NTT、リージョナルフィッシュと合弁会社「NTTグリーン&フード」を設立--陸上養殖施設を構築へ

 日本電信電話(NTT)は6月27日、スマート養殖技術などを手掛けるリージョナルフィッシュと合弁会社「NTTグリーン&フード株式会社」を設立し、7月1日より事業を開始すると発表した。


 資本金は、92億円。代表取締役社長には、久住嘉和氏が就く。また、「自然の恵みを技術で活かし、地球と食の未来をデザインする」という企業理念のもと、「水産業の衰退」「食料不足」「環境問題」などの課題解決に貢献する事業を行っていくという。

 地域の基幹産業である農林水産業は、就労者の減少や高齢化が加速。食料自給率の低下など、多くの課題を抱えている。特に水産業においては、その傾向が顕著であり、約30年で就労者・水産生産量が60%程度減少している。

 また、気候変動による海水温上昇や乱獲といった原因で、従来近海で取れていた魚が取れなくなり、地元の水産・加工、製氷業者などにも大きな影響を与えている。

 一方で、人口爆発や地政学リスクなどにより、食料や資源の争奪戦が起こり、価格が高騰。この旺盛な需要を支えるため、水産業においては、養殖を中心に生産量が飛躍的に増加し、「獲る漁業」から「育てる漁業」への転換も顕著にみられる。

 世界で起きている食と環境への不安、社会課題解決するため、両社は合弁会社「NTTグリーン&フード」を設立することになった。


 NTTグループが有するIoT・AIなどの情報通信技術やCO2をより吸収する藻類の生産技術と、リージョナルフィッシュが有する最先端の品種改良技術や養殖技術など、双方の技術や英知を結集。各自治体などと連携し、陸上養殖施設を構築。魚介類の生産・販売を行っていくという。

 生産した魚介類については、ブランド魚として地元スーパーや飲食店などへと販売するほか、大手小売・流通企業を通じた販売や、ふるさと納税品としての活用も想定する。

 生産や加工、販売においても地元企業と連携。雇用創出につなげるとともに、最先端の養殖技術や環境保護技術などに関する教育の場を提供するなど、地場産業の振興や、持続可能な地域社会への発展を目指す。

 今後は、地域での連携を強化・拡大し、陸上養殖施設を拡充することで、日本の水産業への発展を推進。

 具体的には、NTTグループのIoTやAIなどを駆使した陸上養殖のスマート化を実現。環境面に配慮したサステナブルな陸上養殖を展開し、自然と共生しながら、地域産業を発展させる循環型で持続的な取り組みを推進していくという。

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