難対策で入れられるiOSの「探す」アプリやAndroidの「デバイスを探す」アプリ、紛失防止タグである「AirTag」などが悪用された例もある。SNSに投稿された情報や位置情報共有アプリなど、さまざまなもので行われているのだ。

 なお、子どもや高齢者等へ適切に使われる見守りアプリは、見守りを目的に相手の同意を得て設定されるものだ。位置情報の把握などは可能だが、メッセージや通話の内容まではわからない。

 一方、ストーカーウェアは相手の同意がない上、メッセージや通話の内容まで把握できるなど、社会概念上許される範囲を超えて情報を集めていることが違いとなっている。

ストーカーウェア対策で注意したいこと

 ストーカーウェアは、他人に勝手にインストールされるか、あるいは不正なウェブサイトへ誘導され、インストールされることが多い。前述の女性の被害例でも、店に置いたままになっていたスマホに勝手に入れられたと考えられる。

 ストーカーウェアが入れられていた場合、バッテリーの消費が早い、スマホの動作が遅い、スマホの電源が落とせないなどの兆候が見られることがある。知らないうちにブラウザーやアイコンなどの設定が変更されていた、突然ポップアップやエラーメッセージなどの不審なメッセージが表示されたといった場合も要注意だ。

 気になった場合は、不審なアプリがインストールされていないか確認して、見つけた場合は削除しよう。ストーカーウェアはアプリを削除すると相手に通知がいくものが多いので、安全な場所で行うようにしてほしい。

 この際、セーフモードで再起動すると、出荷時にインストール済みのアプリだけが起動し、購入後にダウンロード・インストールしたアプリは起動しない。スマホを工場出荷時の状態、つまりセーフモードで起動して利用して問題がなければ、購入後にインストールしたアプリで問題が発生していることがわかるはずだ。

 スローカーウェアをインストールされる被害を防ぐためには、スマホを置きっぱなしにしないことはもちろん、スクリーンロックをかけておくことが大切だ。不審なURLなどは安易にタップしないこと。アンチウイルスソフトも入れてあるとなお安心だ。

 ストーカーウェア自体は違法というわけではないが、使い方によっては紹介したように違法行為となり、皆さんのプライバシーや身の安全が危険にさらされてしまう。紹介した方法を参考に、安全に利用していただければ幸いだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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