大和ハウスグループの大和ハウス工業、南国アールスタジオ、トラスの3社は8月22日、メタバース空間「D’s BIM ROOM」(ディーズビムルーム)の記者発表会を行った。D’s BIM ROOMは、商業施設や事業施設などの建物の3Dモデルを、XR技術を活用することでメタバース空間に可視化させる技術。建物の建設予定地でPC、タブレット、VRゴーグルなどのデバイスを使用しメタバース空間に入ると、実寸大の外観イメージや色味、周辺建物との距離感などをリアルに近い形で体験でき、遠隔の関係者ともまるで建物内にいるかのように打ち合わせができるという。
「開発の背景には、働き方改革や人材不足、技術継承などの課題解決に向けた動きがあった」と大和ハウス工業で上席執行役員を務める河野宏氏は述べる。BIMとは、初期設計から建設、保守、廃棄に至るまでの建築資産のライフサイクル情報を、デジタルモデリングを使用して管理する仕組み。大和ハウス工業は2017年よりこれを推進し、2020年には自社が建設するすべての商業施設や事業施設の設計業務において、BIM化を完了した。オンラインで建材を選定するクラウド管理システムを有するトラス、企業向けメタバースプラットフォーム「WHITEROOM」(ホワイトルーム)を有する南国アールスタジオと連携し、設計業務の効率化を図ることを目指してD’s BIM ROOMを開発した。
D’s BIM ROOMは、BIMデータをWHITEROOMと連携させるためXR用のモデルを別途作製する必要がなく、短時間で設計図書と整合性を担保した3Dモデルを作製できる。また、D’s BIM ROOM内で打ち合わせをし、決定した事項はBIMやクラウド建材管理システム「truss」(トラス)に瞬時に反映させられ、企画、設計、施工の過程において変更が生じても、情報共有や意思決定をシームレスに行えるとしている。
メタバース内で複数の担当者や顧客がアバターとして打ち合わせに参加でき、trussの建材データベースに登録されている壁材約3万アイテム、床材約2万アイテム、天井約1万アイテムの中から、実物に近い色味や建材の候補を比較することも可能だ。
大和ハウス工業は、9月より自社が建設する商業施設や事業施設においてD’s BIM ROOMの検証を進め、順次導入していくことで生産性向上および業務効率化を図るとしている。
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