最新世代の「Mac Studio」について、特筆すべきことはあまりない。「デスクに置いて使用する」という観点からすると、前モデルとほぼ同じように感じられ、ノートブックやデスクトップでよく見られる前世代からの微調整が施されている。
新型Mac Studioが採用する「M2 Max」と「M2 Ultra」は、より多くのCPUコアとGPUコアを搭載するため、前世代の「M1 Max」「M1 Ultra」と比べて、それぞれ最大で約20%優れたパフォーマンスを提供する。また、新型Mac StudioはアップデートされたWi-Fi(6から6Eへ)と「Bluetooth 5.3」のおかげで、無線通信の安定性が向上しただけでなく、速度も大幅に向上している可能性がある。アップグレードされたHDMI 2.1(Appleはこれを「強化された」HDMIと呼んでいる)も確かに重要な新機能だが、体験に及ぼす影響はそれほど大きくない。
筆者はこのシステムが好きだが(実際にとても気に入っている)、M2 Maxモデルをおすすめするのは少し難しい。強力なCPUやGPUが本当に必要な場合は、ストレージが2TBの構成で4399ドル(日本では65万4800円)からと決して安くはないが、M2 Ultraの構成を選択した方がいいだろう(本記事で紹介する3199ドルのM2 Maxのテストモデルの構成《日本では46万6800円》よりもストレージが1TB少なくても構わない場合は、3999ドル《同59万8800円》になる)。CPUのパフォーマンスだけが必要で、そこそこの性能のGPUがあれば大丈夫という場合は、それよりも1000ドル少ない出費で「M2 Pro」搭載「Mac mini」を購入できる。
Mac Studio(2023年)レビュー機の主な仕様など
レビュー構成の価格 | 3199ドル(46万6800円) |
CPU | Appleの3.3GHzのM2 Max(8つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載した12コアCPU)、16コアのNeural Engine |
メモリー | 64GBのLPDDR5ユニファイドメモリー |
グラフィックス | 38コアのGPUを内蔵 |
ストレージ | Appleの2TBのSSD、SDカードスロット |
ポート | USB-C×6(Thunderbolt 4×2)、USB-A×2、HDMI 2.1×1、3.5mmヘッドホンジャック |
ネットワーク | 10Gbpsイーサネット、Wi-Fi 6E(802.11ax)、Bluetooth 5.3 |
OS | macOS Ventura 13.4 |
本体サイズ | 9.5×19.7×19.7cm |
発売日 | 2023年6月 |
多くのクリエイティブ用アプリ、特に写真編集は依然としてGPUよりもCPUリソースを多く使用する傾向がある。M2 Proには、M2 Maxと同じ「Neural Engine」が搭載されている。また、M2 Maxは基本的な高解像度の動画編集に対応しているため、4Kの場合は低価格のモデルを選んでも問題ないが、より高い解像度での編集が必要な場合は、おそらく、もっと上位のモデルを選択した方がいいだろう。
使用しているクリエイティブ用アプリケーションとその使い方によっても、最適な製品は大きく異なる。そのため、M2 Proの代わりにM2 Maxに投資したからといって、望む効果は得られないかもしれない。また、理論的により多くのNeural Engineコア(Ultraは、Maxとそれよりも下位のチップの2倍のNeural Engineコアを搭載)の恩恵を受けられるかもしれない機能が、ローカルで処理を実行しない可能性もある。例えば、「Photoshop」の新しい「生成塗りつぶし」機能の処理はリモートで実行されるため、システム側で高負荷の作業を処理する必要がない。
M2 ProにはM2 Maxと同じエンコード/デコードアクセラレーターが搭載されているが、M2 Ultraはその2倍の数のアクセラレーターを備えている。また、M2 Ultraの構成には、M2 Maxよりも2つ多くのThunderboltポートがある。M2 Ultraは2つのM2 Maxチップを組み合わせたものなので、Thunderboltコントローラーも1つ多い。外部ドライブを使用するつもりなら、この点は重要だ。
だからといって、堅実なCPUとGPUのパフォーマンスを兼ね備えたM2 Maxの方が適しているユーザー層が存在しないわけではない。低価格のモデルを選択する方が簡単で、おそらくそれで十分な人もいれば、より高額のモデルが必要な人もいる、というだけのことだ。
アップグレードされたHDMIの採用により、最大240Hzのリフレッシュレートの4Kモニターに対応できるようになった。モニターが対応している場合は、可変リフレッシュレートを有効にすることもできる。「MacBook Pro」の場合と同じように、可変リフレッシュレートを細かく制御することはできない。macOSで可能なのは、可変リフレッシュレートを有効にすることだけだ。
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