8月23日に開催した「CNET Japan オンラインカンファレンス2023」は「デジタル人材獲得の秘策と実行」がテーマ。人材不足、労働力不足が叫ばれるなかでも企業が成長し続けていくためには、DXによる業務の効率化が不可欠であり、デジタル人材をいかに育成していくかが課題となる。同カンファレンスでは、デジタル人材の獲得・育成に積極的に取り組む企業が登壇し、その解決につながるヒントを提示した。
本記事では、社内ビジネスコンテストを通じて新規事業人材の育成を進める商工組合中央金庫(商工中金)と、パートナーとして伴走支援を行うフィラメントの2社によるセミナープログラムの内容をお届けする。
中小企業専門の金融機関として80年以上の歴史をもつ商工中金。融資による企業の支援を中心に、近年は事業承継、M&A、海外展開などに関する金融サービスの提供も行っている。2018年に危機対応業務にかかる不正事案が発覚した同社ではあるが、従業員自らがそれを乗り越え、ボトムアップで会社を変えていくべく、新規事業創出のための社内ビジネスコンテスト「商工中金ビジネスコンテスト」を立ち上げた。
ビジネスコンテスト運営担当の垣沼氏は、新規事業を生み出すことで金融機関としてできることの幅を広げ、顧客の多様化する課題の解決を支援していきたい、という狙いを語る。
2018年と2019年のビジコンは社内有志の力を借りて実施したが、2020年には会社の仕組みとして新規事業を開発できるよう社内体制を整備した。その後コロナ禍の中断を経て、企業の新規事業開発支援で知られるフィラメントが伴走支援する形で、2022年から2023年にかけて3回目を開催した。
3回目のビジコンでは、テキストチャットやビデオ会議によるオンラインでの活動が軸となった。最終選抜の「Demo Day」など一部はオフラインだったものの、ワークショップやメンタリングはほとんど全てがオンライン。それもあってか、一次募集では100名45チームと過去最大の人数が参加した。最後のDemo Dayを通過してフィージビリティスタディに進んだのは4件、うち2件のアイデアが実証実験をスタートさせている。
ビジコンがオンライン中心となったことで、必然的に参加者らが使用するツールもデジタルへの切り替えが余儀なくされた。商工中金の通常業務では、顧客とのミーティングは対面が基本、社内コミュニケーションも一応デジタルとはいえメールが中心。しかし、ビジコンではチャットツールとしてSlackを、ミーティング用ツールとしてZoomをそれぞれ採用することになった。
それでも、他社の新規事業開発担当者らとの大人数のワークショップをたびたびオンラインで開催するなど「デジタルに慣れる」ためのカリキュラムを組んだことで、デジタルツールの活用も自然に広がっていった。人によっては早朝や深夜にもSlackでアイデアを出したり、活発な議論がかわされたりすることもあったという。
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