Twitter「後」の未来を決める3つのポイント--Threads大躍進に見るSNSの今と今後の付き合い方

 イーロン・マスク氏による買収を皮切りに、Twitterや同じく短文投稿型のSNSに大きな変化が起こっている。

 Mastodonのような代替サービスにユーザーが移行し、Twitterから独立して開発されているBlueskyなどに注目が集まったが、7月上旬にはMetaが新しいSNSアプリ「Threads(スレッズ)」をリリースし、たった5日で1億人が利用登録をしたことが大きな話題になった。

 一方のTwitterは、ユーザーが1日に閲覧できる投稿数に制限がかけられたり、たびたびの不具合に悩まされたりするなど、不安定な状況が続いている。ユーザーや広告主の間では、このままTwitterを使っていていいのか?移行するならばどのプラットフォームがよいのか? がもはや仮定の質問ではなくなりつつある。

 本稿ではこうしたTwitterと代替サービスを取り巻く状況を概観し、誰もが恐れる「万が一のとき」にどう備えるかについて見ていきたいと思う。

  1. Twitterライクなサービスの違いを意識する
    1. ユーザー1億人を集めたThreads
    2. 独自のプロトコルで突き進むBluesky
    3. 参入障壁が高く伸び悩むMastodon
    4. 極めてアクティブなコミュニティを維持するMisskey
  2. Twitter「後」の未来を決める3つのポイント
    1. モデレーションの問題
    2. アルゴリズムの問題
    3. AIの問題
  3. 君たちはどうSNSを使うか

Twitterライクなサービスの違いを意識する

 140文字の文字制限であれ、Threadsの500文字であれ、Twitter型のSNSは短文を画像や動画とともに投稿できること、他のユーザーをフォローすることで投稿が流れてゆくタイムラインを表示できるところなど、似通った点が多い。

 しかしよく見ると、サービスの方向性の違いがさまざまな形でユーザーが利用するときの手触りの違いとして見えている。そしてそれはそれぞれのSNSを利用するメリットやデメリットにも直結しているのだ。現在話題となっているいくつかの例をみてみよう。

ユーザー1億人を集めたThreads

 MetaがリリースしたThreadsはInstagramのアカウントをもっていればすぐに始められる手軽さもあって急速にユーザーを拡大している。これだけユーザーが急速に増えてもサービスは安定しており、Instagramからの導線の良さもあってすでに多くのブランドや著名人も参加し始めている。

たった5日で1億人が利用登録をしたことが大きな話題になった「Threads(スレッズ)」
たった5日で1億人が利用登録をしたことが大きな話題になったThreads(スレッズ)

 500字のゆるやかな文字制限や、10枚まで画像や動画を投稿できるといった基本の機能は十分揃っており、投稿の再投稿(リツイート)や引用といった期待された使い方もできる。

 その一方で、Threadsは機能的にはまだ開発の初期段階にあるサービスといっていい。ブラウザからタイムラインを確認するためのウェブ版の提供はなく、ユーザーはiOS/ Androidアプリを利用するのが基本となっている。ハッシュタグの機能はまだ提供されておらず、投稿も検索したりはできない。

 また、投稿が流れてゆくタイムラインも時系列順とは限らず、フォローしていないユーザーの投稿が流れてゆくこともしばしばだ。ユーザーが何をみるかは、TikTokやInstagramのようにアルゴリズム次第となっており、それが独特のゆったりとした雰囲気を生み出している面もあり、Twitterをはじめとした他のサービスとは大きく異なる体験を提供している。

独自のプロトコルで突き進むBluesky

 Twitterから独立したプロジェクトとして始まったBlueskyは、分散型SNSを構築する「ATプロトコル」の開発と、Blueskyのサーバーの運営などをおこなう公益を目的とした有限責任会社によって運営されている。

 Blueskyはゆくゆくは複数のサーバーが協調して大きなSNSを構築するような分散型のサービスを目指しているだけでなく、タイムラインを表示する際のアルゴリズムや、投稿が表示されるかの可否を担うモデレーションも選択できるようにするといった先進的な試みに挑戦している。その一方で、現時点では招待制のためユーザーの広がりは限定的だ。

独自のプロトコルで突き進むBluesky
独自のプロトコルで突き進むBluesky

参入障壁が高く伸び悩むMastodon

 複数のサーバーが協調する分散型SNSとして先行するMastodonは、イーロン・マスク氏によるTwitterの買収にともなう混乱時にユーザーが急速に増えたものの、その後はしだいに利用者数も活動度も減りつつあるのが現状だ。

 新規利用者がまずサーバーを選ばなければいけないことや、違うサーバーのユーザーをフォローする際には手間がかかるといったように、一般ユーザーには困難なハードルがあることも利用が広がらない理由として挙げられている。

 しかしMastodonが利用しているActivityPubプロトコルは今後Threadsで採用されることが発表されており、Mastodon自体はマイナーな存在であっても、より巨大なActivityPubでつながったSNSの一部として活用が広がる期待もある。

参入障壁が高く伸び悩むMastodon
参入障壁が高く伸び悩むMastodon

極めてアクティブなコミュニティを維持するMisskey

 日本発の短文投稿型SNSとしてアクティブなコミュニティを形成しているのがMisskeyだ。Misskey自体はActivityPubを用いた分散型SNSソフトウェアで、Mastodonと同様にユーザーはサーバーを選んで参加し、自分でサーバーを立ち上げることも可能になっている。

 Misskeyは他の短文型SNSに比べれば非常にくせの強いコミュニティが、リアクション機能を駆使して極めて濃密なやり取りしている場だ。趣味でつながる閉じた雰囲気とTwitterの公的な側面が混じり合った、独自のノリが繰り広げられている。それについていけないひとも多いかもしれないが、他人と同じ話題でつながって盛り上がるSNSの楽しい部分が凝縮されているといえるのがMisskeyなのだ。

極めてアクティブなコミュニティを維持するMisskey
極めてアクティブなコミュニティを維持するMisskey

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